税理士がわかりやすく解説!南海トラフ地震に備えたBCP(事業継続計画)ガイド

BCP(事業継続計画)とは

BCP(Business Continuity Plan)とは、地震や豪雨、地震などの自然災害や、情報システムの障害、セキュリティ問題、テロといった予期せぬ事態が発生した場合でも、会社が重要な業務を継続できるように事前に計画を立てることです。

経理担当者が知っておくべきBCPの重要性

BCPにとって、経理データの安全を確保することは非常に重要です。災害時でも給与の支払い、税務処理、財務データの管理など、日常業務を滞りなく行えるようにしなければなりません。

1.災害時の財務の安定化

災害時に給与の支払いが遅れると従業員の生活に大きな影響を与えます。また、得意先に対する支払いや企業の納税義務が果たせないと加算税などが発生する可能性もあります。これらを防ぐために非常時でも迅速に対応できるようにして必要な資金など準備しておきましょう。

2.バックアップの確保

経理データや会計システムのバックアップは、BCP策定においてとても重要な要素です。定期的にデータをバックアップし、安全な場所に保管することで、システム障害時でもデータを迅速に復旧できます。
※経理データをインターネット上に保管できるクラウド会計ソフトを利用することもおすすめです。

3.税制優遇措置

BCPを策定・実施することで、税制優遇措置を受けることが可能です。具体的には、令和元年7月16日から令和7年3月31日までに「事業継続力強化計画」などの認定を受けた事業者が、その認定を受けた日から1年以内に対象設備を取得等し、事業に使用した場合、特別償却18%の税制措置を受けることができます。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/download/keizokuryoku/bousaizeisei_yoryo.pdf

BCPの前提条件と策定手順

BCPを策定する際には、まず「なぜBCPを策定するのか」という目的、前提条件を明確にします。テンプレートを流用しただけでは、いざというときに指針となるBCPにはなりません。策定をするときは従業員らの安否確認、自社の設備・拠点・取引先の被災状況をいちはやく把握し、復旧対応にむけて稼働していくというBCPの目的を見失わず、自社の体制や規模に合った戦略と基本方針を土台に計画を立てましょう。策定して終わりではなく、継続的に運用・改善をしていくためにPDCAサイクルを定期的に見直していくことも大切です。

1.前提条件の整理と明確化

非常時が発生した場合に最も対応を優先すべき重要な業務は何かを洗い出し、その業務を継続するにはどんな対策が必要かを明確にします。

2.BCPの策定後にやること

財務データや給与システムの復旧計画の策定、対応する担当者の決定、定期的なBCPの見直しと社員の訓練などを行います。

BCP策定における税理士との連携

経理担当者がBCPを策定する際、税理士との連携は非常に重要です。災害時の税務対応や事業継続に必要な財務戦略について、BCP策定前に税理士からアドバイスを受けておくとよいでしょう。

また災害時には、例えば、納税期限の延長や納税額の減額申請など、緊急的な税務対応が必要になる場合があります。非常時にも税理士から迅速な対応を受けられるように、事前にBCPについて話し合い連携を深めておくとよいと思います。

BCP策定のガイドライン

内閣府や中小企業庁が提供するガイドラインでは、BCP策定のための基本的な手順や注意点が詳しく説明されています。ぜひ策定時の参考にしてください。自治体の協同組合などでBCPについてアドバイスしていることもあるので、相談するのもおすすめです。

https://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline03.pdf

https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/

南海トラフ地震・東南海地震への対応

最後に南海トラフ地震に備えて、企業が事前にやるべきことを6つにまとめました。

1.BCP(事業継続計画)の策定と訓練

企業全体でBCPを策定し、災害発生時の対応を明確にします。また、定期的に訓練を行い、BCPも策定して終わりにしないように気をつけましょう。

2.耐震工事の実施

施設や設備の耐震性を強化し、建物や機械が地震による損傷を最小限に抑えるようにします。

3.データとシステムのバックアップ

財務データや重要な基幹システムのバックアップを定期的に実施し、災害時に迅速に復旧できる体制を整えます。

4.非常通信網と災害備蓄品の準備

通信手段が途絶えた際に備え、非常通信網を確保します。また、災害時に必要な備蓄品(食料、水、医薬品、発電機など)を準備しておきます。

5.協力関係の構築

地域の他企業や自治体、支援機関と協力関係を築き、災害時に情報共有や支援を受けやすい体制を作ります。

6.社員への教育と安全対策の強化

全社員に対して、地震時の安全対策や避難経路を教育し、災害時に迅速かつ安全に行動できるようにします。

経理担当者が取り組むべきBCPのポイント

BCPは策定後、時間の経過とともに新しいリスクが発生したり、業務内容が変わったりと企業は変わっていきます。そのため、企業の変化にあわせた定期的な見直しが不可欠です。また、実際に災害が発生した場合に備えて、会社全体で訓練を行い、社員の意識を高めることも大切です。

税理士や総務部、工業の技術部や営業部など関係部署との連携を強化し、災害時に協力してスムーズに対応できる体制を整えておくことも求められます。

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