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次女誕生、本能に従うお産

2024年10月、次女が生まれました。
一人目の長女は予定帝王切開で誕生しました。多くの産院では、一度帝王切開すると、その次のお産も帝王切開となるケースが多いと思いますが、経膣分娩に臨み、無事に出産することができました。

帝王切開した人が経膣分娩に臨むことをTOLACといいます。長女を出産した病院がTOLAC可能な病院で、長女を帝王切開で産むことが決まった時から、次のお産はTOLACしたいと思っていました。

いざ、第二子を妊娠しTOLAC希望と妊婦健診で伝えると、さまざまな条件があることがわかりました。

促進剤は使えない

逆子でないこと、順調に成長することなど胎児が正常であるという条件
妊娠糖尿病や肥満でないことなど母体が正常であるという条件
そして39週から40週の間に陣痛が発来して正常に産めるという条件
さらに出産にあたっては、陣痛促進剤は使用しない、麻酔も使用しないといったルールがありました。
つまり、極めて自然に、出産にこぎつけなければ、再び帝王切開になるということ。

30週で逆子に

そんな条件つきの挑戦にドキドキしながら妊婦生活を送っている中、30週で逆子になっていることが判明。「このまま逆子が治らなければ、帝王切開ですね」と妊婦健診で言われ、緊張が走りました。それでも最初のうちは、「そのうち自然に戻るだろう」と思っていたのですが、35週あたりになっても逆子のままなので、日に日に不安が募ってきました。
妊婦健診で助産師さんに薦められ、鍼灸に通ってみたり、逆子体操をしたり、毎日5km以上歩くなどした結果、なんとか逆子がなおりました。

促進剤が使えないということは

逆子が治ってホッとしたのも束の間。臨月が近づくにつれ、ちゃんと陣痛がくるのか不安になってきました。身近なママに、なかなか陣痛が来ず促進剤を使って産んだ方がいたので、陣痛が来なかった場合に打つ手がないというのは不安に思えました。

なんとか自然に陣痛が来て、無事に産むにはどうしたらいいのか。
「安産」とキーワード検索して出てくる本を片っ端から読み漁っていると、「笑うお産」という本に出会いました。いはく、「安産の条件のひとつは、お母さんの覚悟が決まり、心の準備ができていること」とありました。
エピソードとして、なかなかお産が進まないケースで、お母さんが「よし、もう産まれておいで!産むぞ!」と心を決めた途端、おさんが進んだことなどが書かれていました。

さらに安産について追い求めていると、ヒプノバーシングというメソッドを提唱している方に出会いました。ここで目から鱗だったこと
お産は痛い、陣痛は痛い、というのは幻想かもしれない。むしろ、お産は気持ちいいもの、楽しいもの、幸せそのものと感じることができるのだ、ということ。そのためには、お母さんのマインドセットが大切であるということ。
ここでも、「お母さんの気持ち」が重要な要素であると。

気の持ちよう、という言葉はあるにせよ、命懸けの大仕事が「気の持ちよう」で180度変わりうるという。うまくいけばラッキーだ、という考えで、ヒプノバーシングについて学ぶ1ヶ月間の講座を受けました。

講座で学んだ呼吸法や出産のメカニズムなど、知らなかったことが多くあり、今までぼんやりとしかイメージできてなかった出産が、急に具体的になりました。
単に「無事に産みたいです、赤ちゃんが元気ならなんでもいいです」くらいのバースプランが、
「自然な陣痛を迎え、その時は痛みとして感じるのではなく赤ちゃんの生まれてこようとするエネルギーとして感じたい」
「湯船でリラックスしながらお産を進めたい」
「赤ちゃんが生まれてくるのを私の身体で感じていたい」
「落ち着いて、叫んだり力んだりすることなく誕生の瞬間を味わいたい」
「そばには長女もいてほしい」
そんな希望がどんどん溢れてきました。出産についての希望が、具体的に言葉にできること。これもお産を前向きに捉えて覚悟を決めるには大切なことに思われました。

いよいよ出産

39週に入り、前駆陣痛が続く日々。いつか本陣痛になると信じつつも、1週間、2週間と続くと不安になってきました。
39週の健診で子宮口はまだ開いてないと言われ、少し焦り。ちょうど夫が半月ほど海外出張に行っていたため、「なんで大変な時にいないんだよ・・・」と不貞腐れていました。
39週も後半。長女の保育園の送迎中も歩けなくなるくらい、しんどくなっていましたが、波の間隔はまだまだ10分以上。
前駆陣痛が来るたび、バランスボールに寄りかかったり、講座で学んだ体勢と呼吸を実践して過ごしていました。
そんな日々も3週間になり、流石に体力的に疲れてきました。義母に保育園お迎えと夕飯を頼んだ日。一緒に夕飯を食べながらバランスボールに乗っかり「ふー」と息を吐いている私を見て「本当の陣痛はこんなものじゃないわよ」と言われ、やっぱりまだなんだ・・・と思っていました。

くよくよしてても仕方ない。池川明先生の著書「笑うお産」にあったエピソードを思い出し、リラックスしようと思い立ちます。「湯船でリラックスして産みたい」と思っていたので、前駆陣痛を感じながらお風呂に1時間くらい浸かっていました。強い波が子宮に来て、それは赤ちゃんのエネルギーだと感じました。深く深く息をして、お腹を大きく膨らませていくと、吐くタイミングを赤ちゃんが教えてくれる気がしました。とても神秘的な体験で、きっと変な人と思われると思いますが、妊娠〜出産においては神秘的なことが本当に起きるものなんですね。
波も落ち着いてきたので、布団で眠りにつきました。

翌朝。強いいきみ感に起こされた朝6時。急いで産院に電話し、陣痛タクシーを呼び、産院について15分。7時21分に次女がスルッと生まれました。
夫に代わって父が泊まっていてくれたので助かりました。寝起きの3歳娘もタクシーに乗せてくれ、父と娘に見守られながら出産。分娩台の上では、思いの外落ち着けて、深い呼吸を繰り返しくりかえし、、生まれました。

この出産でのおぼえがき

私にとって、かけがえのない体験となった次女誕生とそれまでの10ヶ月。
女性の体は、出産に最適なように完璧にデザインされていることを体感しました。ただ、その設計通りに身体が機能するかは、「気持ち次第」なところも多分にある。
怖い怖いと思っていては、身体も縮こまり、硬くなり、刺激を痛みとして感じやすくなる一方、覚悟を持ちリラックスして堂々としていれば、痛みとしてではなく赤ちゃんが出てくるエネルギーとして感じ、それを受けてモルヒネの200倍と言われる鎮痛作用と快楽効果のあるホルモン「エンドルフィン」が出て「もう最高!」な状態になる。

陣痛促進剤や麻酔が使えないと怯えていた頃の私に言いたい。
医療的な手法に頼らずとも、自分と赤ちゃんの力で出産するためにやれることはたくさんあるよ。しっかり準備して、気持ちと身体を整えていけば、最幸なお産を経験できるよ。だから頑張って!

むすび

長女は、妊娠が分かったと同時に帝王切開と決まるような状態でした。
医療介入だらけの妊娠・出産。コロナ禍ど真ん中でストレスMAXな出産だったとも言えます。そんな中でも無事に生まれてくれて、元気一杯な3歳に育ってくれていることに感謝しています。医療の力がなければ、生まれてこれなかったかもしれない、そう思います。一方で、母子になんの問題もなければ、促進剤や麻酔といった医療的介入がなくても、超安産ができることも体験しました。どんなお産も素晴らしい。できれば、一人でも多くのお母さんが、自慢したくなるくらい幸せなお産を体験してほしい。それが、誰かの「産みたい」につながると思います。



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