ショートショート『まさ蚊?!』SF的体験話付
※ なぜ蚊は人の血を吸うのか? かなり危険な行為なのに。
学者の説、メスが、卵を産むための栄養源として血を利用するからということらしいですが、蚊の唾液が針を射しこむさいに痛くないように気づかれないするという、すごすぎる能力。ほかの虫たちも幼虫、サナギ、そして成虫へとまるで別の生き物ののような形に変身します。トンボは水中から成虫になると外の世界に生活する場所がかわります。
実は小学生の頃、友達、八人くらいと遊んでいて、自販機で飲料水を買おうと、みんなと離れたさい、突然、世界が真っ白になり、気がついてみんなのところに戻ったら、すでに夕方になっていたという経験があり、空白の数時間にアブダクションされたのではと、今でも思っています。
ショートショート『まさ蚊?!』
「ここはどこだ?」
たしか、車で加治川に来て、景色がきれいなので外にでてみたら、蚊の大群が竜巻のようにぐるぐるとまわって空に吸い込まれていくのがみえた。蚊の大群は五メートルほどの高さのあたりになると、スッと消えていくのだった。しばらくその不可思議な現象をみていると、突然まばゆい光がまわりを包み、目を閉じたことは思い出せた。
加治川の風景は消え去り、真空管が放つ光のような中にいた。その光はまぶしいものではなく、周囲にあるものがよくみえた。どうやらどこかの部屋のようだ。しかし、なにかの機器のようにみえるものは金属というよりはシルクのような光沢で、柔らかい感じがした。
「気がつきましたか?」
声のするほうに目を向けると、目の大きな、ハ虫類系にみえる者が立っていた。そうだ、SF映画でよくみるグレイといわれている宇宙人のようだ。声は人工音声のようにどこか金属的で、宇宙人からではなく、うえの方から聞こえてくるのだった。
「そうです。我々はコンマ1055という星からやってきました。あなたは、人間たちがUFOと呼ぶ私たちの船のなかにいます」
話してもいないのに答えてくる宇宙人に、心を読まれているのだと悟った。しかし、なぜか恐怖感などがない。
「人間の精神をよく研究しましたので、あなたが気を失っているときに人間がいう精神安定剤のようなものを注入しておきました」
私は状況が理解できると、いくつか疑問がわいてきた。たとえば、蚊の不可解な状景だ。
「あなたたちが蚊と呼ぶ生物を採取して、生物の血を吸った蚊から、人間やほかの動物たちのDNAを抽出し、研究しているのです。以前は人間などを船内に招いて、さまざまな実験をしていました。しかし、人間の精神が損傷することがわかり、蚊の採取に変更したのです」
「ではなぜ、今私がここにいるのかわからないな」
私は思わずそう言葉を口にした。
「蚊の採取が終わるまで、騒がれないように、一時的に船内に待機してもらうだけです」
やつの声も、顔らしきものも、無表情で、感情などないようだ。
「そこなのです。私たちが理解できないのは。私たちはあなた方の潜在意識に呼びかけ、船内での実験の協力を了承してもらってから行ってきたのです。それが、船内に招くとみながパニックになり、恐怖と憎悪というらしい感情で、精神が病んでしまうこともあるのです。最近わかってきたことは、人間には潜在意識と顕在意識のふたつの精神構造になっているということでした。建前と本音ともいうらしいです。私たちの意識はつねに安定していてつねにひとつです。他の者たちとも心がつながっているため、争いもありません」
私はなにか恥ずかしいような気持ちになったが、それが人間らしさなのだとも思った。
「人間はあまりに複雑で不可解です。それゆえに興味深い対象でもあります。蚊の採取も終わりました。さあ、お帰りください。以前のように記憶を消したりはしません。これらのことを誰かに話しても信じてもらえないでしょうしね」
目をあけていられないほどの光が炸裂した。しばらくしてから目をあけると、私は加治川の砂地に立っていた。
(fin)
星谷光洋MUSIC Ω『オリジナルソング『AKASATANA』ラップ風?』
過激な歌詞をすべてカット編集したら一分半になりました。