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<小説シリーズ vol.5> 宿命 ~さだめ~

その五 “男”

ある蒸し暑い夜の出来事 
たまたまその日は仕事が休みで、
何事もなく一日が終わり
真は眠りについていた。
明け方の三時頃だったように思う。


寝ていたのに急に嫌な予感がした。
それは
数年前にも感じた事がある感覚だった。
奥の方でずっと眠っていたのに、 
その記憶は一瞬で目を覚ました。


「あのときと一緒だ!」
「なんで?」
「今まで何ともなかったのに!?」


ベットに横になり、
目はつぶっていたが
真の頭の意識は完全に起きていた。

「今一人なんだけど」
「どうしよう」

不安になりながらも、
今起きている現状を把握しようと必死になっていた。


「自分の勘違いかも」
「気のせいってこともあるし」
「目を開けて確かめるべきか」
「でも...怖い」


いろんな思考が、真の頭の中を駆け巡る中


「いっその事」

真は目を開いてみた


、、、、、


、、、、。


何もない。
何もない。

「よかったぁ。」


真はとても大きな脱力感に陥ったが、
それは
安心からくるものだと
自分自身でも分かっていたので


「いいや、また寝よう」


寝返りを打った真は固まった。


なぜか、目の前に
大柄な男が
床に座り込み。
すっと真の事を見ている。

確実にその男と真の目は合っている。
真もじっとその男を見ているが

真が気付く
「あれ?」
「透けてる。」
「なんで?」


自分の部屋に見知らぬ男がいたら
たとえ女性だとしても
普通は驚くが
この時の真は冷静だった。
それは本人も気付いているくらい冷静だったのだ。


お互い目が合ったままどのくらいたったのだろう

「空気が変わった。」
そう感じた瞬間、
その男は、
もの言いたげな表情をし、笑みを浮かべて突然消えた。


真はベットから起きて、
部屋の電気を付け
しっかり目を覚まして考えた。

考えたが、
分からなかった。

「今のは何だったんだろう」

数年前の出来事と同じ感覚であった事には変わらない。
けど、
あの時と、今の事、
違いがあるのは分かるが、
その違いが分からない。
つまり
表現できないものだった。

「ッ!?」



『カランッ!!』  『カランッ!!』  『カランッ!!』
『カランッ!!』  『カランッ!!』

「うあぁぁぁ~~~~~~っ!!」


テーブルに置いてあった空き缶が一斉に倒れ出したのだった。




 
この時を境に真の生活、環境、
そして運命というべきものなのか...


それは今後、世間からかけ離れたものとなって行く。

              その六につづく、、、、、次回をお楽しみにw




これまでの話を振り返る場合はこちら

<小説シリーズ vol.1> 宿命 ~さだめ~
<小説シリーズ vol.2> 宿命 ~さだめ~
<小説シリーズ vol.3> 宿命 ~さだめ~
<小説シリーズ vol.4> 宿命 ~さだめ~

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