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【ピー助がうちの猫になるまで】    畑とごはんと猫便りvol.21

うちのピー助は13年前,職場から連れて帰った猫だ。溝に落ちていたところを拾われてきたのだ。子猫は弱っていた。でも,目は既に開いており,とても可愛い顔をしていた。これはひいき目ではない。本当に,誰から見ても可愛かった。と思う(=^・^=)

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職場で,段ボールを用意しタオルを敷いて,子猫をそっと入れた。手のひらに乗るくらい小さい。「にゃおにゃお」ではなく「ミュウミュウ」と鳴く。本当に可愛い。胸がきゅんとなった。

猫のことを知らないから,私のお昼ご飯用の牛乳を飲ませた。本当は人間用のミルクは飲ませてはいけない。どちらにしても,子猫は弱っており,ほとんど牛乳を飲まなかった。飲んだり食べたりしないので,このままでは死んでしまうかもしれないと不安になったものだ。

夕方になり,私は施錠に回った。子猫を段ボールから抱き上げ,連れて行った。私は,もう子猫を手放したくなかった。そっと,廊下に置くと,よちよちと歩き始めた。本当によちよち歩きだった。足元がおぼつかない。それでも,私の後ろを一生懸命についてくるのだ。階段は無理だろうと思ったが,一生懸命登ってくる。離れてはいけないと野性の勘が働いたのかもしれない。とにかく一生懸命ついてくる。この時,私は決心した。連れて帰ろうと。上司は保護施設へ連れて行くと言った。「いいえ,私が連れて帰ります。」と,上司の言葉をやわらかく遮り職場を後にした,子猫を段ボール箱に入れて。

私はそのまま,子猫を動物病院に連れて行った。その頃,うちにいたメイという犬がお世話になっていた安心できる病院だ。連絡はしておいたものの,ドキドキしながら診察室に入った,段ボール箱を抱えて。

私は猫を飼ったことはない,と思う。家に猫がいたことはあったが,あれは猫を飼っていたといえるのかどうか疑問である。うちは,ずっと犬派であった。

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診察室に入ると,「段ボール箱ではだめですよ。飛び出してしまいますからね。猫ちゃん用のキャリーバックがありますから,今度から,そちらに入れて連れてきてやってください。」と言われた。そうなんだ。そうだよね。きちんとしたバッグがあるはずだ。段ボール箱に入っている猫や犬を漫画などでよく見ていたので,それでよいと思った自分が恥ずかしかった。

「名前はなんといいますか?」と聞かれ,とっさに「ぴいすけです。」と答えた。妹の家で買っているセキセイインコの名前だ。あんまり,妹がインコの可愛さを自慢するものだから,つい,その名前が口に出たのだ。すると,「『すけ』はどんな字ですか?」と聞かれた。「え~と,あの~。」答えられず,もごもご言っていた。そりゃあ,そうだよ。連れて来るのに精いっぱいで名前まで考える余裕はなかったんだから。

そこからは早かった。看護師さんが「じゃあ,助けるの『助』にしましょう。」と助け船を出してくれ,「ぴい」は「ピー」と片仮名にしてもらった。ますます,インコらしくなった。でも,これで,めでたく,子猫はうちの猫となり,「ピー助」という名前まで頂戴したわけである。名付け親はいったい誰なのだろう。実のところ,私は,ピー助の名付け親は看護師さんだと思っている 笑。

名前を付けるワクワク感を感じることはできなかったが,私はこの名前が気に入っている。当のピー助はどうだろうか。でも,「ピー助!」と呼ぶと,しっぽを振って返事の代わりとしているので,まんざらでもないのだろう。自分がピー助だと思っているらしい。

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その日,病院で健康診断をしてもらったが,特に異常はなかった。白血病や猫エイズにもかかっていない。「あんたのお母さんは偉かったんだね。あんたを病気にさせていなかったんだよ。」と,ここにいない母猫に感謝した。一体どんなお母さんなんだろう。会ってみたかった~ だから,ピー助が来て少しの間,車で例の溝の周りをうろうろしていたものだ。もしかすると,母猫が子供をさがしているかもしれないから。

そうそう,ピー助にはノミがいるだろうということで,ノミを退治する薬と目ヤニを抑える目薬をもらい,帰途についた。今日から,この子は私の家に住む。                           

<つづきはまたいつか>

【今日の一品】茄子とゴーヤの煮びたし                美味しかったです!油揚げがいい仕事しますよ^^

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