<小説シリーズ vol.12> 宿命 ~さだめ~
その12 “因”
あまりにも唐突で、
なんて言葉を返せばいいか分からなかった。
「あのぉ“死ぬ”ってどうしてですか?」
「あなたのこの先を見ると“死”って見えるの」
「今は少し落ち着いたようだけど、これからさらに酷くなってくるわよ」
「酷くなるって、、、?」
「ここに書いてある霊現象、これより酷くなるの」
「でも、あなたにとっては実際に起きている事でも、周りには理解されないわ」
「そうなってくるとあなたは世間から孤立してしまうの」
「そして、あなたのご両親がそう言う事に理解を示さない性格だから」
「病院に入れられる事になる」
「周りを信用出来なくなったあなたが選ぶ道が“死”ってことになるの」
「今の自分にはなんか現実味がありませんけど」
そう言っては見たものの、真にとっては心当たりがあった
現に一度だけ。そしてあの日の歩道橋から見た景色を思い浮かべた
なんだか自分が見透かされているようで、
その事については伏せる事にした。
「そしたら、どうしたらいいんですか?」
「いろいろと説明が長くなるかもしれないけど、細かい事はこれから教えて行くけど」
「まず、こうなった原因を伝えるわ」
「あなたは霊は信じる? って言っても現に見ているんだもんね」
「俗に言う、“霊”と言っても色々と種類があるの」
「その中でも、あなたに取り憑いているのは“怨霊”と呼ばれる類いになるの」
「この“怨霊”というのは、人が人を恨んで死んでしまうとなるのね」
「この恨みが強ければ強い程、怨みに変わってしまい“怨霊”となるの」
「だから、この怨霊を供養して、成仏させればあなたに危害は加えないわ」
「危害??」
「そうよ」
「だって、あなたの事を怨んでるから取り憑いて色んな方法で仕返しをしてくるのよ」
「今回のあなたへの仕返しは“死”に追い込むという事みたいなの」
「でも誰だか分からないけど、自分は何も怨まれる様な事した覚えが無いですけど」
「今現在、この世でしたから取り憑かれる場合と“前世”で怨まれる事をした場合とがあるの」
「あなたは前世とかって信じる?」
「あまり考えた事無いですけど、まぁテレビやなんかで耳にした事は」
「だから、まぁあるのかなぁ? って言うくらいですけど」
「私がここで“やっている事”は、その人が前世に犯した悪い事が、今世に凄く影響しているの」
「だから、今世を生きるのに障害のある前世を“奇麗にする”のが仕事なの」
「人間は何度も何度も生まれ変わって、その度に色んな出来事に遭遇し、起こすの」
「でも、内容は違えど同じ事を繰り返しながら生きて来ているのよ」
「それが、“因縁”と呼ばれるものね」
「因縁??」
「分かり易く言えば、最近良くニュースでもある様に殺したり、殺されたりってあるけど」
「それはお互いにこの“因縁”と言うものがあるから、生まれ変わるたびに出会い、その度に殺したり殺されたりしてしまうの。」
「さっき言った、“前世を奇麗にする”っていうのは、この“因縁”を消す事なの」
「当然いい出来事の“因縁”は何も触る必要がないからそのままでいいけど」
「殺したり殺されたりなんかの悪い出来事の“因縁”は消さない限りずっと繰り返し起きる事なの」
「そして、今回あなたに憑いている怨霊との因縁を見ると、前世で中国に一緒に居たみたい」
「ここから先を知る為には、あなたの協力が必要なの」
「あなたに憑いている者が、どう言う経緯であなたを怨んで怨霊になったかを“あなた自身が知って理解”しないと相手は成仏しないの」
「なんでですか?」
「だって、あなたを怨んでるのよ」
「例えば、あなたが人に傷つけられて、相手を怨んだとしたらどう?」
「相手が知りません。って態度で反省もしてなかったら、相手を許すと思う??」
「...。」
「そうですね」
「じゃあ、まず何をしたらいいんですか?」
「まず、あなたには“お経”を読んでもらいたいの」
「“お経”? 僕知りませんよ」
「あの、葬式でお坊さんが言ってるヤツですよね?」
「そうよ、けど大丈夫。 ふりがなふってあるから」
「ハイこれ」
「あなたがお経をあげると私に“前世の因縁”がストーリーの様に見えてくるから終わったら声を掛けるから、それまで唱えてて」
「中国で何があったかそれで分かるから」
「はい。わかりました。」
(「一体どのくらい掛かるんだろう...」)
その13につづく、、、、、次回をお楽しみにw
第一話はこちらから
↓
<小説シリーズ vol.1> 宿命 ~さだめ~
前回のお話はこちら
↓
<小説シリーズ vol.11> 宿命 ~さだめ~
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