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5月になること

散歩をしながら海に行こうと思ったけど、途中で疲れて海の近くのコンビニで水を買ってから帰った

肌寒さとあったかったさが混じったような生暖かい風だからなのか、パーカーの腕まくりをしては戻してを繰り返してることに気づいた

散歩をしながら彼女の言ったセリフを考えてみたけど、考えるより思ったときに心が少しだけ痛んだ

テーマを貰ってからなにかしらは文章を書けるだろうとたかを括っていたけど

何も書けないことに気づいた

今すぐにでも自分という籠に閉じ込めてそれこそ全裸でベランダに出ている彼女を家の下からではなく部屋の中から眺めていたいけど

自分という籠すらも今は幻想でしかなくて、言いかえるなら家も飯も自分は買うことができない

そういう身でありながら
幸せにしたいだとか、結婚したいだとか、好きだ、とかいうセリフを都合良く吐く私はとても身勝手だ

もしかするならそういう言葉は君を傷つけているのかもしれない

夜寝る前にどうして自分はこんなにも無力なのかと絶望する

返事が来ないときに誰かと会っているのかもしれないと絶望する

待たせている側でいる私にできることはその愛の証明として腹すらも満たすことができないのに勉強時間を見せることしかできない

極めて無力だ

無力であるという絶望は今日に始まったことじゃなくて
たぶんそれは初めて抱きしめたいと思ったときからで、いくら何を言ったところで何にもならないので
勉強をすることしかそれを解決しない

待たされる側は自由であって

いくら回しても初当たりを引けない台なら誰も打たない

少なくとも明日急に私は彼女を幸せにできるようになるなんていうことはなくて

敢えて比喩表現を続けるなら

一時的に幸せをくれるAタイプを打ちに行ってもそれは今は出玉を出せない私の落ち度でしかないし、他に出玉を出せそうな台を選んだとしても、
やはりそれは私の出玉性能の問題でしかない

私は彼女を幸せにできるのかもしれないしそうしたいととても思うけれど
残念なことに、台は一つではないから、天国から何かの間違いで地上に降りてきたのかと本気で信じられるほどに綺麗な彼女を明日にでも幸せにできる台はいくらでも見つけられる

私という射幸性の出玉性能は賭け事が好きだと言った彼女に良いものとして映っていて欲しいからやはり書けることは一つしかなくて

待たされる側は自由だ

損切りはいつでもできる

“それでも”何か思っていることを捻り出すなら
初当たりを引くのが彼女だったら私は嬉しいし
引かせるために今日ももう少しだけ頑張ってみよう

少し寒くなってきてやっぱり腕まくりはやめた
それなのに草木は青々としてきてて

5月になることだと思った。

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