SFが現実に。Human Augmenation【人間拡張】カオスマップ2022年版を公開
こんにちは!15th Rock Venturesです。大好評でした「Human Augmentationのカオスマップ」を昨年に引き続き、今年も公開します。
眺めているだけでSFの世界を堪能、きたる未来にわくわくしてしまう、そんな記事を皆さんにお届けしたいと思います!
本当にそんな技術が存在するのか?実現はまだまだ先では?と思われる方こそ、ぜひ本記事をご一読いただけると嬉しいです。
Human Augmentationカオスマップ2022年版を公開
今年は、170社掲載させていただきました!(昨年+50社)
今回も、特に注目すべきHuman Augmentationスタートアップを
本noteにてピックアップしています。
※なお、メディアさんからも数多くお問い合わせいただいた、昨年度版のHuman Augmentationカオスマップは、下記よりご覧いただけます。
まず初めに。Human Augmentationの捉え方
Human Augmentation(人間拡張)と一口に言っても、様々な機能の拡張があると考え、カオスマップを以下のように分類するとともに、身体能力の向上度合いに応じてレベル分けも行いました。
▼分類
①脳の拡張 ②存在の拡張 ③身体能力の拡張 ④五感の拡張
▼レベル
レベル1:計測/把握、レベル2:再生/治癒、レベル3:トレーニング/強化mレベル4:スーパーヒューマン
1.Augmented Brain ー脳の拡張
幸福感を促進するデバイス「Feelmore Labs」
ー新たなる「第六感」に着目
五感を通して外の世界で起こっていることを検出するのと同じように、私たちには「内受容感覚」と呼ばれる感覚を使って、空腹感・心拍数・呼吸パターンなど体内で起こっていることを監視する役割を持つ機能があります。
ー内受容感覚は何を引き起こすのか?
内受容感覚は、脳の感情や記憶と相互作用し、組み合わせることで、あなたがどのように感じるかを形作ります。なので、内受容感覚がスムーズに機能していると、良い睡眠や幸福感等を得られ、一方で機能が低下すると、ストレスや倦怠感等を引き起こす可能性があると言われています。この内受容感覚に着目したFeelmore Labsの開発製品「COVE」は、独自の振動を通じて、内受容感覚の機能を高めることで、ストレスや睡眠の改善、幸福感を増長することを狙ったデバイスを開発してます。
架空の脳を創る「Cortical Labs」
ーAIの最大課題、エネルギー大量消費問題を脳細胞が解決する?
AIは、視覚から音声の認識まで困難なタスクを処理することができますが、依然として、パターンに従い、単一のタスクを実行するだけでも大量のデータと時間を必要とします。そこで、人間と同等またはそれ以上のタスクを実行できるAIづくりに、各社がトライしていますが、Cortical Labsは、なんと、人間の脳細胞を使用したコンピューターチップを開発しています。
ー脳細胞チップなんて、どうやって作るのか
この脳細胞チップを作るために、胚から抽出したマウスの脳細胞に、ヒトの皮膚細胞を幹細胞(あらゆる種類の細胞に変化できる細胞)に変換したものを組み合わせて、ヒトの脳細胞へと成長させます。
この脳細胞を、26,000個以上のセンサーで構成された指先サイズの微小電極板に移植し、このセンサーを外部のコンピューターに接続することで、電気信号を脳細胞に送ります。
ー脳細胞チップができたこと
簡易的なゲームをプレイすることはもちろん、加えて面白いのは、このチップが自らの動きを判断し、センサー経由でコンピューターに伝える点です。それを何度も何度も繰り返すことで、行動と認識のサイクルができあがっていきます。ゲームをプレイすればするほどミスが少なくなり、この実験では、時間の経過とともに、パフォーマンスが約67%も向上したそうです。
2.Augmented Sensing ー五感の拡張
匂いを嗅ぐコンピューターチップ「Koniku」
ーヒトの鼻をコンピューター化
Konikuは、上記したCortical Labsと手法は少し似ていますが、研究室で培養された脳細胞と電子回路を結合させて、コンピューターに匂いを検出する能力を与えます。
ー匂いの嗅ぎ分け技術は、どんなことに使える?
1つ目に、爆弾等の危険物の発見に役立ちます。空港や航空会社にとって、潜在的な脅威をできるだけ早く検出できる技術は魅力的であり、すでに航空宇宙会社のエアバスと提携して、空港でのトライアルを開始しています。
2つ目に、病原体は、病気を起こした細胞から出る特有の臭いを生み出します。この特徴的な臭いで、病気を検出することもできるのです。
他にも、セキュリティとヘルスケアだけでなく、監視やエネルギー、食品、農業など幅広い分野での用途を現在想定されているようです。
AR機能搭載スマートコンタクトレンズ「MOJO VISION」
ースマートコンタクトで何ができるように?
Mojo Visionは、世界最小ディスプレイを搭載したコンタクトレンズ「Mojo Lens」を開発しています。Mojo Lensは、アイトラッキング機能や周囲を認識するカメラを備え、スマートフォン等の外部端末とワイヤレスに通信できます。特に肝となるのが「アイトラッキング技術」で、これは、ユーザーの視線に合わせて視界に映る画像を調整します。これにより、例えば視界に表示された文章を読んでいる際、読む箇所に合わせて、文章を先へ送るといった動きが実現します。
ースマートコンタクトの中身はどうなっているのか?
コンタクトレンズの内側に、光を網膜に集める小さな光学系を備えた、AR情報を表示するディスプレイを装備しています。加えて、ワイヤレス機能と、目の動きを感知するモーションセンサーも搭載することで、外部機器へのデータの送受信を可能にしています。他には、電力およびデータシステムも搭載しています。そして目に直接着けるコンタクトレンズなので、通常のコンタクトレンズのように角膜への酸素供給も問題ないそうです。
※現在FDA申請中、実用化は2023年を想定。
3.Augmented Body ー身体の拡張
腕に埋め込む「Atom Limbs」
ー考えるだけで、動く。次世代型の義肢
Atom Limbsは、非侵襲であるのに、考えるだけで、自然に指一本一本が動かすことができる義肢を開発しています。義肢でも、指・手首・肘を、異なるスピードで、同時に、自在に動かせることができるのです。また、約200個のセンサーを搭載した義肢は、物体を掴むときに感じる触覚を与えることも可能にします。
ー非侵襲なのに、なぜ?
手足を失ったり損傷したりした場合でも、腕の神経はまだ存在し、筋肉に向かって発火しています。つまりそれは、動くための腕・手が残っていないという状態です。Atom Limbsは、腕や筋肉からの発火に着目し、身体が送る正確な信号を利用し、非侵襲であるのに考えるだけで動かせる義肢を開発しています。
4.Augmented Experience ー存在の拡張
建築現場のレイアウトをプリントする自動ロボット「Dusty Robotics」
ールンバのような、建設現場を走り回る自律型ロボット
Dusty Roboticsは、「建設現場の床に図面をプリントする作業」を自動化するロボットを開発しています。現場に何を設置するかを記すことで、どこに何を作るかが決まる、まさに最も重要となる設計をロボットが担います。
ーなぜ、この分野に着目したのか?
通常、この作業は巻尺を使い、プリントアウトした図面を読みながら、手作業で行われるもので、2人1組で1週間ほど掛かる作業です。また、レイアウト中のミスは、建設プロセス全体に影響を及ぼし、手直しや遅延、追加費用にも繋がってしまいます。
複数のチームが関わる建設現場においては、このような作業の自動化は、非常に高く評価されています。3Dモデルの図面をロボットが自動変換し、床にマーキングすることで、所要時間とミスを劇的に減らすことを可能にしたのです。
すべてを兼ね備えたバーチャルオフィス「Remort HQ」
ー使い勝手の良い、バーチャルオフィスを実現
RemoteHQは、オフィスで必要なツールや作業を、一つのクラウドベースで可能にするバーチャルプラットフォームを提供しています。これまであらゆるツールを使い分けていた、ビデオチャットやWebアプリの共同閲覧・共同編集、ファイル共有、メモ、ホワイトボードの共有など、リモートワークで必要な機能を1つのブラウザにまとめたサービスです。
ーバーチャルオフィス、どこまで実現できているのか?
RemoteHQでバーチャルオフィスを立ち上げた後は、個人用の部屋、部署ごとの部屋を作成することもできます。また、オンラインミーティングにおいては、日本語も含めた9か国語対応の文字起こしの作成も可能となっています。さらに特徴的なのは、ブラウザを共有すると、複数人で1つのブラウザを操作することができるようになります。
15th Rock Venturesについて
15th Rock Venturesは、「人生100年時代に、Human Augmentationによって身体的制約を解放し、人がより生き生きと暮らせる世界を実現させる」ことが投資主題のベンチャーキャピタルです。
Human Augmentationの世界をともに広げてくださる方を積極的に探しています。本カオスマップのお問合せにつきましては、お気軽に下記までご連絡ください。(現在、キャピタリストも積極的に採用しています!)