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パクリとオリジナルの境界線

オマージュやリミックスと、パクりは違います。

誰かの作風をリスペクトして、影響受けつつも、自分らしさまで高めたなら…それはオリジナルと言えるでしょう。

例えばブルーノ・マーズがマイケルジャクソンをリスペクトしていても…

楽曲をコピーしたりでなく、作風に影響を受けただけ。そしてオリジナルに昇華していますよね!

更にマイケル愛に溢れていて、アメリカのTV番組で披露したマイケルのモノマネも最高です。
(1番下にブルーノとマイケルの動画を貼り付けました)

マイケルはダンス面においても、多大なる影響を与えたし…

誰が見てもマイケルっぽいと感じるから、モノマネはモノマネとしての上手さを評価されるんです。

オリジネーターが現在も生きていて、歴史がこの数十年であるブレイキンなどは…

技の進化という意味で真似から学ぶことは、もちろんあるだろうし。基本ムーブなどは体系化されているでしょう。

バトルという文化ではオリジナリティを評価されるから(誰かのパクリは評価されません)、ダンサーそれぞれの"必殺技"的なものが必要とされるはず。

つまり、時代性による影響を受けてしまうのは当然だけど…

プロのクリエイターは、そこからオリジナリティを生み出すべきだということが言いたいのです。

コピーダンスという割り切りなら良いし(ただし個人の楽しみとして)、逆に真似されてなんぼ…というバズり目的の振付なども最近は多いですよね?

プロのアーティストなら、DA PUMPのUSAが記憶に新しく、海外でもマネしてる動画がたくさんありました。

そもそもInstagramのストーリーやYouTubeのショート動画、TikTokなどでは、バズり目的の振付も多く見かけます。

そういうカルチャーの在り方も、時代の流れなので問題無し!

私は個人的に、練習動画とか以外のダンス動画は興味なくて…

スマホの縦型動画を頻繁に配信する人達は…

再生数を上げる為、頻繁にネタを作り、頻繁に配信する➡️
つまり練り上げた作品にはならず、普遍性はない➡️
結局レベルが低い上、似たようなダンスばかりになる➡️
それでもアイデアでインパクトあれば、真似されてバズる➡️
そこまでのビックヒットは、頻繁に生まれず飽きられる➡️

というループに陥っている傾向が強いので、つまらないんです。

皆、若い子達は似たり寄ったりだし。オリジナリティが光るダンサーは少ないですから。

ダンスそのもののオリジナリティは、全く考えていない…
むしろダンスを手段に"自分が"有名になりたい人が、短いダンス動画でバズりたいわけです。

縦型のスマホサイズの動画は、承認欲求を満たすダンスに適しているし、それを否定しないけど…私のフィールドじゃないのです。

話しを舞台系に戻しましょう。

昔、地方のダンススクール発表会で「アニー」とか「コーラスライン」とか…

有名なブロードウェイミュージカルの楽曲で、無許可で振付をパクって(アマチュアだから完コピ出来ない)発表会をする様な団体も多かったですね(90年代までよく見掛けました)。

入場料を取る様な公演で、堂々とパクってますからね!
モノマネのショウならいざ知らず…

ミュージカルの演出家で、最近は朝ドラ「ブギウギ」に作詞家役で出演してる宮本亜門さんも…

かつて芸術祭大賞だったか、芸術選奨だったかを受賞したデビュー作「アイガットマーマン」が、NYのブロードウェイミュージカル業界から訴えられ…

億単位の賠償金を東宝に肩代わりしてもらって、アメリカ側に支払ったと記憶しています。

ご本人に悪意がなくても…楽曲の無断使用だったなら、仕方なかったのでしょう。

プロのバレエ公演でも、モーリスベジャール作品(確かボレロ?)を無許可でルジマートフさんが踊ったことが、10年以上前に訴訟となった記憶がありますが…

日本は知的所有権に対して、意識が低い国なのかもしれません。

だから…優秀な発明家は、海外に引き抜かれるのだと思います。

アイデアというものはデザインも、コピーライティングも、ネーミングも全て創造力の産物。

だから…chatGTPやAIが脚本を書くことに(AIは過去の脚本の膨大なデータから自己学習するので、無から有を生み出すわけではない…)、アメリカ映画界の脚本家はストライキを起こしたのです。

今、adoさんの「唱」が「ウルトラソウル」にしか聴こえないと、話題になっていますよね?

たまたま彼女の耳の奥にある、記憶のフレーズがそうさせたのか?

わざと似ているフレーズで世間をざわつかせたのか?
それは、本人でなければ真実はわかりません。

ただ関係者の大人達は「あれ、似てないか?」と思わなかったのでしょうか?誰も指摘しなかったのかが不思議なんですよね。

まあ話題になって、再生数が稼げればOKかもしれないけど…
それだけ、オリジナルへの意識が低いということです。

昔、韓国製の自動車のデザインが日本車の丸パクだったと話題になりました。

日本車も昔のスバル360など、ワーゲンビートルのパクりだし。

ここで大事なのは、真似したことを認めるかどうか?そこに尊敬や尊重があるかどうか?だと思います。

琉球の空手(唐手)は、本土に渡り、様々なスタイルに変化しました。

空手は進化や伝承の系譜が、ハッキリしています。

だからこの伝承は、歴史的バトンを渡されたもので、パクりとは根本的に違いますね。

また現代武術などでも、講道館の前田光世氏が伝えたとされる柔道から変容した、ブラジリアン柔術は…柔道から生まれたオリジナルと言えるでしょう。

雑誌の記事なども…
きちんと取材せず、ネットニュースを丸パクリで載せるケースもあるらしく…ライターとして恥ずかしくないのか?と良識を疑うこともあります。

SNSでも…シェアならシェア元が表示されたり、URLが表示されます。

私もストーリーなどでシェアする場合、元投稿がわかる様な余白を作るようにしていて…

それが元投稿に飛んでくれたら、シェア元の再生数が上がるので…シェア元にもメリットをもたらすから、敢えてそうしているのです。

シェアさせてもらった側としての、当然のマナーだから。

完全オリジナルの振付をすることで、流行りに一線を画し…

それで勝負してきたクリエイター(振付家)の私は、オリジネーターの立場を強く守るべきと考えています。

数年前に学生の子が私の振付作品を"勝手に"学園祭でやろうとして…

YouTubeで真似出来ない部分を、私に教えて欲しい…と、聞いてきたことがありました。

当然、勝手に私の作品は使わせないし…振付を教えもしませんでした。

振付作品は私の分身であり、精神性を表すもの。
(ちなみに創作性の強い舞台作品のダンスは、パターンの組み合わせでなく、ゼロから生み出す完全オリジナルの創作です)

だから、私の許可無く発表させないし、もし踊りたいなら…

私がきちんと監修して、誰が踊るかも決めて、私が直接振りを指導しなければ…単なる上辺だけのモノマネになってしまいます。

そんなものを発表させるわけにはいかないので、きちんと説明して諦めさせました。

もちろん、作品を踊りたいという気持ちは嬉しかったのですが…

学園祭とはいえ、私の振付作品を勝手に人前で踊らせるわけにはいきません!

その生徒が踊りたかったのは、スペインでの世界大会で、私が最優秀振付家賞を受賞した作品。

それを踊ってくれた当時のダンサー達の頑張りがあったから、受賞出来たわけですし。

ダンスの動きや振付。
歌詞にメロディ。
武道やスポーツの動きのメソッド。
ネーミングやコンセプトデザイン。そしてこうした文章まで…

クリエイターはその人生経験と感性をフル稼働して、オリジナルを生み出します。

私があまりダンス動画を出さないのは…クリエイターに対するリスペクト無いダンス関係者のパクリ対策です。

時々レッスン動画を載せるけど…
学生が踊ってる初級〜中級レベルのレッスン風景だけ。

それも友達限定でしか、載せていません。

パクリスト全盛の、モラル無き時代(パクリストも私の造語)…振付家にはプロ意識が必要です。

今は作家性ある振付家が少なくて…クリエイターでなく、教師として振付をするから、作品というよりダンスナンバー。

ナンバー形式なのは、発表会形式の公演だからで…

何を踊りたいか?参加生徒にわかりやすくすべく、スロージャズとか早振りとか…そういうカテゴライズしてますね。

私はそれとは一線引いてます。

そもそも便宜上、リリカルジャズとかコンテンポラリージャズとか表記するけど…

本当はジャズダンスでさえなくて、私のダンスは「イナヨシダンス」。それが私のオリジナルだから。 

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ブルーノマーズのマイケルジャクソン愛が伝わる動画です。ご覧ください!

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