小林武史とakkoの魔法だったマイラバ
My Little Loverは、小林武史がまだグループに居た頃のアルバムはどれも好きなんだけど、その中でも特にコバタケ後期の『Topics』と『FANTASY』が好き。
マイラバとしては驚くほど全く売れなかった上の2枚のうち、デビュー当時の爽やかポップスが影を潜め、孤独にやられそうになる『FANTASY』のほうを取り上げてみます。
前作『Topics』の後にギターの人が脱退し、このアルバムから2人体制になったからか全体的に打ち込みの音が多く、ギターの音がだいぶ少なめですな。アルバムタイトル通りのファンタジックで浮遊感のある曲調が多いです。
音はエレクトリックでフワフワしてるのに、全曲コバタケが書いた歌詞は別れを連想させるワードが多く、小林夫妻のこの先を予感させるようで、聴いていると胸の奥がややモヤモヤっとしてくる。いや、打ち込みの音が無機質に聞こえるからこそ、こういう歌詞が余計に映えるのかも。小林武史、やりおる。
後半に収録されている「ちいさな魂」が唯一、気持ちが救われる曲。
そう。このアルバムがリリースされたときって、たしかコバタケの不倫がどーのこーので離婚寸前だったはず。その夫婦間の空気が反映されているのかな。コンセプトアルバムっぽくもあるし、統一感があって皮肉にもそれが結果的に良いほうに作用している気がする。
決して明るくはないアルバムだけど、やはり小林武史は一流のポップス職人なので良い曲ばかりだし、akkoの声も相変わらず良い。
ひとつのポップアルバムとして良い出来なのに、前作でコケてファン離れが進んで、それからほぼ活動をせずにこのアルバムを完成させるも全く宣伝もせずにリリースされたら、そりゃ再びコケますわ。その間に出したシングルも未収録だし。小林武史的にはもうプロモーションとかやる気がなかったんでしょうかね。
というわけで、内容はとても良いのでマイラバを「Hello,Again」しか知らない人にも、昔に聴いてて離れてしまった人にも聴いてほしいなと。売れなくなったあとも良いアルバムを出してたよと知ってほしいです。
改めて、マイラバというグループは小林武史の曲と、akkoという唯一無二のボーカルが合わさったから最高のポップスが生まれていたんだなと再確認できます。akkoひとりになったマイラバはちょっとハマれないなあ。
いつか『Topics』についても書きたいと思います。