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おめでとう

この頃雰囲気が変わったといわれる。
自分じゃわからないが違うらしい。

落ち着いた雰囲気になった。とか
包容力とか色気が出てきたとかもあった。

自分では昔よりサヴィル・ロウで仕立てたスーツがサマになるようになったな。というのと茶色が似合うようになったなというのは鏡でわかる。

ざっくりまとめると落ち着いて、熟してきた(年とった)てことなんだろう。
悪くないと思う。人として成長したってことだろうし。

結婚とか家庭とか向いてないと思っていた。
誰かを愛するとその人は自分の元から消えてしまい、幸せになってはいけないのだと思ってた

的な話を何かの流れでいったら

えー、うそでしょ?当時は知らないけど今はマメでお金の管理もすごく上手だし、堅実計画的で家事も得意だし、背が高くて顔もカッコいいし言うことないじゃない。もういい加減幸せになったら?何勝手に幸せになったらいけない病にかかってんのよ。解呪したら?

なかなか衝撃的な一言を彼女はポップコーンを食べながらいったのであった

そのくらいの時期から彼女の仕事がどんどん忙しくなり、仕事になれてきた2年目あたりから出張に次ぐ出張の日々が始まった。部長にかなり鍛えられ見た目からしてみるみる洗練されはじめていき、帰宅時間もまばらで早く帰ってきても自室に引っ込み講義を受け、レポートを仕上げ、休みの日は習い事、図書館で資料探し。スケジュールはタイトでカラダはぐっと絞られた。あの子仕事大好きだし、没入しすぎて僕を忘れられたら困る!と、アルベルトは毎日毎日毎日毎日今まで以上に口説き倒し、それでも彼女に今考えられない、忙しいと渋られ、こうなれば最後の手段と無断で結婚式の手配をしはじめ彼女を呆れさせ、最後に大笑いして、もう、わかった!降参!参りました。と言わせた。アルベルトの勝利である。


あの、しつこさ少し分けてほしい



アルベルトはクラリスみたいなクラシカルなウェディングドレスを随分前から用意していたようで、彼女に試着してもらいサイズの微調整をし、真珠のロングネックレスをつけた。彼女は「ただいま」とアルベルトに言った。未来永劫一生離すもんかとアルベルトは答え彼は目を潤ませた。…だろうなあ、100年の孤独に耐えたしつこさと他人が引くくらいの猛烈なアプローチ?の集大成。これで彼女が幸せにならなかったらアルベルトを抹殺するしかない。あれだけ望まれてるのだから間違いなく大切にしてもらえるはず。

そんなのわかりきった事だけど。

え、オレ?こだわりはないから。そもそもいくつかの課題を一緒にクリアする特別なパートナーだしそれは変わりない。しかもこの世界は結婚制度なんてない。形に残るものがしたかったアルベルトの意向を汲んだだけだ。愛の形は人それぞれ。自分にそういうのがないわけではない。見せたい人にしか見せない。それだけだ。


かといって生活に大差はなく相変わらず3人で暮らしている。


それから2年と少したってからオレと彼女は宣誓式を行った。なんとなくそういうのいいな。と思ったからだった。ステンドグラスが美しい小さな教会。ドレスは随分昔の誕生日プレゼントに買ったヴィンテージのレースのドレスを少しリフォームし、高貴なる美しい姿だった。宣誓の証人はアルベルトでアルと彼女の息子小さなジョシュアが彼女を追ってよちよちと歩き、そのあまりの可愛さに列席者全員悶絶した。


ふたりで写真を撮り、それからアルベルトとジョシュアと俺たちで家族写真を撮った。
ファミリー記念日は彼女の誕生日でもある。



今年のファミリー記念日はみんなでギリシャにヴァカンスに行くことにしている。

それとは別に彼女の誕生日プレゼントを何にしようか目下考え中。


今年はもっといい年にしよう。花咲ける一年でありますように。おめでとう。来年もそう言えますように






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