見出し画像

本当は怖い税の噂話し

こんな話を耳にしたことありませんか?

Aさん「Cさんパワハラする人なんでしょ」
Bさん「そうそう、部下になった人何人もつぶしてきたらしいよ」
Aさん「今度私の上司になるんだよね。嫌だな~」
B さん「最悪だね。Cさんの下にいたDさん、今、心の病で休んでいるらしいよ、気を付けてね」

そもそも、噂話しで情報が正しいか、判断できません。
なぜなら、Dさんが休んでいる理由がCさんのパワハラのせいなのかはわからないし、Cさんと同勤した人がCさんに潰されと言っているのか、そんな人がいるのかもわかりません。

それなのに、Aさんは見たこともないCさんのことをパワハラする危険人物だと認識し、BさんはAさんのことを可哀そうだと思って同情しているんです。

そして、CさんがAさんの上司になり、Aさんのミスを注意した姿、Aさんが落ち込んでいる姿をみて、Bさんは「今度CさんはAさんを標的にパワハラしている」と誰かに話すかもしれません。

さて、CさんがAさんにパワハラした事実はどこにあるでしょうか。

あるのはAさんがミスして、Cさんが注意したという事実。

Cさんが周りの人からパワハラしていると思われるほどに、人格を否定するほどに罵倒するような注意の仕方だったか、その事実はわからない。
Aさんが落ち込んでいる理由は別にあったかもしれない、その事実もわからない。

Aさんは自分がミスをしたと公にすることはなく、パワハラの事実はなくても噂になる。

Cさんは被害者なのでしょうか?
でも、多くの人は「火のない所に煙は立たぬ」と噂を信じるんだと思います。

私の上司に、自他ともにパワハラをすると認めている人がいましたが、他人に厳しい以上に自分にも厳しく、真剣に仕事に取り組んで姿が印象的でした。

1円違う、誤字がある、根拠のない課税は許さない、そんなの怒られて当然です。
命の次に大事なお金、それを軽く扱うことは許せない、国民の信用を失うことにもなりかねない、その結果、厳しい指導が行われていると私は理解していました。

もちろん、注意の仕方には配慮が必要です。
何時間もねちねちと上司の前に立たせて説教するとか、大声で誰にでも聞こえるように罵倒するとか、人格を否定するような叱り方は、パワハラだと言われても仕方がないことだと思います。

でも、自分のミスを隠し、事実を隠す、またはパワハラという都合のいいものにすり替える、当事者でもないのに、事実を知らないのに、勝手に話しをつくる・・・
自分には甘く、正しいことも言わず、人の不幸は蜜の味・・・

情報が正しく伝わらないことで、不公平不平等が生まれます。

税務調査に対しても、経営者ではない人が、あたかも経営者はこんなに辛い思いをしていたに違いない、調査担当者は酷い、こんなことが許されるはずがないと言うBさんみたいな人がいます。

例えば、連絡がなく調査に入られ、事務所だけでなく自宅にまで来たとか、私物のカバンの中身まで確認されたとか・・・
自分がされてもいないのに、怒る理由は何でしょうか?

税務調査は事実を確認することが仕事です。
事実をわからなくするために、証拠を捨てられたり、隠されたりする恐れがある場合には、当然、連絡もなく調査に入るし、事務所だけでなく自宅にも行きます。

私物のカバンもそこに脱税した証拠となるものが「ない」ことを証明するために確認します。

私が調査した事案では、経営者や経営者の配偶者(役員)の机の奥底やごみ箱から脱税をしている事実が記載されたメモが出てきたこともあったし、自宅の寝室のベットの下から脱税して貯めた現金が出てきたこともありました。

事実を裏付ける証拠を徹底的に集めないと、課税することはできないのです。

脱税は犯罪です。
脱税を許すと公平さはなくなります。
査察の調査で、新聞やニュースで取り上げられることがありますが、任意調査では脱税をしている事実が表に出ることはありません。

もちろん、自分は脱税していたと言う人はいないでしょう。
例え、配偶者に対しても、脱税していた事実を言わない経営者を何人も見てきました。
調査の場にいた税理士も調査担当者も守秘義務があるので、口にすることは許されません。

脱税をした事実が表にでないからといって、脱税した事実はなくなりません。

だから、税務調査のことを、他人に話すことは控えるべきなんです。
「連絡がなかった」とか「自宅にも入った」という言葉から、「あそこは税務調査が連絡なく入るくらいに悪いことをしている会社なんだ」とか「自宅に入られるくらいだから、脱税でニュースになるかもね」など噂されるかもしれないんです。

もしかしたら、噂が広がり、AさんのミスがBさんのミスに変わるくらいに簡単に、事実と異なることが流れていってしまうかもしれません。

そう思うと怖いなと思いませんか?

事実の確認、証拠の収集は脱税行為でなくても、公平な賦課という観点から行われるものです。
つまり、調査にくる連絡があり、事務所にだけ伺う場合でも、同じことが行われます。

税務署も税務調査もブラックボックスだからこそ、わからないままに誤解されることがあります。

守秘義務に守られているからブラックボックスなのでしょうが、ちょっとした会話から「火のない所に煙は立たぬ」と思われることがないようにと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?