裏ひよこ日記 12月12日 クリスマスまでもう少し
会社帰りのカフェで少し早めのメリークリスマスレターを渡し、その場で読んでもらった。
ひよこはレターを読みながらひとりでカフェでテンパってカフェオレをひっくり返した。
手紙がカフェオレに染まった。
幸い文面には染み込まず難を逃れた
ごめんねごめんね!と慌てていた
また書けばいいだろ気にすんな。
書いてくれるの?
お望みとあらば。いくらでも
どうせ来年もちょうだいとかいうんだろ?
あら。素敵
ま、今年はあなたからもらえるみたいだし?
へへっ
どんなラブレターくれるのか楽しみだなあ。
うひゃーハードルあげないでっ!!
その夜はひとり色々考えていた。
やらなければいけないリストを書き出す。
絶対後悔させないから。と言い切ったのだから
できることは全部に手を打つ。
ひよこには今回の事はオレに一任してくれないか?と言った。
俺がしたいの。自分のためにも。
無理してない?
いいや全然
ほんとうにほんと?
ほんとうにほんと
今までだって充分幸せだった。だけれどももっと願った自分自身のためにしておきたいことがある。
もし自分がこうすることでこの世界から自分が消滅してしまったら?を考えるとやっぱり一番にボスと話をしておきたい。
ボスの副官でもあるエルンストにテキストを送る。
明日ボスに面会できる時間はある?
緊急?
どうしても話をしておきたいことがある。
なら、明日の朝11:00に10分だけだが面会時間作っておいてやる。
恩に着る
なになにどうしたのさ、真面目な話するわけ?
まあ、そんなところ
結婚って俺らには別の意味がある。同化するのかしないのか選択できるのか。魂由来は同派性でもからだは個人の所有だ。考えかたも育ったバックグラウンドも好みも何もかも全部自分のものだ。
もしも選ぶ権利があるのなら
俺は俺を尊重したい。何者でもない自分のために。
ボスはなんていうんだろう。
ありなのかなしなのか
もしも自分が消えるなら、悔いのないように
しておきたい。ひよこにはこの話をしている。泣いて泣いてグズグズになって大喧嘩したし、誰にもわからないし理解しようがない二人だけの葛藤をたくさんたくさんしてきた。
ただ単にあのひとにはとことん幸せになってもらいたいだけだ。
ひよこも同じことを言った。
ひとりでカッコつけて消えるなんてゆるさない。
しかたねーだろ、決まりなら
そんな決まり誰が決めたの?
しらね
わたしいったよね?
幸せにしてあげる。って守ってあげるって
忘れてないよね?
だから幸せにしてもらってるしちゃんと守られてるじゃないか。今この瞬間ですら
ずーっとよ。ずーっと!!わたしが幸せにするしわたしが守るの!
勇ましい奥さんでよかったよ。
ハイハイわかってる。わかってるよ。
自分のからだが消えないなら
絶対に後悔させないように生きていく。
そんな意味もあるひよこに渡した手紙。
今年の手紙はちょっといやだいぶ特別
嬉しそうだが泣きそうになるのを一生懸命こらえていたのは見逃さなかった。
それは自分もそうだったから二人とも何もいわなかったけど。