「クリスマス」と「バレンタイン」から考える「男女平等」

・12月25日の意味

「クリスマス(12月25日)はキリストの実際の誕生日ではない。」

この説を知って、ハッと思いついた話です。

「クリスマスがキリストの誕生日ではない。」ということは、以前からこの日(12月25日)が特殊な聖なる日として認識されていた、ということになります。

そちらの考えがもとで、「キリストは神の子だから、この聖なる日に生まれたに違いない。」となったのだと思います。

では、なぜ12月25日が聖なる日なのか。


・農業との関係

これは、当時のほとんどの人々が従事していた、農作業の暦と関係していると思われます。

まず農閑期の冬であること。
また冬は衛生面でも有利だと考えられること。
前後にある、「冬至」と「元旦から新年」という行事の多い日と、重ならないようになっていること。

出産予定日がこの時期より早ければ、かなりの身重で秋の農作業に従事するか、労働力の欠損となることでしょう。労働力不足は重大な問題です。

また、この時期より遅い、ということであれば、新生児が落ち着かない状態で、母親は春の農作業に出るか、連れて行かなければならなくなります。

このように、母体と新生児の安全のために、最もふさわしい日であったと考えられるのです。


・バレンタインデーとの関係

日付で考えてみると、バレンタインデーが2月14日、クリスマスが12月25日。ほぼ十月十日(とつきとおか)の妊娠期間の関係となっています。

妊娠期間を割り出したか、この認識を普及させたのがバレンタインであったとすれば、「そりゃあ聖人に列せられるでしょう、」という気がします。

これによって、母体と新生児の安全性が大きく向上した、と考えられるからです。


・人間の繁殖期

人間は他の動物と異なり、繁殖期が無くなっています。

これを「自己家畜化」と言うこともありますが、
石器時代や縄文人までの平均寿命が17~19才と推定されていることから、当時の食糧事情・栄養状態を見ると、出産開始年齢が15才程度と考えられ、もし年一回の出産であったとしても、一生で2~5人の出産が限界だったでしょう。
生存率を考えると、少しでも出産人数を増やすために、繁殖期が無くなったのかも知れないと思っています。


・再度の集中化

しかし、人類が農耕を開始するようになり、集団で生活する上で、
出産時期を集中させる必要が出てきたと思われます。

母方の祖父は、出産直後に母親が亡くなり、貰い乳で育てられたそうです。
他に出産をした女性がいなければ、できない話です。
東北の農村です。人口は多くなかったと思います。

日本人の統計で、(社長といっていたかな?)
最も多い誕生日が一月一日、という結果もあったと記憶しています。

これなども、クリスマスの発想と近いものがあったと考えられます。


・乳幼児の生存率

日本で乳幼児の生存率が低かったのは、大昔の話ではありません。

父方の祖父母は子供を12人もうけましたが、そのうち成人したのは5人しかいません。
大正から昭和一桁の話です。

戦前の日本では、乳幼児の生存率が、現在のアフリカと変わりませんでした。

「七歳までは神のうち。」
七五三は、この危険な期間を乗り越える手段を持たなかった人々の願いなのです。

だから、初等教育は7才からなのです。
不安定な部分に公的資金を使用できないからです。


・出産適齢期の短さ

「年増」も「女盛りを過ぎた」などと、揶揄するような使われ方をしていますが、本来は高齢出産の危険を喚起する言葉でした。

江戸時代、大奥では20才を過ぎると「年増」と呼ばれ、出産できませんでした。
明治時代でも、20才以上で高齢者出産の危険があるとされました。
だから最近までの民法で、男性より早く女性は16才から結婚できることになっていたのです。

明治の法律は、江戸時代の武家の慣習を明文化したものが多いようです。


・男女平等の前提

明治時代の話を読んでいると、男性が3回以上結婚していることが多く、これは女性の出産の危険性を物語るものです。それでも男は家を残さないといけない。

出産で三人に一人が亡くなり、40才まで生きられる女性が三人に一人、という時代。
命懸けで出産・育児をしている女性に、他の仕事を押し付けられますか?

この時期を乗り越えられた女性には、大きな社会的貢献をされた方もたくさんいます。
妊娠・出産が軽くなり、女性に自由度が増えてきたのは、たかだか戦後のことなのです。

まだ社会の仕組みや男性の認識が追いついていかないのは、当たり前です。

この点を踏まえて、本当の男女平等を語らなければ、ただの非難の応酬になってしまいます。


ここにも、歴史的時代背景をよく考えてから、という側面が表れています。

物事の由来には、現在の常識では計り知れないものが、数多くある。

という認識を持って、謙虚に議論を進めていってもらいたいものです。





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