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多田慎也×ライスボール『タダゴコロ』開催

※以下はネタバレを含みます。10/26㈯までアーカイブ配信もあるのでネタバレしたくない方はここで購読をSTOPし、アーカイブ配信へ移動して下さい。

2024年10月19日 弘前市文化センター大ホールにてシンガーソングライター兼音楽プロデューサーの多田慎也さんと、弘前市を中心に活動するお米ボーカルユニットのライスボールによるセッションライブ『タダゴコロ』が開催された。
当日は早朝、津軽地方に豪雨警報が発令される中、グッズ販売が始まる正午には天気も少し落ち着き、たくさんのファンがグッズを買い求め長蛇の列を作りました。ひときわ異彩を放っていた稲穂ペンライトや多田さんも含む4人が動物の着ぐるみ姿で撮影したブロマイドなどグッズからしてファンを楽しませる気持ちが伝わり開演への期待が高まります。






オープニング

開演時間の15時ちょうどを回った頃、BGMを流していたスピーカーの音が一瞬大きくなり、やがて会場は暗転。静寂へと包まれる。
観客たちも何が始まるのかとワクワクし、前述した稲穂ペンライトが会場を柔かな光で包む中でオープニングムービーが始まった。
収穫を間近に控えた田んぼの中を晴天の霹靂衣装で走る3人の映像がスローモーションで流れる。

「社長…?私たちのオリジナル曲って いつできるんですか…?」

ライスボールとしてデビューするも、なかなかオリジナル曲がもらえない時期が続いた事から若き日の3人は事務所を脱走。慌てた社長が多田さんに次の日の朝までに曲を作ってくれないかと依頼し、多田さんが必死に作曲に取り組む『掌』誕生エピソードの再現からセッションライブが幕を開ける。

感動的なエピソードなのになぜか会場は笑い声に包まれる中、お馴染みの『掌』ピアノのイントロが始まったと思った次の瞬間、小気味よいドラムとギターとベースギターが鳴り、これまでに聞いたことのないロックアレンジな『掌』(脱走編)が披露され、会場は驚きと喜びを持って迎えた。
間髪入れず、『時空ロマンス』が披露される。
実土里さんがインスタグラム等でダンス動画を発信し、今や多くのライスファミリーも踊るのが定番となった楽曲だが、この日もサビに突入するタイミングで「みんなで踊りましょう!」と言ったところで伴奏がストップ。
伴奏者も含めてみんなで踊るというハプニング的演出がなんともライスボールらしいと思ってしまった。(ライス半端ない!こんなんできひんって普通!)

そして改めて『時空ロマンス』のイントロが始まりライスボールと多田さんが声を合わせる。

「タダゴコロへようこそ!!」


気を取り直して再開した『時空ロマンス』に演者も観客も一体になって盛り上がり、会場の熱気も急上昇した。


新曲2曲を生バンドで初披露!

MCではオープニングVTRからの『掌』はメンバー的には泣ける!と思いきや会場の爆笑を誘っていた事に言及し改めて会場の笑いを取り、「タダゴコロ」にかける意気込みを観客に伝えた。
またグッズの稲穂ペンライトについても言及し、続いて披露する曲が稲穂に関わる曲と説明。
ここで先日10月10日に発売したばかりの『青天の霹靂/まっしぐら』が生バンドにより披露される。
9月28日のリンゴミュージックFESで初披露された上記2曲が早くも生バンドで披露される事に会場の期待がどんどん高まっていく。

生バンドになる事で『青天の霹靂』の疾走感溢れるギターとベースの音圧がこの曲の持つ攻撃性をより増幅させ、水愛さんの新たな引き出しを垣間見た歌唱、実土里さんの攻撃性を含んだボーカルという意外性、太陽さんは本調子ではなかったもののハモリパートで存在感を示し、全編通して激しいダンスで魂をより熱く、より鼓舞するナンバーに感じさせた。
余談であるが、筆者個人としてはどことなく全国高校サッカー選手権のテーマソングや、サカナクションの『Aoi』を連想させ、弘前市のサッカーチームであるブランデュー弘前FCの応援歌としてもピッタリなのではと思う。

話を戻そう。
『まっしぐら』では楽曲の持つひたむきで真っ直ぐなイメージそのままに3人が丁寧に柔らかく歌い上げ、観客の心をギュッとさせた。

新曲2曲に続いて『JAN-KEN-PON』を披露。いつものように観客を巻き込んだジャンケン大会が生バンドになる事でよりライブ感に溢れた演出に一役買っていた。


声占いの館コーナー。多田さんの新たなチャレンジ(笑)

『JAN-KEN-PON』が終わるとステージが暗転し、何やら次の準備が行われている。程なくして「フフフ・・・」と怪しげな声と共に占いの水晶玉と赤いローブの人物が登場。
声の主は多田さん!弘前に移住して7年目に突入するシンガーソングライター兼音楽プロデューサーは地元ラジオ局に自身の番組も持つようになり、こんな事もこなすようになりました!(昔からのファンの方は大変驚きを持って迎えたと想像します)
雑談を交えながら、メンバーの声質から最近の調子などを占い、それぞれとセッションを行った。
太陽さんはアコースティックギターで自身のオリジナルソング『一夜』を。
実土里さんはカホンで水瀬いのりさんの『harmony ribbon』をカバー。
水愛さんは電子ピアノで多田さん自身の楽曲『I'm home』をカバーした。
どのメンバーもそれぞれのらしさを活かしたセッションとなっていたが、
中でも水愛さんの『I'm home』は多田さんが青森県では披露した事がない楽曲だけに会場のファン達は特別な思いで見守った。


声占いの館が終わると、占いを終えたメンバーが集結し、それぞれの楽器を用いた伴奏で多田さんの『Darling』を演奏。歌うのは多田さん本人。
しかもスタンドマイクである。
もはや師弟関係と言っても過言ではないライスボールの演奏に照れくさそうに、でも嬉しそうに歌詞に想いを載せ会場にいるファンに歌声を届けた多田さんでした。


Tada session コーナー

多田セッションコーナーと名付けられたコーナーでは多田さんが楽曲提供した名曲をライスボールと多田さんで披露しよう!というコーナーで
ライスボールはAKB48の『ポニーテールとシュシュ』を披露。
普段ここまでアイドルアイドルしたパフォーマンスをすることがないのでライスファミリーにはとても貴重な時間になった事だろう。とても可愛らしかった。
続いて多田さんが嵐の『マイガール』を披露。
この楽曲が嵐に採用された事で音楽家人生がスタートした多田さんにとって、とても思い入れ深い楽曲である。
人生とは分からないもので音楽家になった頃はまさか青森県で音楽活動をしているとは少しも思わなかったはずで、弘前でこの歌をどんな気持ちで歌っていたのだろう。


ライブも終盤へ・・・

続くMCでサポートメンバーの紹介をしつつ、本編もラストスパートへ。
まず披露した『アイノウタ』は昨年リリースした最新ソング。
歌う機会はそう多くないながらも観客との「あいのうた〜♪」の掛け合いも手慣れたもので、会場中に愛の風を吹き込んだ。

アイノウタの余韻も冷めやらぬ間に間髪入れず『わずらわしい』へと移行。
多田さんの楽曲の中でも歌詞もメロディもエッジが立ったナンバーで、まるでフラストレーションを吐き出すかのように会場と一体になり叫ぶ「わずらわしいんだよ!」のフレーズで熱くなり、会場は「シンヤ゛ァァー」コールで盛り上がる。
そして多田さんの「それでは最後の曲になります」で会場は一斉にえ〜〜〜と終わりを惜しむ声。
そして会場の熱気そのままに『songwriter』が始まる。
自身が音楽家になり弘前に移住を決め、この土地で音楽家として生きていく、そしてこれからも音楽でこの土地と人々を繋げていくという決意も歌に込められていると感じた。
不器用なソングライターは弘前への思い、ライスボールをはじめとしたリンゴミュージックへの思いを歌声に載せ本編は幕を閉じた。


アンコール

暗がりでしばしアンコールのクラップが鳴る中、『セセラ』のイントロが鳴りステージの照明が多田さんやジェントルバンドを照らし、同じタイミングでライスボールがダンサーとしてステージに登場する。
昨年の多田さんのワンマンライブ「五芒星」でコーラスとして参加していたライスボールが多田さんのバックダンサーをやりたい!と発言していたのが1年越しで叶う事になった。
願いが叶い多田さんもライスボールもそしてそれを見ている観客にとっても幸せな時間が流れる。

最後の楽曲披露の前に多田さんからライスボールへの手紙を読むコーナーがありました。
それぞれのメンバーへの想いを時折、笑いを混ぜつつも音楽プロデューサーであり、父親のような存在であり、ミュージシャン仲間でもある立場からとても暖かいメッセージを送った。
続いては逆にライスボールが多田さんへ感謝の手紙を読み、ライスボールとして活動できている事への感謝をそれぞれ綴り、最後の曲『掌』が始まる。

オープニングで歌った“脱走編“とは違いオリジナルアレンジで改めて聴く『掌』は、この曲が生まれなければライスボールは今に続かなかったかもしれないと感慨深いものを感じずにはいられない。

あの時メンバーが脱走しなければ・・・
あの時社長が『掌』の歌詞を準備できていなければ・・・
あの時多田さんが曲を作ってくれなければ・・・

多くの奇跡を重ねて生まれた『掌』。
これから先どれだけ新曲が増えたとしても、この曲がライスボールにとって本当に大切な楽曲である事は間違いない。
ご飯を一粒一粒噛み締めるように丁寧に丁寧に歌い上げるメンバー。
名残惜しくも会場は暖かい拍手に溢れ、こうしてステージは幕を下ろした。



今回のセトリはこちら

タダゴコロ

多田慎也さんとライスボール。音楽プロデューサーとアーティストというだけでは括れない本当に素敵な関係性がライブを通して痛いほどに伝わった。
師弟のような関係であり、ミュージシャン仲間でもあり、父のような存在でもある。
前述したが、『掌』が生まれなければ今日のこの「タダゴコロ」自体も存在しなかったかもしれない。そもそも多田さんが弘前に移住を決めなければライスボールだけではなく、りんご娘もアルプスおとめもジョナゴールドも今とは全く違う形になっていただろう。
1人のミュージシャンが移住し、そこで生まれた新たな出会いがさらなる出会いを生む。
今、ファンの目の前で起きている一つ一つの出来事がまさに奇跡に違いないのだ。

多田さんは今回のライブを通して自身の心とキモチ「タダゴコロ」をライスボールや観客に伝えたかったのかもしれない…。
語彙力なく申し訳ないが、最高に素敵なライブでした。感謝。
また、画像もほとんど無く、長ったらしい文章をここまで読んでくれた貴方さまに感謝いたします。
ではまた。




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