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2023/06/13 本(陰陽師)・アニメ

本(陰陽師)

『陰陽師 安倍晴明と蘆屋道満』(繁田信一著)を読んだ。物語において神がかり的な存在として扱われる陰陽師の実態がどうであったか、ということを平安時代の貴族たちが怪異と捉えていたことや生活に根ざした禁忌などを取り上げつつ解説していく本で、面白かった。御所に普段見かけない動物が出現したことを怪異と見做して大騒ぎする……というあたりであれば現代の価値観的には微笑ましくも感じる(当時は実際に大事だったので笑い事ではないのだろうが)が、呪詛の段は呪い呪われの平安貴族のどろどろした政争の様子が感じられてなかなか恐ろしい。こうした平安時代の呪術的なあれこれに関わっていたのが陰陽師なのだが、安倍晴明を始めとした貴族の「官人陰陽師」は同時に天文学や暦に通じた知識層だったという。一方の(蘆屋)道満ら僧上がりの「法師陰陽師」はわずかな官人陰陽師たちではカバーしきれない範囲の身分の低い層(同時に中には貴族も含む)の呪術的あれこれを支えていたそうな。
キャッチーさも狙って付けられたであろう「安倍晴明と蘆屋道満」という副題の割に彼らの話題に割かれている部分は存外少ないが、これは資料の乏しさも手伝ってのことかもしれない。それでも陰陽師の知識を仕入れていよいよ最後の段で少し語られる両者の話もなかなかおもしろかった。「当時は晴明の師匠を努めた賀茂保憲とその一派が権威的な陰陽師で、故に立場の一歩劣る安倍一派に祀り上げていた晴明像が後世では独り歩きしギリシア神話的な半神半人の英雄と化したのでは」「道長を害そうとした呪術の下手人である円能という法師が、同時代に首謀者の家に出入りしていた道満と混同された結果、道満が後世で大悪党陰陽師の濡れ衣を着せられた」という両者の考察は、なんとも言えない歴史の成り立ちの面白おかしさを感じさせる。最強陰陽師のセイカっちも実はいい人だからね(ほんとか?)晴明が半神半人の英雄と扱われたことを踏まえると、セイカっちがアニメ終盤で魔王呼ばわりされていたことにも深みが出る……のかもしれない。ていうか最強陰陽師ってなんだよってちょっと思ってたけど術のすごさで言えば安倍晴明(架空)はガチですごかったらしく、そりゃ陰陽師にも最強っているよなぁみたいな気分になった。実際の凄さって清少納言が言及しているらしい「祓いの弁舌爽やかな陰陽師」みたいな感じだとか、あるいは知識の力なんだろうけれども。
入門書を目指した本らしいが、無知の身でも楽しく読めた。こうした平安時代は当然のように活躍していた陰陽師がどういう世の移り変わりで消えていった(あるいは残った?)のかというのも気になってきた。

禁忌絡みの好きエピソード。

アニメ

スキロー11、ミュウミュウ11、久保さん11。

久保さん、今回も最初はあんまりピンと来てなくて、ナンパ男で話を回し始めたあたりはお~やっとるやっとるぐらいのテンションだったんだけど、コーヒーのあたりで妙なぐらいハイテンションな久保さんを見てたら急に可愛く思えてきて、そこからはなんか急激にこのアニメのことがわかりはじめてきたような心地だった。

実際コンテも凝っている勝負回だったと思う。久保さんがコロコロ表情を変える感じは魅力的にやれてたと思うし、作品の構成的にも重要な回という判断で気合が入っていたことを感じる。実際、白石くんが恋心に気づいて顔を赤くするオチもよく、はっきりと進展を感じる回だった。今までのなんだか優位に立ちたがる久保さんに個性が出ないなぁと思う白石くんだったが「よくわかっていないが背伸びをしている子供」ということが急激に心で理解できてきた感がある。マジでイケそうです。アニメって和解できたほうがいいですからねほんとに。

スキローも和解できてるし、ミュウミュウは相変わらずのドライブ感で駆け抜けてて楽しいカヨルになってきた。でももう終わりなんだよね。

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