暗いところで待ち合わせ

ミチルとアキヒロの描写が交互に描かれている小説構成でした。
視覚障害者のミチルは、一人暮らしをしていました。家では何をするわけでもなく朝起きて、窓を開けて、掃除して、こたつでまるくなる、寝るそういう1日な生活をおくっていました。でも自分の部屋のことは目が見えなくても、勝手がわかることもあって安心するのです。

このはなしで轢かれたことは、ミチルはおばあちゃんに似ているなと思いました。いいなともおもいました。

おばあちゃんもこんな感じで生活して、自分がおばあちゃんの家に行ったり、電話したり、それは外界のことに触れる嬉しいことなんだと思いました。

おばあちゃんを大事にしたいなとおもいました。支えたいなともおもいました。

同僚を突き落とした犯人のアキヒロが、ミチルの部屋でバレないように過ごす2人の掛け合い(心の中での)描写は、おもしろかった。なんとなく小さな音が聞こえたな、ご飯少し無くなっているな、あれあったはずの土鍋ないな、シチューを2人分用意されている。その理由や、駆け引き、こんなことやってみようなど、ミチルが目が見えないが故に、行動に優しさがあって温もりがあった。いいなぁーって思いました。

 駆け引きも面白かった。気がついてないと思っていても気がついている。だけど気がついていないふりをする。そんな緊張感が面白い。アキヒロはヒヤヒヤしていただろうと想像しました。ミチルは、部屋に誰かいるのではないかと仮説して、ストーブの火を強くして、火事になるようにする。寝ているふりをする。アキヒロは優しいのでこのままじゃミチルさん危ないとも思ったので火を小さくした。それを後で確認してアキヒロがいることがわかった。シチューを2人分作って、食べるまでミチルは食べない。おもしろい。気がついてないと思っていても気がついている。だけど気がついていないふりをする。そんな緊張感は恋愛に似ている気もした。

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