第９怪～家庭の異學(１)

お憑かれ様デス！

多忙なる執筆活動の影響で手首がヤラレタ！と思いきや、恐らく中華鍋の振りすぎで手首をヤラレテしまった中華の鉄人・陳 戦車デス。ニーハオ！

突然段ボールではありますが、この「仮分数のヒトビト」、皆さんどんな時に読んで貰ってるのかな？と。

配信のタイミングなんデスが、現在毎週火曜日の１２時に設定しているのデスが、やはり会社や学校のお昼休みなのかな？とか、通勤・通学の電車の中なのかな？とか、寝る前にお布団の中で携帯で見てくれてたりするのかな？って思ったりしているのデスが、如何なもんでしょうか？

特典の楽曲や影像なんかも毎号、地縛霊の様に憑いてくるので、特典を聴いたり、見たりだったら腰据えて見てくれているのかな？とも思ったりする訳でして。またどんなタイミングでこの「仮分数のヒトビト」を読んで貰っているのか教えていただけたら幸いデス。沢山の人に読んで貰いたいので、配信時間とかも変えてみても良いのかなあ、なんて思ったりもしているので。

さて、今怪の定期購毒マガジン「仮分数のヒトビト」はそれこそ鏡町を構成する庭師KING・背中 卑鏡として、ストロベリーソングオーケストラ、瀉葬文幻庫が犯罪を繰り返す虚構都市・鏡町の楽曲や、演劇脚本に登場する人物やキーワードにも照準をあわせてみようかなと思います。

よく共犯者の方や、それこそ鏡町の住人であるメンバーからも「この歌詞の意味なんですのん？」とか「この登場人物は誰？モデルになった人物とかありますのん？」てな質問・クレーム・罵詈雑言をいただきます。故に、過去の演劇脚本や、楽曲の歌詞達を今一度机に広げてデスね、毒者の方々と考察して逝こうかなと。アレデスよ、ちょいと前迄流行していた『江戸川乱歩語辞典』『横溝正史語辞典』や、都市伝説・怪異譚等を扱った『日本現代怪異辞典』や、それこそ昔からある『悪魔の辞典』『地獄の辞典』みたいな感じなのをやりつつ、短編小説みたいな形でお届けしてみようかなと思います。

それこそ今さっき文中に登場してきた背中 卑鏡ってなんですのん？ってなりますよね。

背中 卑鏡とは？

ストロベリーソングオーケストラの演劇作品『家庭の異學』で登場する作家。作家であるが故、背中先生とも呼ばれる事が多い。
その姿・形は謎に包まれており、時折、鏡町で起きる事件の脚本・台詞を改竄しては世を嘲るかと思えば、闇を患った罹患者を救うべく一縷の光を差し込む時もある、鏡町の怪人二十面相。

彼の劇中での作家としての代表作
『家庭の異學』
『闘争のすゝめ』
『怨ライン呪い屋・黒百合鋏美』他

てな具合。
どうデスか。闇を患った少年少女倒錯症の毒者諸君、厨二病魂をくすぐられやしませんか？この注釈だけでご飯１杯、オートミール３杯(大さじ)食べれてしまうんちゃいますか？
僕は脚本や歌詞を書いたりする時はいつもそんな気持ちで、鏡町の大工の棟梁として五寸釘を柱に打ち憑けておりますよ。
で、この背中先生が書き上げた『家庭の異學』って何だんねん？って人も沢山居てるかと思うので、今回の「仮分数のヒトビト」は『家庭の異學』小説版として、時折『鏡町語辞典』なる注釈も交えながらお届けして逝きます。

それでは『家庭の異學』禁断の頁を捲ってみましょう。

家庭の異學

ニンゲンは幾つもの過ちをこの世に遺してきた。
そして、その過ちを記した書物も数多の星が如く世に遺った。

今、私が手に取った一冊の書物もそんな過ちを記した物なのかもしれない…

私は売れない小説家であり、生粋の活字中毒者であった。
二つの眼が開いている以上は本を書くか読んでないと気が狂れそうになり、実際、自分の書いた原稿や文庫本を破っては、飯の代わりに口の中に入れてしまう始末。咀嚼しても咀嚼しきれない日々の繰り返し。

挙句の果てには何時どのような時にでも読めるようにと、身体中にコンパスの針で「悠々たる哉天壤、遼々たる哉古今、五尺の小躯を以て此大をはからむとす。ホレーショの哲學竟に何等のオーソリチィーを價するものぞ。萬有の眞相は唯だ一言にして悉す、曰く、「不可解」。我この恨を懐いて煩悶、終に死を決するに至る。既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし。始めて知る、大なる悲觀は大なる樂觀に一致するを」と、藤村 操の辞世の句を刻んでは反芻し、どうにもこうにも世間的には人外扱いされてきたので、友人に勧められた鏡町という場所にあるK精神病院に通ってみたら、そこの白髪の老医者に「残念だが、君の病気はここでは専門外となる。したがって、ここから少し行った所に、そういった病気に関する書物を取り扱っている書肆があるので訊ねてみたらよい」と匙を投げられたので、日曜日、寒空の下、鏡町から死神三寸離れた区画にあるという書肆へと向かった。

藤村 操
北海道出身の旧制一高の学生。華厳滝で投身自殺した。自殺現場に残した遺書「巌頭之感」によって当時の学生・マスコミ・知識人に波紋を広げた。藤村の自殺直前に彼の英語教師を担当していた夏目漱石が彼に発した叱責により、神経衰弱となった後の夏目漱石の作品にも華厳滝は登場する。

K精神病院
鏡町で巻き起こる事件で度々登場する精神病院。
寺山修司の詩・噂のフォークロアにもその病院は登場する。

鏡町から死神三寸離れた区画
死神三寸がどれ程の距離かはわかりかねるが、おおよそ常人が歩いて４時間５９分。ヒトの気は殆どなく、ミミズクがホウホウと時を刻む音が鳴り響いている。その地にある建屋が座ーグルマップで発見され、どうやら近々ポツネンと一軒家という番組にオファーされる模様。