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裏裏ひよこ日記 ひよこの新時代の幕開け。

オネエな先生とひよこのやりとりが面白過ぎる。2人はまるでチグハグなタイプだが底の部分が似ているのかもしれない。

何よりひよこは仕事の疲れもしっかり取れて顔も晴れやかだしイキイキしている。

斜め上過ぎる位な先生の授業が始まったのはプラハに会いに行って帰ってきたその日から既に始まっていた。Eメールに添付された膨大な宿題とトレーニング内容。来るまでに課題を仕上げ、課された日常生活のトレーニング。スイスの学校を凌駕する内容。

できなくてもやれ。やれるかも程度で満足してるんじゃないわよ?宣戦布告よ?わかるでしょ?眠れる獅子女王さまへ。と

メールに書かれていてオレとアルベルトはなんだこれは?となったのだった。


ひよこはじめてのプラハの帰りは空港に迎えに行った。来なくていいよ。大丈夫ひとりで帰れるよ。と言われていたが、帰る日にちの便は目星がついていたし、来なくていいよメールに気が付かないフリをして空港の到着ロビーにいってやった。

到着ゲートから出てきたひよこは??て顔をしていたがやっぱりお迎えは嬉しかったらしく駆け寄ってきてくれた。嬉しい!ありがとう!といつになく素直なひよこがいた。仕事は?と聞かれたがそんなの半休取るに決まっている。たくさん体験してきた話を聞きたいし、もっというならさっさと仕事を片付けてやるべきことはやってきたのだから誰からも後ろ指さされる理由などないのだ。

有能な夫がいてよかったな!とふざけていうと
ほんとよね。と返された。

お?である。

アルベルトは来れなかった。なぜなら自分が出なくてはいけない会合の真っ最中だったからである。

空港はあまり利便性がよい立地ではないため
タクシーか電車かはたまたいつ来るかわからないバスに乗るしかない。だからやっぱり来たほうがいいに越したことはないのだ。

プラハの様子もさることながらやはりホームページのコスプレ先生は予想の斜め上な先生だったらしい。あんな変人みたことない!とひよこは言った。この場合の変人は褒め言葉である。

待合の場所をホテルラウンジ、ひよこはコスプレでくるのかな?てワクワクしてたらしい。

そして時間通りに現れたその人はモデル?てくらいに洗練された爆イケメンがきたらしい。

スーツで。

宮廷衣装コスプレしか知らないひよこは最初誰か分からなかったらしいが、相手はさっとひよこのテーブルのところについて、わたしがヨハンよ。よろしくね。と名乗ったらしい。

ひよこは数秒言葉が出なくなり口がパクパクしたらしいがお構い無しにその人は話しだした。

あら、あなた。わたしの体験レッスン受けに来たいっていったじゃない?時間無駄にするんじゃないでしょうね?わたしがキレイだからって見惚れてる場合じゃないでしょ!て

もう初っ端から面白過ぎるその話は
はよ続きはよ!なレベルである。

あの、先生コスプレは?
コスプレ?あれが仕事着なんだけど?
仕事着…あれでお仕事されている?…のですか?

あたりまえじゃなーい。あれがわたしの戦闘服よ?なに言ってるの?

でも今スーツだし

ああ、これは世を騙す仮そめよ?
ビジネスは見た目からもうビジネスがはじまっているのよ?働いてるあなただったらわかるでしょ?

ええ、はい。

で。体験レッスン受けにきたんだから覚悟はいい?

はい

で、なんでその服着てきたの?
クソダサい選手権にでも行くの?これが終わった後に。

…いいえ?クソダサい…

絶妙なるダサい感じ。ちょろっと可愛くしても無駄よ?言ってる意味わかる?

ちょろっと…

だってそうでしょ?
キレイなコはキレイになる義務があるのよ!
あーもう。これだから中途半端に礼儀作法学んできたコはほんとみんなこんなでイヤになっちゃうわ!

オレは開いた口が塞がらない。

そうか…ひよこは…そうかあ。

あんたにはあんたのふさわしい場所ってもんがあるの!

まさか今がサイコーなんて勘違いしてないでしょうね?それってほんとにほんとなの?

いや、精神的には満足してますよ?

…なんてどストレートな先生なんだろう。
これは万人受けするタイプではないことは確かだ。

ここでだいたいの女の子はキレて泣いたり、そのまま出ていって帰ってこない。などがあるようたが、このひと敢えてそれをやってるて
うっかり気がついてしまったひよこはそこで
頭を切り替えたらしい。

先生。わたし先生の書いた文章があまりにもわたしにマッチして会ってみたいて思って来ました!

あら。そうなの?

はい。それで今日今体験レッスン受けに来たんですけど、絶妙なダサい感じて
先生の感じたままを話してくださいませんか?わたしそれを教わりに来たんですからひきさがりませんよ?

…ふうん。だったら話してあげる。体験レッスンだものね。わたしの感じたままを言うわね。
先に言っておくけれど、あなたはちょろっと可愛くしても…もっとなんかこう…違うのよ。わかるかしら。
そう、あなたの美意識とか信念とかと違うからチグハグに見えちゃうわけ。
だからクソダサいっていってるの。

なるほど。

ヨハン先生はニヤリとしたらしい。

あなた。

はい。

ほんとにわたしのレッスン受けてみる気がある?

ええ。

結構ふっかけてる価格よ?

はい。わかってます

言い値で払うの?

値引きしてもらえるんですか?

さあね。

なら、こうしませんか?

なによ。

ふっかけてる分だけわたしに還元してください。

は?

わたしに!還元してください!

返金しろと?

いーえ!


見込みがありそうてことなんですよね?会ってくれてるわけだし。煽って様子見るくらいなんだから。

…。

だてに働いてるわけではありませんからね。
これでも人生紆余曲折してるんです。
 
ふうん。面白いわね。

わたしのレッスンみんなついてこれないて脱落者多いのよ?

だから完ストするっていってんだろ!!

あら。あなた。

ププッと先生は笑い出した。

実は女王様じゃない。わからないふりした眠り姫のほうが都合いいんじゃないの?いいの?

だからいいって言ってる。

了解。ならばお互い仲良くなりましょ?
わたしが1から鍛えなおしてあげる。

ありがとうございます。

ビザとかそのあたりの手配もやるから心配いらないわ。わたしマアマア顔きくのよ。

でしょうね。

ねえ、あなたはなんでわたしのところに来たの?

さあ。

ハハハ。わからないから来るのよね。

です。

お互い責任を持ちましょう。わたしはあなたに愛ある厳しさで接する責任があるし、あなたはそれをやり遂げる責任がある。それがあなたの払ったお金や時間が活きる理由になる。無駄にしないでね。

あの、先生?一つ質問が。

なに?
宮廷教育で誰を教育していたのですか?

そんなの〇〇決まってるじゃない。
おバカな子教える暇はないのよ?こっちは

あー、納得。

納得したの?それで?

はい。わたしがわかればいいんです。

変な子


てなわけでひよこはプラハに行く前からもう早速レッスンがはじまっていて、朝の起床時間から夜寝るまでの細かいタイムスケジュールや
教養を深めるための美術館巡りやその他諸々
政治・経済、金融、時事ありとあらゆる課題が課せられた。何一つ取りこぼしを許さないヨハン先生のレッスンはまるで帝王学のようでもある。新時代の。自分の王国の君主にふさわしい自分であるための帝王学。

これはほんとごくわずかなチャンスを逃さなかったひよこの冒険の旅になるだろうなー。


て、オレ捨てられないようにオレもこっそりとコピーして自主的な自学をしてたりして。
 













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