今週のふりかえり_200628
この前、普段履いている革靴を初めて修理した。
学生のころは、革靴を履いたことがなかった。よくスニーカーを履いていたけれど、かかとが潰れたり、履き口が破れたり、傷みがひどくなってくると買い替えていて、消耗品の感覚で靴を使っていた。
修理をお願いしたのは、河原町の寺町商店街にある靴メンテナンスのLESH。これまでは「LUSHとロゴが似てるなぁと」とか思いながら通りすぎるだけのお店だった。
中に入ると、他のお客さんが修理を終えたスニーカーを受け取りにきていて、少しの間、店員さんと嬉しそうに立ち話をされていた。店員さんとお客さんとの距離感や、品のあるお店の雰囲気が伺える素敵な光景だった。
お客さんが帰られた後、僕も持ってきていた靴を取り出して、破れている部分について相談した。
買ってから2年半くらい履いているから、色んなところに傷みはあるけれど、最近になってアッパーの部分が大きく破れた。そこを指差しながら、店員さんに相談した。
「ここを修理したくて」
「ジグザグに縫う方法と、チャールズパッチという方法がありますが、どちらになさいますか?」
「チャールズパッチってなんですか?」
「チャールズパッチは、修理したいところに新しい革をあてて縫い付ける方法です。チャールズ皇太子が履かれていた修理靴が、この方法で修理されていて、それに由来しているんですよ」
なんと洒落た由来だろうかと思い、思わずチャールズパッチでお願いした。
店員さんは続けて「刺繍の色とパッチの形はどうなさいますか?この靴なら、刺繍の色はあえて黄色にするのも素敵かもしれませんね。パッチの形は、こんな形どうでしょう?それと、靴の内側のこの部分が破れているので、よかったら一緒に修理しますよ。」と提案を続ける。
修理の世界っておもしろいと思った。僕の靴はDr.Martensのものだったので、刺繍の色は、あえてその黄色に合わせてパッチを目立たせてみることにした。パッチの形は店員さんにお任せして、内側の傷んだ部分も修理してもらって、ついでに靴も磨いてもらった。
全部で5000円くらいになった。安い靴であれば、一足買えるくらいの値段なのかもしれないけれど、全然高くないと思った。
修理することは、「勿体無い」という感覚や、新品を買う感覚とは違った充実感があった。履き込んだ分だけの愛着だったり、時間の経過だったり、靴の持つらしさだったりを、とても新鮮に感じる体験だった。
長く履き続けていくうちに、自分らしい靴になっていく感覚があるけれど、他の人から見ると、それは単に「古い靴」なのかもしれない。その意味で、この靴の修理にかけるお金は、それを履いている人だから価値のあるものになりえるし、お金には変えられない価値や魅力を感じるのだと思う。
靴に限らず、修理しながら長く1つの物を使うこともっと大切にしてみたいと思った。