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SFショートショート『犯罪者を撲滅せよ!』

南米、某国の大統領、モスマンは過激な思想の持ち主だった。
この国から犯罪者たちを追い出さなくてはならないと考え、若者の嫌がる高周波音を流すことで、若者を遠ざけることができると聞いたモスマンは、犯罪者の波動と、嫌がる周波数音を研究者たちに命じていた。

そして、数年がたち、とある若い研究者のヒルスタインが、大統領の私邸に招かれ、実験の結果を聞いた。

「ヒルスタイン君。 よくやってくれた。刑務所での実験では、犯罪者がもだえ苦しんでしまったそうじゃないか」

「ありがとうございます。大統領。波動の低さと犯罪者の共通点がわかってからは、わりとかんたんにその機器も完成できました。この機器を各地点に置くことで、犯罪者たちはこの国から去って行くことでしょう」

長髪で髪の毛の手入れもしていないようなヒルスタインは、その機器を、美しい彫刻がなされ、無駄なほど広いテーブルに置いて言った。
その機器はCDケースを五枚ほど重ねたほどの大きさで、透明な箱のようなものに、コードや半導体のようなものがみえていた。

「そうか。それがその機器かね。試しに作動してくれないか」

「大統領。私自身は大丈夫でしたが、万が一、大統領の側近の方や家政婦さんなどが苦しむようなあるといけませんので」

「大丈夫。悪いやつらなら、いなくなったほうがよい」

「大統領。どうなっても責任は負えませんよ」

ヒルスタインは、しぶしぶスイッチを入れると、部屋の窓がビリビリと振動した。そして、ヒルスタインが怖れていたように、大統領は目をむき、首をかきむしり、もだえ苦しんだ。

ヒルスタインが慌ててスイッチをOFFにしたあと、大統領のボディガードが部屋に入り、大統領の指示により、ヒルスタインは、刑務所に入れられ、機器は破壊された。

    (fin)

星谷光洋MUSIC Ω『季節を越えていこう』


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星谷光洋
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