株価の値動きを因数分解する
よく
それは織り込み済みだ
なんて株の世界では言われますけど、織り込み済みって何?また、織り込んでた筈なのになんで?って事は多々あると思います。そういった一見理不尽な株価の値動きついて少し論理的に考えてみたいと思います。
と、言っても大した内容はありません🤣
極簡単な理屈です。
これは先日2022/2/12、ロシアウクライナ開戦時に僕がツイートしたものです。
僕は指数投資家なので、あくまで指数の傾向なんですが
なんで上のツイートしたような動きになりがちなのか?
というのが今回のお題です。
僕は、株価(指数)はとどのつまりEPSと相関している(EPSに関しては先日記事にしました)と思っています。EPSの先取りをすることによって株価を予測することができる。つまり、
先見性のある株式市場では、市場参加者が常にEPSの先読み競争をしている。
と考えています。
それを念頭に、開戦前に何故株価が下がるか?
それはEPSが今から下がるかもしれないから、市場参加者が身構える。
からだと思います。
身構える。
といっても何となく危ないから株を売っておこう!
というのは個人投資家だけ。
機関を始め他人のお金を預かっている人たちはなんとなく(勘)ではクライアントに言い訳が立ちません。ここはこうなっているからという理由を求められる筈。
なので戦争にしても、戦争による経済の影響を因数分解、つまりリスク要因を洗い出し、数値化し影響を見極める。という作業を自ら行う、あるいは専門機関から買う、といった作業が発生します。まあ仕事だから当たり前ですよね?
で、
リスク分析など、それらの作業にはそれなりに時間がかかるし、また全てのリスクに結論が出るわけではありません。ペンディングするリスクもあります。それらを仕分けして、それに見合ったリスク対策をします。
例えば、進捗率0ならリスクMAX。進捗率100%だけど、不確定要素が50%、などなど。それに合わせてリスクテークするわけです。
まあ、僕は投資銀行に勤務した訳でもないので、実際の所はわかりませんが、どんな仕事でもまあ似たりよったりの事しますよね?流れとしては当たり前の話だと思います。
さてそんなお話で、戦争時に今の流れがどう当てはまるか?
を考えますと。
先ず、開戦前は未評価のリスクが一度にドカン!と湧いて出る事になります。そこで当面の対応として株を売る、あるいはヘッジしてリスク許容度(耐性)を上げる。これが開戦前に株価が下がる主な原因だと思われます。
が、一旦開戦していまうと、リスクの列挙とその影響がある程度読めるようになって、これぐらいのリスクなら許容できる、と許容度が上がります。つまり計算可能なリスクが増えて先が見えるようになった。そういう事です。
もちろん個人投資家や相場を見ない積立の人など、そういう計算なしに、思惑で動いたり、動かなかったり。多態性というのが市場の効率化に貢献するのは当然ですので混沌とした面は否めないのですが、反面、大きな金額(資金)を動かしているプロ投資家は、先に言った通り、クライアントや、上役から説明を求められるのは間違いありませんよね?なので値動きにある程度の論理性が発生すると僕は考えています。
さて、開戦後、リスクが顕在化したことによって、リスクがリスクでなくなり、リスク許容度が上がって株価が上がったとします。つまり恐れたいたリスクが株価下落要因として確定するわけですね。
でも、リスクの数は減ったものの、顕在化した株価下落要因が最終的にEPSに影響を与えるか?というのは未確定でわかりません。時間が経てばEPS予想の精度が上がるとはいえ、企業決算を待たないと答え合わせはできないのです。
なので決算期前、あるいは直後にもう一度株価が修正されます。
そう株価は最低限二度調整します。
重要だからもう一度
株価は、リスク評価時(イベント発生時)に一度動いて、結果(企業決算)でもう一度動く、つまり二回に分けて動きます
このことはウォール街の格言でもありますよね?
噂で買って事実で売る
まあ、実際は意味が違うかもだけど、二段階に分けて株価が変動するというのは当てはまるかと思います。
以上を踏まえ、戦争前後の株価の動きをまとめますと
1.開戦前は、(一気に想定外のリスクが噴出し、リスク評価の精度が下がり、リスク許容度も下がる、結果)株価が下って
2.開戦後、(リスクの網羅が完了、リスク評価が可能になって)株価は上昇
3.しかし戦時中は(想定外のリスクの追加や、EPS予想の精度の向上に伴い、リスク許容度が影響を受けて、結果)中弛みし、
4.終戦後、(予想EPSへの戦争の影響度が、かなり正確にわかるようになった時点で)また上がる、あるいは下がる
という傾向がある、のだと思います。
実はこの傾向、戦争に限らず、多くのイベントでも当てはまると思います。
例えばコロナ。
大規模な厄災が発生した場合、戦争と同じくリスクが読めなくなります。コロナの初期を考えたら判ると思うのですけど、どこまで感染地域が広がるか未知数でまったくわかりませんでした。
所が、一旦コロナが全世界に広がってしまうと、リスクが顕在化してしまい、リクスがリスクではなくなる。つまり計算可能になる。心情的には最悪ですが、株価のリスクに対してはそうではありません。
でも、今度はコロナで社会機能が麻痺してしまうのでは?と考える方もいらっしゃるかと思います。
ですが、そういったリスクは、最初のコロナ発生時点でリスクとして網羅されているはずです。ちゃんとリスク管理されているのであれば当然の話。
よって、その場合、コロナがどんどん広がっていっても、リスク要因の数が増えるとは限らない。つまりリスク許容度が下がるとは限らない。と思います。
そうすると、コロナが広がって深刻になっているのに、株価はいうほど下がらなくなったね?という現象が理解できるのではないでしょうか?
つまり、織り込みというのは、
リスク管理可能になった。
のだと思います。なのでコロナについても第二派、第三波と回を重ねるごとにリスク管理がスムーズに行えるようになって株価も反応しなくなる。
ただ、注意してもらいたいのが、株価は二回調整する、ということです。最終的なEPSにコロナが与える影響は、企業決算が出るまでわかりません。
とは言っても、企業決算は答え合わせなので、例えば現状では戦争、米国金融引締、そしてコロナとそれらの合算となります。現段階では計算不可能です。
更にいうと、一期、四半期の決算で結果が出ないほど、コロナについては長引いています。例えば、コロナ融資で延命していた会社が数年後に倒産、といった長期にわたる影響もあると思います。まあ竹を割ったように計算できるわけではないのでそこはご注意を。
以上、株価の動きを多少なりとも論理的に、因数分解して考えてみました。
本日のまとめ
今の世の中、テクニカル中心の人が多いし、たしかにテクニカルを無視すると運用成績が上がらないのは動かしようのない事実だと思います。
ですが、
ファンダメンタルズ分析をベースに、こういった株価の因数分解の事を頭の隅において、株価の動きを先読みする。
その上で、テクニカルと組み合わせると、テクニカルだけで予測するよりも早く危険(急落)を察知することができるのでは?と僕は考えています。
余談ですが、
偶にSNSで、テクニカルを無視したタイミングで勘ですが危ないと思います。などどつぶやいていますが、これは全くの勘というわけはなく、そういった因数分解した読みとファンダが、テクニカルから乖離した時が殆どで、全くのヤマカンというわけではないんです。
僕から言わせれば、本当にヤバい時は、むしろテクニカル上は問題なく見える、場合が多いと思います。
とまあ、私見でした。所詮素人の戯言、信じるか信じないかは個人の自己責任で🤣🤣🤣