【アウトドア】ガイドブックのコースタイムって誰がどうやって決めているの?
はじめに
暖かくなってきたことで、屋外活動をする人が増えています。
そのなかでも、今回は"登山”について書こうと思います。
登山のガイドブックに ”コースタイム” ってありますよね?
これは一体、誰が、どうやって決めているのか気になったことがありますか?
ガイドブックのコースタイムとは
定義
”登山の初心者が無理なく歩ける距離”
↓
同じコースでも執筆者が異なれば、異なったタイム設定となっている場合もある
研究方法
・「分県登山ガイド」全46巻を使用し調査。
・執筆者は50-60代が多く、県ごとに異なっている。
・1名で執筆しているものから、山岳会単位で複数名が分担/共同執筆している県まで様々。
・日帰り~4泊5日まで計2532のコースを紹介。
→ 本研究では96%を占める2427の日帰りコースを分析対象とした
・登山口と下山口が異なる場合には、累積移動距離の差が10%以内となるコースに限定。
結果
【平均】(4時間程度での移動距離)
・水平方向:8km強
・垂直方向:上下とも700m強
→ コースタイムは水平方向よりも垂直方向への移動距離によって、よ
り強く規定されている?
・下り1000mあたりに要す時間:6時間
緩傾斜のコースが多い県ではタイム設定が遅い
→ 1番遅い県(青森県)
平均傾斜:9%
下りの平均時間:8.7時間
急傾斜のコースが多い県ではタイム設定が速い
→ 1番早い県(神奈川県)
平均傾斜:24%
下りの平均時間:3.7時間
*平均傾斜が全国平均値に近いが、タイム設定に差がある県もあり!!
→ 速度感覚の違い?
→ 登山道の歩きやすさの違い?
おわりに
・分析に用いた「分県登山ガイド」の執筆者は50-60代が多く、県ごとに異なっている。
・1名で執筆しているものから、山岳会単位で複数名が分担/共同執筆している県まで様々。
・コースタイムは水平方向よりも垂直方向への移動距離によって、より強く規定されている?
・初心者が無理なく歩ける時間とされているが、規定はなく傾斜、歩きやすさなどにより変動している。
参考文献
山本正嘉 他:登山のガイドブックに記載されているコースタイムの特性ー運動生理学の視点からの検討ー.登山医学 Japanese Journal of Mountain Medicine 40:146-153,2020.