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GLAYの「WET DREAM」という問題作が面白い件
2025年2月22日、東京ドームで開催されたLUNA SEAとGLAYの対バン「The Millennium Eve LUNA SEA | GLAY」で、なんとGLAYが「WET DREAM」を演奏したらしい。
これは非常にレアな選曲だと思う。私はライブに参戦してないのだけど、当日ライブで聴けた人が羨ましい!
ということで、今日は隠れた名曲「WET DREAM」について話したいと思います。
リリースは2001年11月。オリジナルアルバム「ONE LOVE」の2曲目に収録されたアルバム曲ですね。
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いきなり歪みまくったギターから始まるのが印象的です。こういうギターの音をファズトーンって言うんだっけ?(違ったらすみません)
で、その次にもっと印象的なフレーズ、「WET DREAM」という曲の代名詞とも言うべき決定的なフレーズが炸裂する。
今朝ベッドからrevolution
なんぞ、それ?!
というフレーズですよね。
2001年当時、「レボリューション」といえば、TMレボリューションか恋愛レボリューション21だったわけなんですけど、それらの印象をも吹き飛ばすような圧倒的な存在感ですね。
実はこれの元ネタは、OASISの「Don't look back in anger」の歌詞なのです。
So I start a revolution from my bed
Cause you said the brains I had went to my head
だから僕はベッドから革命を起こすのさ
だって君が僕のことをうぬぼれ屋だなんて言うからさ
OASISのこの曲の歌詞はかなり難解で、巷には様々な解釈があるのだけど、その一節を拝借したGLAYの「WET DREAM」のほうは、歌詞の世界観はかなりシンプルに見えますね。言うなれば「垢ぬけない少年の野望」って感じ。
でも、サビ後のDメロ「力コブを突き出して~」の部分で、ちょっと奇妙なギターが鳴るんですよね。ペン、ペン、といった感じの。歌詞では強がってるけど、それはただの妄想なんじゃないかといった雰囲気が出てますよね。WET DREAMの主人公も「うぬぼれ屋」なのかもしれません。
ちなみにWET DREAMの意味は、ずばり「夢精」。
「今朝ベッドからrevlotion」という意味が分かってきますね(笑)
さて、「WET DREAM」を語るうえでアルバム「ONE LOVE」という存在の意義についても触れておきたいと思います。
まず、1999年にリリースした前作「HEAVY GAUGE」は、その名の通り「HEAVY GAUGE」という表題曲から始まり、次のような歌詞からスタートします。
愛を忘れたい この世界の終わりとともに
いつも眠れない 覚醒す 真夜中のこの時間
そして、2曲目の「FATSOUNDS」でもこの流れを汲み、「愛」というものへのアンチテーゼが見えてきます。
凍るようなこの世の中で愛なんて役に立つか
実際、この"やさぐれた"テーマがアルバム「HEAVY GAUGE」全体を貫いているのです。そして次作「ONE LOVE」でも、そのテーマを引きずっていて、一曲目の「ALL STANDARD IS YOU」は、冒頭の歌詞が以下である。
思い切り人を傷つけてしまいたい それでしか自分の存在を語れない
眠れるなら もう疲れたろう? 目覚めれば夢より狂いだしたストーリー
激しいギターサウンドも相まって、これは前作の陰鬱さをそのまま引き継ぐのか?と思わせるのだけど、その後すぐに「愛」というものの救いが訪れる。
あなたの幸せ願わない日はない
この曲の後半からは、優しい曲調のなか、愛というもの賞賛が見えます。ここで、アルバム「ONE LOVE」というタイトル通り、愛の讃歌がテーマであることが決定的となります。「このアルバムは明るいアルバムなんだ!」と思わせたところで、2曲目に、前作の「FATSOUNDS」と同じ、ハードロックな曲「WET DREAM」が出てくるのです。
でも「WET DREAM」という曲が、「HEAVY GAUGE」の2曲目にあるのと「ONE LOVE」の2曲目にあるのとでは、ずいぶんと印象が変わると思いませんか?
なんだか、Dメロのぺんぺんしたギターが急に可愛らしく思えてきました。