iPadOSが広げるフォトグラファーのクリエーティビティー(前編)
6月3日にAppleが毎年行わうWWCD(開発者会議)において様々な発表が行われた中で、フォトグラファー視点で俯瞰したときにポイントとなる事柄は2つあったと思っています。
モンスターMac Pro登場
まずなんといってもハード面では最新のMac Proが発表されたことですね。ここ数年Appleの製品は常にマシンの能力を限界まで引き出して使うクリエイティブプロの間では能力不足が指摘され続けていました。
同じスペックで見た場合Windowsマシンと比較して圧倒的にコストパフォーマンスが低く、なおかつ自分でマシンをカスタマイズしてスペックアップできにくい構造でした。
それが、今秋発売予定のMac Proはモジュラー式を採用し、かつてのG5を彷彿とさせるデザインに現代風のデザインソリューションを加えて生まれ変わりました。
特筆すべきはそのポテンシャルで、現在考えられうる最高クラスのマシンパワーを発揮できる媒体となっています。8K動画の編集をラクラクとこなすだけのメモリ(最大1.5TB)と最大28コアのCPUを搭載可能となっています。
iMac Proが55万円スタートで、Mac Proは65万円スタートなので、確かに一般には高い印象ですが、僕個人としてはそこまで驚く価格設定ではないという感想です。(もちろん、”全部のせ”すると500万円を超えると試算されるらしいですが・・・)
フォトグラファーとしては、正直現状iMacでほとんどの作業が完結してしまうので、明らかに動画や3DCG等の制作環境向けですね。
iPadOSで変わるフォトグラファーの撮影環境
さて、前置きが長くなりましたが、実際に私達フォトグラファー(のワーククフロー)に影響を与えるであろう発表はiPadOSの登場とそれにまつわる機能の追加だと思います。
外付けドライブに対応
iPad ProがUSB-Cを採用した時から、いずれはそうなるだろうと考えられてきた、iPadへの外付けドライブへのアクセス機能がようやく実現します。
これにより、今まではクラウドストレージにデータを保存する方法が一般的であったiPadのデータマネジメントが、直接挿したた外付けのドライブ上に保存できるようになります。特に1ファイルの容量が大きい画像や動画ファイルを日常的に扱う私達フォトグラファーやビデオグラファーはこれで容量を気にすることなく作業できるようになるのではないでしょうか。
テザー撮影環境へiPadが浸透?
WWDCのキーノートでもちらっと言及されていましたが、iPadと一眼カメラをケーブル1本でつなぎ、iPad上で画像を確認できるテザー撮影が可能になりそうです。
僕はこの、タブレット&カメラでテザー撮影をすることだけのためにSurface Proの購入を検討していた時期があり、iPadでそれが実現するのであれば、これ以上のツールはないと思っています。(iPadの色の正確性や操作フィールは他のメーカーと比べものにならないと思っています)
考えられる撮影現場のシナリオとして、例えばこんなことができそうです。
一眼カメラとiPadをつないでその場でクライアントとイメージを即座に共有、簡易レタッチ、注意事項等をApple Pencilで書き込み、必要写真のみクラウドストレージにバックアップして、撮影後に自分のMac上で残りの追い込み作業をして納品。
真っ先にAdobe Lightroomがそれを実現してきそうですが、他メーカーも頑張ってもらってiPadならではのプロフォトグラファー向け使い勝手の良いアプリを是非開発してもらいたいと切に願っています。
僕はCapture One Proのモバイル版を是非作ってもらいたいと思っています!
いずれにしても、今年秋以降iPadのクリエイティブ界隈での使用頻度が飛躍的に上がることは確実だと思います。
もう一つ、iPadOSで実現するiPadのMacのサブディスプレー機能であるSidecarについては次の記事で取り上げていきたいと思っています。