裏裏ひよこ日記。プラハで過ごす朝ごはん

あさ早い時間に仕事用の携帯が鳴り
すっかり目が覚めてしまった。
特に特別な用事はなくて
しいていえば家探しでマンションや一軒家をみて回るくらい。後はひよこの世話くらい。

今日のひよこは昨日持ってきたクレアの薬が効いたのかおなかは今痛くないらしい。

冷蔵庫に貼っているヨハン先生のところに在籍している栄養士からの今月の食材リストの中にレディースデーのときに特にオススメの食材なる項目を見つけて写メった。

後で買い物に行くときに買っておかなくてはならない。…だがしかしこれらの食材はもれなくひよこが苦手や嫌いで食べたがらない食材達が列挙されている。

レバーとかこの人ほんとうにキライだぞ。牡蠣だって大嫌い。と、いうか牡蠣にあたってから絶対口にしなくなった。ほんとうにあのときは大変だった。赤身の肉は問題ない。
ほうれん草は大丈夫。プルーンはオッケー。ブロッコリーも問題ない。…さつまいもは大好物だ。アーモンドはあまり好きじゃない。カシューナッツは好きだな。ブラウンライスに海藻…豆腐…

これはプラハでアジア食材店を探すしかないな。アイツ知ってるのか？聞いてみよう。

どーやって食べさせるかが課題だ。牡蠣はアレだが他の食材で上手く食べてもらわないと。

…でー、いまからの朝食はどうする？
と、冷蔵庫を開けるとスッカスカに近かった。
昨日のスープはビンゴだ。豆乳とほうれん草のスープは今のひよこのからだにマッチしたやつだったらしい。ブロッコリーとかの蒸し野菜も。俺冴えてるー。

黒パンを温めてポーチドエッグをつくるか。
それに昨日のスープで、
生姜…蜂蜜多めなジンジャーティにしようか。

冷蔵庫開けっ放しでなにしてるの？

ひよこが起きてきた。

あさめし何しようかなーって。

作ってくれるの？

ああ。

わぁーありがとう！

さて。じゃあ。やるか。

テーブルに並んだ朝食をみてひよこは目がまんまるになった。

え。あのプリントみたの？

貼ってたら見るだろ。

読んだんだ？

読むだろ貼ってんだから。

てか、食えるの？大丈夫なのか？

うん。全然大丈夫だよ。お気遣いありがとう。えー、ほんとうにすごい。

ぶっちぎりで褒められた。悪い気がしない。

ひよこが思い出し笑いしてる。

なに？

やー、わたしがアカデミーに入る前のフレッドはサンドイッチとゆでたまごくらいしか作れなかったし、お掃除はハウスキーパーさん雇ってたし、洗濯も大嫌いだし全部全部外注だったのに今全部やれちゃうんだからすごいねえ。

…そういやそうだったな。

ねー！

ひよこが楽しそうだ。

今なんて冷蔵庫みてレシピ考えてるんだもん。すごいよねー。

さとったんだよ。

ん？

料理は化学で、家事は錬金術だ。

そうなの？

オレにしてみりゃそうだったんだよ。

すごい悟りだねー。

かもな。あ、これ今日のが味が馴染んでるな。

ほんと。美味しいねー。

こういう時間が一番大事。
知らなかったオレが知ってしまった。

こっちにはどのくらいいるの？

１０日間の予定。

そんなおやすみして大丈夫なの？

休職してまで留学したお前にいわれるかなんてな笑

まあ、まあまあまあ

しっかりのんびりしてからだをやすめてくださいな。

だなあ。

おうち探しの他にはなにかしたいことあるの？

あー、いやべつに。
あ、昨日もらったハーバルバスの先生にちょっと興味があるかな。機会があれば話を聞いてみたい。

へぇそうなの？

まあ、うん。ハーバリストに興味はあるな。
元化学者としては。

そっかあ

気に入った物件見つかるといいね。

ぴよぴよはここがいいんだろ？

そうなんだけど、アパートの契約期間もあるしね。

そうなのか？

ヨハン先生次第だけどね。ここはヨハン先生の持ちものだし。

一緒が嫌なら別々に住んでもいいんだぞ？

イヤなんてあるわけないじゃない。
居てくれたら安心よ。ただ、ほら一人暮らししたことなかったからしてみたかったのよ。

そっか。

どうだった？一人暮らしは？

うん、全部しないといけないから大変！
でも楽しかったよ。はじめての一人暮らしが海外なんてわたしもやるもんだわ。

そうだな。ぴよぴよはすごいな。

うふふ〜ありがと！

ねー、話変わるけど。

なに？

ジンジャーティを飲みながらぴよぴよはわたしの勘違いかもしれなんだけどとモゴモゴいいだした。

なに？どうした？

寝てたらあったかくなっておなかのとこあったかくなったの。あれもしかしてフレッド手を当てててくれたのかなーって。

あー

背中がぽかぽかしておなかもぽかぽかしてよく寝れたの。

そりゃ良かったな。湯たんぽな人間がいて。

うん。ほんと。あったかかったの。

そりゃ良かったな。

ほんと

のんびりして時間を気にしなくていい
天気は良いし空も綺麗だ。

ありあわせの朝食だけど満足して食べられる。美味しい美味しいと感激して一緒に食べてくれてる安心できる人がそばにいる。ほんといいよな。こういうの。

エルンストよ。これがリア充だ
きっとアイツにはまだわかるまい。