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過去は今に、未来に繋がっていました


女性の働き方について話していた時のことです。
「女性はやりたいことに専念できない」という意見がありました。
憲法14条では「法の下の平等」といっているのに、平等じゃない、育児も介護も女性の方が大きな負担や制約を抱えていると。

私は個人的には、仕事だけではなく、育児もしたかったし、介護もしたいからやる、やりたいことが沢山あるから仕方がない、と思っているところがあります。

もちろん育児や介護は負担に思うこともあったし、イライラすることもありました。

でも、何を大切にして、どう働くかは私が決めることで、優先順位もその時次第。

「〇〇でなければならない」という考え方を手放したことで、楽になりました。

そもそも能力、お金、容姿、全てが不平等だからこそよかった思うことも沢山味わってきたので、女性にとって平等でない社会に対して鈍感なところもあるかもしれません。

私が大学を卒業する頃はバブル期に陰りは見えていたとはいえ、経済に勢いがある時代でした。

男女雇用機会均等法の施行後、女性が「総合職」としてどんどん採用され、CMでは「24時間戦えますか」の歌が流行っていました。

公務員だった頃は、ずっと「男性と同じように働かねばならない」気持ちと「男性と同じようには働けない」気持ちを抱えて仕事をしていました。

私が就職した平成2年は、まだ昭和の男尊女卑が色濃く残っていて、おむつを替えたこともないと自慢する男性も沢山いました。

彼らと同じように家のことを持ち込まずに仕事はできないのは当たり前で、「平等」とか「対等」とかを考える余地もなく、29年間、家庭と仕事を両立するためにはどの位置であれば仕事ができるかと模索していました。

育児休暇や看護休暇、介護休暇など制度は増えていっても、「24時間働ける」気持ちにはなれず、母親であり嫁であり娘であり、色々な仮面を付け替えながら仕事をすることは安易なことではありませんでした。

すぐ熱を出す息子、喘息がひどくていつ入院になるかわからない娘、毎日「明日休まないといけないかもしれない」という思いで仕事をしていました。

この気持ちは子ども達が成長しても、次は親の介護が控えていて、理由が変わるだけで、仕事だけに専念できる環境はなく、望んでもいませんでした。

それでも、職場の椅子にすわれば、スイッチが入り、24時間戦える気持ちで仕事をしていました。

もちろん「24時間働け」という命令は昔もありませんでしたが、「24時間税務職員」という言葉はありました。
そして、それを実行していた方は、すごく調査が上手かったことを覚えています。

情報を足で稼ぐ、そんな言葉もありました。

調査に入る前、調査展開、どう調査を終わらせるか
ジグゾーパズルのピースがはまるような、ストーリーが流れるような調査
そんな調査を私もできるようになりたいと思っていました。

ベテラン職員の技を盗むのは難しく、もちろん手取り足取り教えてくれることはありませんでした。
そもそも教えてください、なんて言える空気はありませんでした。

何を見て、何を聞いて、何を確認しているのか、何でその結論になるのか
いつも「なぜ?」「どうして?」が浮かんでいました。

でも、経験が少なかった私は、ベテランの職員さんと同じやり方ができるわけもなく、代表者の方と話すのも緊張し、言葉が出てこなくて、歯がゆい思いも沢山しました。
そして、父親よりも年配のいかつい代表者が、私に腹を割って話すこともなく、悔しい思いも沢山しました。

税理士先生から調査に時間がかかりすぎると苦情が入ることがあったり、調査から帰って上司に復命するのに1時間以上かかっても次の日の展開が見えずに途方にくれることもあったり、そんな時はストレスで吐きそうと思いながら夢の中でも調査をしていました。

それでも自分のやり方を見つけ、調査は嫌いじゃない、上手じゃないけど、できる、と言えるくらいにはなったことが、29年間も仕事を続けることができた理由で、それは税理士になってからも、役に立っています。

そして、不測の事態に備えた仕事のやり方だったり
追求することの面白さだったり
職場の人たちだけではなく、経営者の方々から教わることも多かったです。

どんな生き方をしているか、どんな考え方をしているか
それが、会社の利益、そこで働く人にどんな影響を及ぼしているか
そこには男性、女性は関係なく、この人だからこそ、この業績なんだと頷ける人が沢山いました。

エステサロンを経営していた女性の経営者の方は、教育の場を作ることにも尽力されていて、苦労話しも苦労に聞こえないほどにエネルギッシュで、高校受験をひかえた息子さんへの思いも一生懸命に語っておられました。

経営者を理由に子育てに手を抜かない姿を尊敬の目で見ていたことを思い出します。

そして、その人の価値観により選択し、行動し、それが数字に表れてくるし、調査の結果に表れてくると思った案件でした。

私は同じ税務署に2度勤務し、それも同じ調査担当として仕事をしたことがあったので、調査後の会社の申告書を見ることができました。

5年後、廃業している会社もあれば、行方不明になっている会社もあれば、売り上げも利益も倍増している会社もありました。
経営者が考え方を改めた結果が数字に表れている会社を見れば、特別に嬉しく思いました。

おそらく、こんな確認をしている人もいなかったのではないかと思います。

電子書籍「税金を取られる人 税金を取られない人」を出版してから、調査担当をしていた頃のことをよく思い出します。

最初は、とにかく調査ができる人になりたくて、申告書を見ていました。
沢山の申告書の中から、どこに調査に行くかはとても大事なことだったんです。
今のように異常数値を教えてくれる機械はなく、自分の目だけが頼りでした。

税務署で調査担当をしていた頃は税金をとる側として見ていたことが、「税金をとられない人」を育てていくことに変わりました。

経営者のお金の価値観を書き換え、数字から人格を消すことができれば、税務調査に怯えることもなくなり、ペナルティを含んだ納税をする必要はありません。

経営者が「税金を取られる」ことがなくなれば、知らないことで損をすることも不公平不平等を感じることも減るのではないでしょうか。

もし、興味を持たれたかたは、下のページから電子書籍をお読みください。

https://s.lmes.jp/landing-qr/2004094330-raelVXVj?uLand=ZTGtdE


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