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2021/06/21(少女歌劇)

『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』を……見た! それほどネタバレなど別にないと思うしそういう映画でもない気がするが、ちょっと話す。

昨日の日記に書いたとおりに正直あまりこのアニメ作品(申し訳ないが舞台はまだ見たことがない)に対する良き理解者ではなかったという自認があったのだけれど、いや本当にびっくりするぐらい良かった。今までずっとこれが見たかったけれど見られなかったから微妙な顔をしてたんじゃないかとすら思う。自分がそのパターンだったからちょっと思うんだけど、TV版にピンときていない人ほどある意味満足できる説まであるんじゃないだろうか?
まあまあファイティングポーズしてたんだけど、中盤から「この映画が2時間見られるなんて嬉しいなあ」以外の気持ちがなかった。

純粋に2時間の映像作品になったことで構成も洗練されている気がした。
個人的にだけれどこの作品は冗長なテレビアニメの形態(テレビアニメの問題とか、TV版スタァライトの問題というよりも、テレビアニメの性質的に良くも悪くも冗長であるという話)よりもマッチしていたのではないかと思う。序盤の現実パートから劇的にレヴューへと切り替わり、その後も色々なパートを反復横とびしながら突き進んでいく、スピード感のある作りがとても気持ちいい。後半の様々な趣向を凝らしたレヴューパートの連打は本当にエキサイティングだった。

レヴューが徹底的に「舞台装置」だったのも個人的に良かった。テレビ版のレヴューも登場人物の決意や感情の表現としての側面も大きいレヴューではあったのだが、実際のストーリーにもレヴューそのものがそれなりに食い込んできており、とはいえそうした超現実のレヴューがどういったものなのかはあまりクローズアップされず、今ひとつ設定的には回収されないことが気になっていた。一方で今回は徹底的に物語のための、人物を描くための装置としてのレヴューという印象が強く、より先鋭化したことで作品の構造がすっきりしていて見やすい。
更に現実パートも「舞台の学園」という要素が短いながらもTV版以上に掘り下げられていた印象で(これはTV版を改めて見たらどうか少しわからないが)、彼女たちが実際に作る現実の舞台も直接描写されないながらも、より地に足がついたものとして感じることができた。このあたりは昨日の日記で野暮なオタクがうだうだいったあたりがきれいに解消されていてびっくりしたなという話です。

そういう個人的に引っかかっていたことが解消されたこともあってか、はたまた実際に劇場に足を運んだ効果もあったのか、観客を巻き込むメタフィクションっぽさもすんなり受け止められた気がする。というか、メタフィクションっぽさを押し付けている(キリンが話してくるみたいな)感じはせず、演出とセリフ回しでそういう話をしているんだろうな、と理解させつつも彼女たちとしては以前画面の中だけで世界が構築されているんだな、と感じることができた。
このことはアニメーション的にも良いものを感じていて、アニメーション(映像)で舞台をやりつつ、アニメーション(映像)でしか出来ない舞台をやっていてよかったなと思う。例えばあるシーンでは交互に正面からの人物を交互に映すカットがあるのだけど、この演劇っぽいこちらに語りかけるような画面を生み出しつつ、同時に対面した会話シーンとして成り立っているのは、カメラを自由に使えるアニメならではといえる。他にもカメラワークは当然俯瞰だけではなく縦横無尽に動かせるわけで、上部から舞台の床の仕掛けを見せてみるなんてシーンもあって面白い。
アニメでしか出来ない舞台であり、それが少女たちの物語のための文字通りの「舞台装置」として動きまくる、そのことになんとも言えない興奮があった。あまりどころか全く舞台に対して詳しくないのだが、素晴らしいステージを見た時のような心地がした。

さてまあこういう話をしているだけでもちょっと長くなってしまったけど、とにかくシンプルにケレン味あふれるアニメーションが本当に気持ちいい。構成だけでなく、画面としても劇場版作品としてブラッシュアップされて、そして更にゴージャスになっているのを感じた。好きなシーンはやっぱり電車で、終わった後しばらく自分の足をカツンカツン鳴らすことしか考えてなかったね。
あとはそれぞれの登場人物の、その後の新たなドラマが見られたのも嬉しい。華恋とひかりの話に周囲のお話が付随していた印象のあるTV版よりも更に群像劇としての物語を感じた気がするな。やっぱり良かったでいうと露崎さんが本当にデッッカイ人間で良かった。みんな強くて人間としてデカかったので、良かった。ファッティが好きなので。
ということでシンプルに強いアニメだったな~という感じでした。純粋な映像の楽しさで言うならば随一かもしれない。良かった。
あとやっぱり自分は別れの話美しく感じるんだなと思った。なんでだろうね、1人で歩んでいけることの気高さだとか、やっぱり人間どこまで行っても悪い意味ではなく孤独な部分があると思うからそういう描かれ方をどこか真実に感じるとか、そういうところがいろいろあるのかもしれない。

今日見たアニメは、やくも12、こいきも12、ひげひろ12、セナレボ12(再)、オッドタクシー12。

やくも最終回、素晴らしいね。生活としての陶器と、芸術としての陶器。使われるものと、飾られるもの。そして技術と楽しさ……といった風に陶器に絡んでくるいろいろな側面を細やかに描いていった作品ではないかな、と思う。壊れちゃうのびっくりしたけど、なんだかうまくいえないんだけれど、その面白そうな感じに姫ちゃん父が惹かれてしまったということに陶器というものの自由な楽しさがあるというか、なんかうまくいえないんだけどスゲ~よかったなと思っちゃったな。2期、むちゃくちゃ嬉しいぜ。

こいきもも最終回。まあこうあるべき最終回という感じで驚きはまったくなかったが、このお話に必要なのはこういうあるべき最終回だろう、と強く思う。そこまで自分の戦場ではないだろう、などと思いつついい作品だったな。最終回で多丸とアリエッティ声入で出してほしかったかな、という気持ちはある。

セナレボがあまりに良くて今日も丸々見たけれどやっぱり抜群の最終回だ。オッドタクシーも良かったし面白いアニメ見すぎて面白いアニメ人間になってきた。

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