アンパンマンおまるのマーケティング戦略がすごい
今週は、この度娘のために購入を検討していた「おまる
(注:幼児の排泄を受ける用具。1歳前後で導入し、おもに大人用便座の使用に向けた練習として活用される)」
を買った話をお送りします。
ことのはじまり
娘が1歳と半年をすぎ、ひとり立ち、ひとり歩きが上達し、自分の意思で動き、言葉を使うようになってきたこと、排泄感覚を言語化できるようになったことを契機に、おまるの導入を検討。
さて、WEBサイトで調べて「リッチェル ポッティス イス型おまるK ホワイト」が良さそう!と思ったものの、お値段もそこそこするので、体格が小さめの娘でも使用可能か確かめるため、赤ちゃん本舗に往訪。
おまるコーナーをみつけ、た、その瞬間。
「アンパン!
(注:娘はアンパンマンをこう呼ぶ)」
と叫び指さす先には、アンパンマンのおまるが!!
では、なぜこれを買ったのか?
そこには、緻密なマーケティング戦略があったと言わざるを得ない。
アンパンマンおまるを買う仕掛け①
商品サンプルの設置
この日、リッチェル ポッティス イス型おまるK ホワイトを試したかった私だが、そもそも衛生用品である当該商品は、商品の箱を開けて試させてもらえるようなものではなかった。
代わりに、アンパンマンおまるだけは、「使ってみてね!」といわんばかりに商品サンプルが設置され、娘もこれをみつけて手に取りたがった。
リッツェルおまるを試したかったのに、触れることすらできなかった私の敗北のはじまり。
サンプルがあることで、まず目を惹き、実際に使い勝手を試したいというニーズを満たす。
アンパンマンおまるなんて全く検討していなかったのに、急に検討の俎上に上がってくるかんじ。すごい。
アンパンマンおまるを買う仕掛け②
競合商品の陳列不足
アンパンマンおまるにまたがって、意気揚々とトイレごっこを楽しむ娘が眩しかったが、それでも、リビングに鎮座する当該用具のデザイン性は慎重に吟味しなければならない。
しかし、おまるコーナーにはアンパンマンおまる以外のおまるは陳列されておらず、値札だけが掛かっていた。これが意図的な戦略なのか、たまたまなのかは不明。
とりあえず、アンパンマンおまるのフェイス占有率はダントツに高かった。
店員さんにお願いし、リッチェル ポッティス イス型おまるK ホワイトを持ってきてもらう。
と、ここで、衛生用品のため、箱を開けて中身を出すことはできないと告げられる。
なるほど、実際に娘の体格に合うか確かめたかったのだが、店頭でもなお、試すことはできないとわかった。
どうしようかと考えている間も、
「アンパン!ちっちー」
などと言いながら、アンパンマンおまるサンプルを使いこなしている娘。
体格的にも問題ないことが証明済みで、娘も気に入っている…
私の心が「シンプルなデザイン」よりも「娘の使い勝手」に舵を切った瞬間だった。
試せないのなら、デザインが良さそうでも、使えないリスクを考えなければならない。そんなの面倒だ、という思考がめぐる。
アンパンマンおまるを買う仕掛け③
期間限定キャンペーン
この日、なぜかアンパンマンキャンペーンなるものが展開されており、対象商品を購入すると、アンパンマンのグッズが貰えるという販促企画であった。
アンパンマンは別に嫌いではないけれど、なんとなく家がアンパンマンだらけになることに怯えていた私。
そんな私も、アンパンマンおまるの上で愛と勇気をりんりんらんらんする娘を見て、もうこの際、アンパンマンおまるとアンパンマンプレゼントを家に持ち帰ってもいいのでは、と思った。(久しぶりのおでかけで脳が疲弊していたのもある。)
而して、我々家族はアンパンマンおまるを購入した。
ちなみに、おまるコーナーは店舗の最も奥にあり(これをエンド陳列という)、そこからレジに行くまでの回遊で約5000円分の商品を購入。
エンドで惹きつけて、非計画購買を促すという陳列戦略に従った、大変優秀優良な消費者となりました。
おわりに
今回、マーケティング視点でおもしろいと思ったこと。それは、Webでの認知・検索行動フェーズでは、(私の中では)リッツェルおまるが圧倒的優位で比較対象もないほど指名買いしていたのに、いざ店舗にいくと、あっけなくアンパンマンおまるを購入してしまったこと。
店頭での商品陳列と販促の強さを思い知った感がある。
いくら口コミを充実させようが、Instagramでもてはやらせようが、店頭になければ購入されない。WEBでそのまま買ってくれる人も多いと思うが、子供用品って実物を見たい人は多いんじゃないかな(推測)。