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地震を震災にしないために(2)

もう少し早くに、続きを投稿できると思っていたのですが、遅くなってしまいました。
(写真は火災後、半年以上放置されている建物)


・外出先で

外出時に大きな地震に遭ってしまうことは大変な動揺をもたらします。
少しでも気丈に行動できるよう心がけておきたい点をお伝えします。

私の場合、移動は徒歩と公共交通機関に限られるので、この点の考察になります。
ここでは主に大型商業施設、鉄道関連の話になります。

私は、「人間、空さえ見えれば何とかなる」と思っていますが、
それが叶わないのがこれらの場所になります。

建造物の奥深くにいる時に、災害に遭遇したらどうしたらよいのでしょうか?
予備知識の有無が行動の適否に大きく関わると思われます。
そのために頻繁に訪れる場所の防災計画は広く開示してもらい、熟知しておく必要があります。

非常階段は防火扉の裏側になっていて、通常使えなくなっている場合も多いので確認しておきたいものです。


・大型商業施設

大型商業施設
正面入口付近

商業施設の規模は、床面積がどんどん拡大し、中に入ってしまうと内部がどこまで続くのか判らないほどになっています。
家族連れの買い物客の中で、おばあさんが「まだあるのかい」と言っていたのが印象に残っています。

ときどき避難訓練も行なわれていることとは思いますが、小店舗が多く連なっている場所では、どこに災害時の避難誘導の責任者がいるのかなどは見当もつきません。
各店舗の従業員さえ利用客と同等のレベルで、避難誘導される側の立場である場合も多いと考えられます。
大面積を占有するスーパーなど同一店舗の場合は、普段でさえ従業員は疎らで、レジカウンターへ行かないと商品の場所を聞くこともままならない時が多いです。

このような場所で災害に遭遇すれば、孤立してしまうことも考えられます。
停電による暗闇であれば、どちらに出口があるのか方向さえ分からなくなります。

経済的な理由から、人手をどんどん減らしているのは判りますが、最悪の場合の想定はなされているのでしょうか?
「非常口」と示された緑色の小さな誘導灯だけで問題は解決されるのでしょうか?

こういった店舗はネット上で大きく宣伝活動をされているので、そのサイトの中の目立つ位置に、災害時の避難誘導計画、想定避難経路を掲載し、実際の建物の各出入口でもそれらの印刷物を入手できるよう常時配備し、店舗案内のカウンターでそれらに対する質問にも答えられるようにしておくべきでしょう。


・鉄道関連(地下鉄、鉄道)、他交通機関

少なくとも企業・学校の責任者は、最寄り駅の災害対策計画、想定避難路を確認しておくべきでしょう。
不安の解消ができなければ、再び利用者の減少、在宅勤務の拡大などが起こるかも知れません。


・地下鉄の深部が最大の危険個所

ここでの地下鉄駅の問題は、地上へ出るまでの移動距離と所要時間ということになります。
地上に出るまでの時間は、通常であっても長く不安に感じるものです。

何もない地下通路

地下通路はクモの巣のように張り巡らされ、短期間利用していないだけでも、隣の出口へ行ってしまったりします。
大規模な八重洲から有楽町・新橋へ続く地下などは、歴史も古く所有関係や構造も複雑で、住居表示も無い場所があると聞きます。
素人には図面を見てもまったく理解できないような場所なので、専門家にお任せするしかありませんが…。

災害時の暗黒の中での移動に不安を持たない人はいません。
不安を軽減するため、地下鉄の各駅では、非常用電源の持続時間や、
停電時に稼働する設備の紹介などを積極的に行なうべきだと考えます。

改札を入った所に小さなポスターを貼っておくようなことではなく、各ホームの壁や柱に数か所ずつ、時刻表の横や喫煙所、列車待ちの人々が滞留しやすい場所など、手持無沙汰の人が必ず見てくれるような場所を選んでポスターを貼っていただきたいものです。
それでなくともスマホしか見ていない人が多い昨今です。


・避難路や照明の確認

地下鉄の話をしてきましたが、地上部にある鉄道に関してもかなりの問題が考えられます。
電気がなくなれば、自動改札、ホームドア、エスカレーター、エレベーターは動かなくなるでしょう。非常用電源でまかなえるのは照明程度だと予想されます。
現在の駅はどんどん高架になっていて、ホームから線路に降りられても、簡単には地上にたどりつけません。

ホームがどんどん高くなる


・エキナカ、店舗、明かり取り

無造作に張られたベルト。真っ暗になったら?

駅の通路は法改正によりエキナカという店舗が充満し、これらの大型のガラスの破損や商品のなだれなどで、通行部分が確保できるのかかなり疑問です。飲食店など火気を扱う店舗まで増えています。
しかも壁面を店舗に占領されてしまい、昼間の停電時の明かり取りも難しくしています。
通常時も店舗の照明を主に考えているのか、通路の照明が本当に暗い場所も多いです。

エキナカの存在する駅構内での被災者の救護場所の確保は不可能だと思います。

駅前もバスターミナルがあれば良い方で、雑然としている場所も多く、近くに広い公園や学校が無い場合には、どうしたら良いのでしょうか。
駅構内の店舗の少ない駅であれば、停電によって停止しているエスカレーターを非常用照明を頼りに進めば良いと思いますが、店舗数の多い駅にあっては駅構内の通路は危険なため、ホームから直接駅の外、地上部へ出ることを考えないといけません。


・エスカレーター、エレベーター

かなり急です

エスカレーターが停止した場合には、その停止したエスカレーターを階段として利用させるのかどうかが大きな問題となります。
現在では階段が併設されているものも少なくなり、新駅ではかなりの傾斜になっています。
階段としての利用もエスカレーターの構造上、両端は階段とは傾斜が異なり、注意が必要です。
また利用が上向きになるか、下向きになるかで注意点が異なることとなります。

上から下への利用では、下端での踏み外しによる転倒・将棋倒しの危険性も高く、利用する場合には絶対に照明設備の設置と係員の監督の必要があります。
これは大規模商業施設や、イベント会場などでも同様です。

エレベーターの停止においては、特に必要とする障害者・高齢者の方の避難をどうするのか。
人手も複数必要となり、混雑時にはどこか安全な場所で退避していて頂くしかありません。
その間、不安を感じさせないような工夫が是非必要です。


・混乱防止先導者(パニック・クリアランス・リーダー:PCL)の発想

名称はこの場で適当に思いついたものですが、大体の内容はご理解いただけると思います。

地下鉄の通路

駅や大型商業施設、イベント会場など大勢の人が集まる場所で、
避難誘導できる職員が現場に到着するまでの間の混乱に備える人、

という考え方です。
人々の積極的待機を促し、無暗な行動を抑制する役割です。

複数路線が乗り入れる大規模ターミナル駅では路線ごと、
大規模店舗ではフロアごとの対応が必要になると思います。

これらの施設範囲、駅ごと店舗ごとに、希望者にその場所の防災計画・避難誘導を理解してらい、実際に何かあった場合に専門の職員が現れるまでの間、人々の混乱を減らす役目を担ってもらう、という人々を育成しておきたいという考えです。

施設ごとに簡単な講習会を行ない、災害初期に人々を落ち着かせる役目を担ってもらうのです。
初期の静止を促すということで、存在をアピールするだけで良いのです。

自信をもって行動をとる人がいれば他者はその人に追随します。

受講者には、ホイッスル、ペンライト、小旗などを支給して常に携行してもらいます。
これらを災害停電時に活用してもらうのです。
待機時間も何分までと決めておく問題もありますが、この場合ある程度の慣れが想定されますし、移動することになると責任の所在に関しても複雑になる恐れがあります。

普段入れない場所が見学できるのであれば、希望者もある程度見込めるでしょう。
改装などがあれば内容が変わるので、更新処理もあった方が良いです。
参加者には少額の割引券や記念品などを贈呈すれば喜ばれると思います。
「こちらには何人います」という事を表示して、人数を駅や店舗ごとに競ってもらうのです。
多ければ多いほど、利用者の安心感につながります。
駅が一番混雑する時間帯を利用する周辺の企業・学校への通勤・通学者はもちろんですが、商業施設、飲食店などに勤務される方々も、多くの時間帯の利用客を網羅する意味から、募集対象は広くするべきだと思います。


・飲み屋街

放置されている火災跡

消防法、建築基準法を守っていない場所には近づかないようにしましょう。
歌舞伎町などに代表される、迷路のような通路、戸口まで消防車・救急車の入れない店舗。
「せんべろ」などと、もてはやされていますが、実際には建物・敷地に資金・費用を投入していないから安いだけの事です。

安酒をかっ食らっている場合ではないのです。

「その時は、その時」などと無責任なことを言う人がいますが、被害を最小限にして、動ける人間は救助・応援に駆けつける思いやりが必要だと思うのです。
賛否両論あるかとは思いますが、少しでも他人様に迷惑をかけない、というものが日本人の心持ちなのです、そういう社会なのです。
残念ながら、上記のような店舗を運営している人々はほとんど日本人ではありません。



・地方において

今まで書いてきた事は主に都市部に偏っていたと思います。
地方の現状については知らないことが多いので、「そんなもんじゃないよ」と批判的に読んでいただければ、より多くのことに気が付かれることと思います。


・化学製品、肥料・農薬

農村部などの現状について疑問に思っている事は、大量の農薬・肥料など化学製品の取り扱い保管に関する事柄です。

東南海地震における津波の危険区域は、西部日本のソハヤキ地区(襲速紀:九州中南部・四国南部・紀伊半島・東海地方を指す。主に植物分布で使われる言葉)とほぼ一致しています。
この地域は高温多雨で生物相も豊かで固有種の多い地域でもあります。

自然条件から農林漁業も盛んで、備蓄されている農薬・肥料など化学製品も大量にあるのではないかと思います。
もしこれら薬品類が津波に侵されるようなことがあれば、やって来た海水中に溶出してしまうという懸念があります。
そのような事になれば土地の回復にも時間がかかり、周辺海域の海産物にも影響があるでしょう。
直接的には、もし人が津波に流されるようなことがあれば、化学物質の影響も受けてしまうという事になります。

これらの点に関しては、実際に検討されたことの有無を寡聞にも知りませんが、取るに足らない事としてあるのであれば、一度検討をお願いしたいと思います。
化学製品類を、津波の襲来の予想される高さよりも上で保管するようにすれば防げるものなのです。
しかし実際に低平地にあっては、近距離に移動先を見出すことが難しい場合もあると思うので、必要であれば早急に検討すべきだと思われます。




今回はここまでです。あまり考えたくない内容だったかも知れません。
お読みいただきありがとうございました。

次回は新しく生じている問題点などを考えてみたいと思います。


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