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裏ひよこ日記。リア充で悪いなと電話を切る大先生

夜遅くに来てくれたフレデリック大先生は着いた早々にかなり遅めな晩ごはんを作ってくれた。ほうれん草と豆乳のポタージュはとても美味しくてペロリと平らげた。蒸した野菜とチキンは塩コショウとオリーブオイルにバルサミコ酢のドレッシング。これもとっても美味しかった。

着いた早々に目が乾くとコンタクトを外してメガネに替え、スーツのジャケットを脱いでシャツを腕まくりしてデニムのエプロンをしたフレデリック大先生を隠し撮りしたいがなかなかチャンスはやってこない。メガネの大先生も大変見応えがあり素晴らしいのだ。

マチルダ先生からもらったハーバルバスのハーブをフレデリック大先生は手慣れた様子で煮出し始めた。ふんわりと家の中がハーブのいい香りに包まれる。

はー、癒されるうう。ごはんを食べてソファに横になっているわたしがハーブの香りをスーハースーハーしているとフレデリック大先生はキビキビとわたしの洗濯モノを洗濯機に突っ込み洗濯を始めた。

や、それはあの…そこまではしなくていい

今更なんだ?別にいいだろ。

一応お年頃なんで…

はあ?こっちだっていいお年頃だぞ!

でしたね。

で?鎮痛剤は?どこ?

あ…今日買いに行くつもりだったから…朝飲んでなくなりました…たしかポーチにもう一個あったはず

……

オレがここにいることを激しく感謝するんだな。とフレデリック大先生は自分のトランクを開けた。

フレデリック大先生は私用のお薬各種を持ってきていた。

どーせお前のことだからそんな事だろうと思ってくる前にクレアに頼んでいくつか買ってきたから間違いないだろう。
なあ、お前そんなポンコツでここでの一人暮らし大丈夫か?

なんとかやれてます。

へー。いや、多分誰かのヘルプはあったほうがよさそうだけどな。

それは時々そう思ったりもする。


フレッド、それ!ちょうだい。それ飲まないとツライ。

フレッドはマグカップに水をいれて横になっているわたしにお薬とマグカップをくれた。

大丈夫か?無理すんな

お風呂にはいってくる。

クラッときたら呼ぶんだぞ?

そんな恥ずかしい事できません。

そんなつもりでいってねえ。


フレデリック大先生は小鍋で煮出したハーブ液をバスタブの中に全部いれて小袋にはいったハーブもバスタブに入れた。

ほら。準備できたぞ

ありがとうー!!感謝感謝大感謝!!

いいから入れ。

マチルダ先生から貰ったハーバルバスはすごくいいお湯だった。バスタブにしばらく浸かって髪を洗ってからだを洗って顔を洗って上がると大先生が待ち構えていた。

髪を乾かすからそこに座れ。

乾かしてくれるの?

ついでだ。その前にアレとブラシがいる。

すぐ持ってきます!!

ちゃんと知ってるんだ。ヘアオイルつけて髪乾かしたりブラシブローしたりしてるの。
へえー。ふうーん。

乾かす前に毛先にヘアオイルをつけて器用にドライヤーとブラシを使いながら髪を乾かしてくれている音がする中わたしはフレッドに話しかけた。

今日何時から仕事だったの?

7時

朝何時に起きたの?

4時30くらい?

前の日何時に寝たの?

ちょっと!

あー、2時くらい

寝てないに等しくない?早くない?てか最近めっちゃ早くから仕事してない?大丈夫なの?

問題ない。

ふうん…

いまは各部門の予算ぎめのあら方を出してたからしかたねえの!

ああ、もうそういう時期なんだね。

で、なんでそんな遅くに寝たの?

帰るのがおせーからだろ。

何時に帰ったの?

だから夜何時に?

25時とか?

はあ?は?はー?

なに?おまえも締め切り前とか広報で2完徹やってただろ

からだ大丈夫なのっ?

健康だけど?

じゃあ、じゃあメンタルは?!

フレッドは笑い出した。

はい。完了!

わ!サラサラだー。

頭のてっぺんに輪っかができてる。

美容師さんにも向いてるかもね。

知らんやつの頭や髪に触るのはイヤだね。

…ふうん。

さて、俺も風呂入るかな。

あ!そうだ。これ使えば?

これ?お前のじゃん。

またつくればいいし。

まあ、試してみるのも悪くないな。
バスタブに浸かるの久しぶりだし。

ぜひっ!ぜひ!ごゆるりとお過ごしくださいませ!!

あ、ああ。

わたしは早速フレデリック大先生のためにさっきの小鍋でハーブを煮出した。

トランクから自分の着替えとかいろいろ出してきてわたしが煮出したハーブの液をいれてフレッドはお風呂にはいった。

わたしは寝る支度を始めた。
えーっとその前に頑張ってる大先生にお茶を差し上げなければ。と、わたしはチャイを作りはじめた。フレッドはスパイスが効いたほうが好きなのでスパイスを多めに入れた。

はあー。生き返る。

お風呂から上がったフレッドは首をゴキゴキ鳴らしてる。

わたし髪乾かしてあげるよ!

いいけどぐちゃぐちゃにかわかすなよ?

大丈夫でっす!

乾かしている中なぜかフレッドはひとりでクスクスとわらっている

なに?

いや。大丈夫。腕は上がってる。鳥の巣みたいになってない。ズズッとチャイを飲みながらフレッドはまた思い出し笑いをした。

…鳥の巣。

昔あったろ?乾かしてやるっていったら髪が絡まったやつ。

あー。あったね!

それを思い出したんだよ。

そんな事もありましたなあ。

わたしもオトナになりましたー。

まあ、うん。そうだな。

…寝るか。

そだね。

なんか俺久しぶりに眠たい気分になってる。

いいことじゃない

やっぱ寝具替えて正解だったよな。フレッドはマットレスを押して感触を確かめている。

うん。悔しいけど寝心地が全然違うの。

だろうな。

おまえがいないとつまんねえ
ふいっと背中を向けられた。

もう、寝る

おやすみ。

おやすみ。

言うが早いかスースー寝息が聞こえてきた。
そりゃそうだ。だって激務の日々にさらにこっちまで来たんだから疲れてるに決まってる。


スースー寝息を立ててるお隣の人にむかって謝辞を述べてみる。

いつもありがとう。スゴイよね。尊敬してる。

わたしも眠たくなってきた。

寝てたらなんだかほわ~とあったかくなった
あー、あったかーい。ぽかぽかするー。と思いながらくかーっとさらに深く寝た。

朝方目覚ましなのか着信なのか分からないけど音が聞こえてきた。

半分寝ぼけてあちこち手をのばして音が鳴るモノを掴もうとしたら、ごちんとなにかにあたった。どうやらわたしの手がフレッドのアゴにあたったらしい。

…!!イッてえ!

あれ、向きが変わってる?

音の正体はフレッドのスマホだったらしく 
寝起きな声でもしもしとか言ってる。
頭の上でもしもしと話されだした。

なんだ、フレッドのか。と音の正体が判明したのでわたしはまたぼんやりしはじめた。

ボソボソと話しているから内容はわかんないけど多分仕事の話しなんだろう。

はい。はい。わかった。後からメールで資料送る。引きつぎはチームのやつにしてるからきけばいい。は?帰らねえからな。お前らでどうにかしろ。

は?ひよこ?まだ寝てるけど?
どこ?どこってプラハ。


電話の向こう側の声が突然大きな声でうおーとか叫んでる声が聞こえてきた。

さすがのわたしも目が覚める。

なんだなんだ?とキョロキョロすると
フレッドから
しいーっ。て人差し指を口に当てられ目で合図してきた。黙ってろということらしい。

なに?えっ?オレがこんなに忙しいのに?!

エルンスト先生の声が聞こえてきた。

あさっぱらから騒ぐなエルンスト。

リア充爆発しろー!!エルンスト先生がじゃれてる

わるいなエルンスト。リア充で。

はあ?なにそれ。何してるんだ?

知りたいのか?多分お前発狂するんじゃね?

フレッドはエルンスト先生をからかい始めた。

は?なにそれ?クソムカつくんだけど?

お前仕事場だろ?
いやー、久しぶりにぐっすり寝たわ。やっぱいいなリアルは。


戻ったらむちゃくちゃ仕事フッてやるからなー!!

ハイハイハイハイ好きにしろ。じゃあな。

あー、だるっ。

ポイッと仕事用のスマホを投げてフレッドはまたベッドにもぐりこんだ。

せっかくいい気分で寝てたのに。
ぶつくさ言い出した。

面白い。

あははははっ!たまらず吹き出すとフレッドもつられて笑い出した。

何時だと思ってるんだ。まだ5:30だぞ?

テンション高かったね

アレは完徹明けだな。

エルンスト先生カッコいいのに。もったいないね。


そうだな。


今日は?調子は?

今は落ち着いてる。
なんか夜中寝てたらあったかくなって、それがよかったみたい


…ふうん


今日は朝飯に何作るかなー。突然ガバって起きた。メガネをかけてテーブルに置いてるパソコンをカチャカチャやりだした。多分資料送ってあげてるんだろう


あれなんかフレッドまたなんか思い出し笑いしてんの?ひとりで笑ってるし。

なにひとりでニヤニヤしてんの?

別にいいだろ?

あ、今日は午後から出かけるから。

用事?

ああ。家見に行く。

家?


オレはリア充が死ぬほど大事なの。

そうなの?

一番大事な物はやっぱ手放しちゃダメだなて。









 










 





























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