<小説シリーズ vol.9> 宿命 ~さだめ~
その九 “再”
別れを惜しみながらも真は無い頭を振り絞りながら
自分に出来る精一杯の感謝を残そうと奔走していた
そしてその時間はあっという間に過ぎ
人間の世界で言う29日目
真の目の前にあの女の子“ソラ”が現れた
「どうだった? 意外とやる事はいっぱいあったでしょ?」
「どうしたの?」
「今日あなたに知らせに来たの」
「何を?」
「なっ、“何を”って」
「忘れたの?」
「あなたが次に生まれ変わる所が決まったの」
「あっ!そうかぁ」
「っで、俺はどうなるの?」
「次はねぇ」
「...っと言いたい所だけど」
「どうしようかなぁ~」
「なに?」
「もったいぶってるの?」
「イヤな性格!」
「そう」
「じゃあ、このまま帰るわ!!」
「そう」
「・・・」
「・・・・・」
「ちょっと! 止めなさいよ!」
「だって、止めなくても決まってるならどうしようもないだろ」
「まぁ、そうだけど」
「あなたってそんな性格だった?」
「俺も成長するの!」
「こう見えても色々と考えたんだから」
「(本当にこの子でいいのかしら)」
「じゃあ、良く聞いて!」
「あなたは、まだ死ねないの」
「・・・」
「??」
「意味分かんない。どういう事?」
「あなたはまだ死ぬはずじゃなかったの」
「でも、訳あってあなたの行動を観察する事になったの。」
「結果、あなた自分から死ぬ事に」
「あなたは疑り深いから、こうするしかなかったんだって!」
「もう... 面倒くさいな!」
「さっさと言って!」
「短気ねぇ」
「分かったわ」
「ある人を助けて欲しいの!」
「ある人??」
「そう」
「これからあなたの所にその人が来るから、その人を助けてあげて!」
「助けるって... 何すればいいのさ?」
「それは後々分かるから、取りあえずその人の言う事を聞いて一緒にやって行くこと!」
「... ん? っていうか、俺死んだんでしょ?」
「その、次の世界でやれって事?」
「あ~もう! そう言う所は疎いわね!」
「わたしの話聞いてたぁ!?」
「頭のいい人は察しがいいものよ!」
「何それ?腹立つなぁ~」
「いい!?」
「あなたはまだ」
「し・ね・な・い・のッ!!」
一瞬、カメラのフラッシュのような強い光が真を包んだ
「ん...?」
真は自分の部屋のベットに横になっていた
何がなんだか真には良く理解出来ない状態だった
長い夢を見ていた?
ただ、
後から冷静になり考えると、
靴を履いたままベットに横になっていたのだった
そう、あの夜の、
歩道橋まで行った
あの時の格好のままだった
その十につづく、、、、、次回をお楽しみにw
第一話はこちら
↓
<小説シリーズ vol.1> 宿命 ~さだめ~
前回のお話はこちら
↓
<小説シリーズ vol.8> 宿命 ~さだめ~
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