<小説シリーズ vol.11> 宿命 ~さだめ~
【その11 “会” 】
家に帰り、もらった連絡先をじっと眺めて考えた。
(「どういう事だろう、、、。」)
(「危ない。って言ってたし、連絡してみるべきか。」)
(「でも、詐欺ってことも考えると不安だし、、、。」)
しばらく悩み続けたが、その日の夜は寝る事にした。
翌日になって、
思いが吹っ切れたのか、
(「考えても答えが出るもんじゃないし、、、、。」)
(「何かする前から諦めるのは辞めよう。」)
(「後悔しなければ、それが正しい答えだ。」)
(「取りあえず連絡だけどでもしてみよう。」)
渡されたメモの番号に電話を掛けてみた。
相手は女性だった。
事の事情を話、どうすればいいのか聞いてみた。
相手からの答えは、
「では、予約を入れますのでご都合はいかがですか?」
どうも、真に目をつけた人は別の人間で、
電話の相手は言わば受付の方だった。
直接合わなければ、見る事が出来ないと言われ
次の休みに予約を入れてみる事にした。
当日になり、教えてもらった住所に行ってみる。
予定の時間より早く着きそうで、どうしようか迷ったが
見るとその住所は喫茶店になっていた。
時間がつぶせると思い入る事にした。
中に入ると、随分と殺風景な喫茶店。
でも、イキなり目に飛び込むのは入り口正面の壁に貼られた
“占い致します。希望される方はスタッフまで。”
の文字だった。
店に居たのは男性従業員が一人だけ。
店自体は、住宅街のど真ん中に位置している為か
客は一人も居なかった。
その男性に占いで予約した事を伝え、
真は店の端の席に座りコーヒーを注文した。
職業柄、どういうものを出すか興味があり
コーヒーを作る過程を見ていた。
オーダー毎に豆を挽きコーヒーを入れている様なので
ひとまず安心した。
(言葉が悪いが、パットしない喫茶店なので、コーヒーの注文でレンジの音がしないかが不安だったのだ。)
早く来た事もあり、コーヒーを飲みながら時間をつぶす。
しばらくして一人の女性が来た。
電話で対応してくれた人のようだった。
一枚の紙を渡され、名前や住所、生年月日や家族構成
良くある情報記入よりは多少細かかった。
そして、
最後の欄にはこう書かれていた。
“相談内容(見てもらいたい事等)”
もはや勢いで来た様なものだったので
真にとっては考えてもいなかった事。
何と書いたらいいのかしばらく悩んでいた。
結局、
これまで真が体験して来た
世間で言う所の“心霊体験”を書き、
どうしたらいいのか悩んでいる。
と、記入した。
その用紙を女性に渡し、
「お呼びするまでもう少々お待ち下さい。」
と言われた。
しばらくしてさっきの女性が真を呼びに来て
喫茶店の2階の部屋に案内された。
扉を開けるとそこには一人の女性が座っていた。
見た感じは至って普通の女性。
挨拶を交わしすぐに話が始まった。
「この間のお店で働いていた子ね」
「はい」
「あの時はごちそうさまでした」
「いいえ」
「見させてもらったけど、色々大変だったわね」
「はぁ~...まぁ...。」
「単刀直入に言うわね」
「あなたはもうじき」
「死ぬわ」
その12につづく、、、、、次回をお楽しみにw
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