流通事件簿VOL8 ロピア2社買収の真意

ロピアがスーパーバリュー等々力店に続いて、同府中新町店も、3社の店名を入れたスタイルに改装、再スタートを切った。11月20日に改装オープンしたスーパーバリュー府中新町店を見る限り、「アキダイ」と「ロピア」の色は感じるが、スーパーバリューは消えてしまっている。
逆にいえば、肉のロピア、青果のアキダイという強力な部門がスーパーバリューには、こうなることは、ロピアには見えていたと思われる。
要するに、ロピアがスーパーバリュー、アキダイと相次いで買収したが、その狙いは違っていたのだ。スーパーバリューは、ロピアにとって、とにかくその「場所」が欲しかったのだ。
スーパーバリューは、最近は食品スーパーストアでの出店も多かったが、当初はスーパーマーケットとホームセンターのコンビネーションストアで、売場スペースは十分ある。そのスペースで、ロピアが構築した劇場型食品スーパーストアの展開数を増やしたかったのだ。島忠、ヨドバシカメラなどこれまでコとしてきたしてきたチェーンの店舗も無尽蔵にあるわけではない。少なくとも、首都圏での地盤を強化するためには、スーパーバリューは、うってつけのチェーンだったのだ。
また、スーパーバリューは元をたどれば、関西スーパーマーケットの創業社長であった北野が、関東進出を目論んで出店を始めたチェーンである.その意味では関西スーパーマーケットを買収して、関西進出を目指したオーケーのライバルであるロピアが、関西スーパーの曰くのあるチェーンを買収したのは、何か因果を感じる。

プレイヤーとしての期待が大きいアキダイ

それに対して、アキダイ買収はロピアにとって全く意味が違う。もともと両社、高円寺店のように、青果をアキダイが運営するなど関係が深かった。そうした関係もありつつ、ロピアからアキダイに買収の話しがあった時、この先、アキダイが残るためには、一定以上の規模も必要になると秋葉社長は思ったということだ。
青果市場からの仕入れにしろ、生産者からの直接仕入れにしろ、これからは圧倒的な販売力が必要になる。そして、それを実現するためには、アキダイだけでは無理賀あると判断したのだ。
一方、ロピアにとってもアキダイのブランド力は、大きな魅力だった。年間300回もテレビの取材が入り、名前と顔が売れている秋葉社長の存在は、青果業界にとっては非常に大きい。最近のように天候不順が多くなると、テレビ局は秋葉社長の見解を得ようとする。社内に青果のエキスパートを抱え込むことなど、普通はあり得ないが、それが新生ロピアでは可能なのだ。
したがって、スーパーバリュー府中新町店の改装にあたっても、アキダイを前面に出し、価格訴求をしながら、来店客にアピールし、店舗全体の活性化につなげていた。


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