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カローラⅡならぬホンダラクーンに乗って、、な思い出
思い出のごはんを語るバラエティーで、俳優の光石研さんが若手時代の渋谷のパスタ屋さんの思い出を語ってらした。懐かしいと感じつつ、途中差し込まれる現在の映像が、あまりにも記憶と違ってて驚いた。あのパスタを食べてキャッキャしてた十代の頃とはまったく別の街並みになってる。
でも名優光石さんの素晴らしいトークのおかげで、その後結婚して暮らしてた頃の思い出が、なんとなくいい感じで甦ってきたので、この浮かれた気分が消えないうちに書いておくことにした。
娘が2歳くらいの頃、ホンダの電動アシスト自転車その名もラクーンを購入した。その当時住んでた家が丘の上みたいなところにあったから、どこでもラクラクお出かけできて、平日の母娘の行動範囲が劇的に変わったのを覚えてる。
そんなある日、娘と部屋でちまちま遊んでいると、ベランダの地面で小さな何かがピーピー鳴いてるのに気がついた。綺麗なセキセイインコだった。私は子供の頃ずっとインコを飼っていたので、躊躇なくガラスの引き戸を開けて手を差し伸べてみた。思ったとおりインコは人差し指にのってきた。そして驚きも羽ばたきもせず部屋に一緒に戻ってきた。
2分くらい部屋で羽ばたかせ、どうしたものかと考えた。とりあえず水と餌がないとダメだよな。そしておもむろに娘に向かって「じゃあ、まずは
このピーコちゃんのカゴを買いにいこうか」と言ってみた。たぶんその瞬間から無意識に『うちのピーコちゃん』にしていた私。そして初めて間近で見る可愛い生命体にワクワクがとまらない幼児。トトロのメイちゃんみたいな。
後々、といってもかなり後になってよーーーく考えてみれば、こんなに慣れてるインコだからどこかのペットだっただろうに、なぜかその時は『うちに来てくれた』と思っていた。子供の頃、迷子の子たちもぜんぶまとめて飼っていたからかもしれない。
さて、アマゾンもインターネットも無い時代。いったいどこに行けばペットショップがあるんだろう?まったく情報がない。ペットを飼うこと自体も超久しぶりだ。時刻は午後の4時ごろだったか、、とりあえず餌だ。
瞬間、子供の頃、父親が初代ピーコちゃんを買ってきた日を思い出した。そうだったそうだった。会社帰り、渋谷の東急デパートのペットショップから、立派なカゴに入れた状態で、背広姿の父がピーコちゃんとバスに揺られてきたんだっけ。
「じゃあいこっか?」ってことで、2歳にしてはわりと物分かりのいい娘に、娘が死ぬほど貼ったステッカー付きのヘルメットを被せ、自分も当時お気に入りの、今じゃぜったい被れないどピンクのヘルメットを装着して、「東急デパートへGO!」と財布だけもって飛び出した。
ちなみに今住んでいるところは、平日休日サイクリングにはもってこいの場所。日本で高校生のころも自転車通学。でも自転車の思い出で、ピーコちゃんのカゴを買いに行ったあの日の思い出に勝るエピソードは無いといっても過言ではない。
GPSで上から見れば、山手通りとか明治通りとかたぶんあの辺をかっ飛ばしてたんだと思う。記憶があいまいだけど、いよいよ渋谷駅の近くになってきて、通行人もたくさんで、学校帰り会社帰りそしてごはんに出かける人たちの波をスルスルっと抜けてく時、ああテクノロジーよ!ホンダのエンジニアよありがとう!なんて思ってたと思う。
そしてとうとう東急デパートの屋上へ。汗かきつつエレベーターの扉が開いた瞬間の安堵感ったらなかった。その間30分近く、娘は私と一心同体。ほんとにラッキーな、そして楽しい午後から夕方へ向かってのひとときだった。
帰りはもちろん、周囲をぐるりと東急デパートの包装紙で巻かれた新品の鳥籠と餌を、それこそ自転車のカゴに突っ込んで、二人で歌いながら帰った。
しばらくして自分たちが国外に引っ越すことになった時、当然のように私の両親が引き継いで、ピーコちゃんの生涯をまっとうさせてくれてた。たまに里帰りすると、父親が溺愛してて若干引いたけども。
渋谷といえばオザケン。そしてオザケンの’カローラⅡにのって’をくちずさむたびに、甘い平和な感情がよみがえる。そして今日、ひとつのバラエティ番組で、またその平和な日々を思い出させてくれて、間接的にもほどがあるけども、光石研さんありがとう!と申し上げたい。