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トマトラーメン【エッセイ1】
トマトラーメンを食べた。
ラーメン味のトマトなのか、それともトマト味のラーメンなのか、どっちだろう。どちらかといえば後者な様な気がする。一体どちらなのか分からなくなるくらい濃厚で美味しかった。
とろけてのびるチーズに、シャキシャキさも残したしんなりほうれん草、熟れたトマトにアクセントでバジル。
食欲の加速がずっと右肩上がりだった至福の時間。
替え玉の代わりに替えリゾットで〆。美味しいが次から次にやってきて、久しぶりに純粋に食を楽しめた。
おなかもいっぱいになって背もたれに身を預けたとき、肩の力がスッと抜けたような気がした。
心が休める状態にようやく落ち着いたような。
ここ最近ずっと気が滅入っていたのだ。
何が原因なのか分からないほどに、頭がごちゃごちゃしていた。
無気力な自分に嫌気がさす毎日に、突如として登場したトマトラーメン。
仲のいい先輩がご飯に誘ってくれたおかげで出会えたトマトラーメン。
「人生観が変わるトマトラーメンがあるんだよ」
「食べに行こうよ」
半信半疑だった。ラーメンなんかが人生観を変えるわけがないだろうと。
ところがどうだ。気の滅入りが靄が晴れたようにどこかへ行った。感情が感情として正常に機能し始めるセンセーショナル。人生観とまではいかないかもしれないが、人生の風向きをそっと変えてくれた。
心をほぐしてくれるトマトラーメン。
誘ってくれた先輩に感謝。