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本当に流行っているのか?

 2023年度の「ユーキャン新語・流行語大賞」の年間大賞に、阪神タイガース・岡田彰布監督の「アレ(A.R.E)」が選ばれたそうだ。

 たしかに、岡田監督が選手にプレッシャーを与えないようにと、あえて優勝という言葉を口にせずに「アレ」と表現したということについては、何度かニュースで耳にしている。

 しかし、これが2023年を代表する言葉なのかというと、いささか首を傾げたくなる。

 けっして私一人の意見ではない。知人で熱狂的な阪神ファンであるA氏も同じ意見で、優勝を喜びつつも、
「さすがに、『アレ』が大賞はない。ミエセスのMVPぐらいない」
 と言っていた。


 聞くところによると、プロ野球関連の言葉が大賞をとるのは、この10年間で5回目になるのだそうだ。

2015年「トリプルスリー」
2016年「神ってる」
2021年「リアル二刀流/ショータイム」
2022年「村神様」
2023年「アレ(A.R.E)」

 これらのなかで大多数の人が納得できそうなのは、2021年の「リアル二刀流/ショータイム」ぐらいではないかと思う。

 しかし、それでも2013年の「倍返し」などに比べると弱い。

 2016年の「神ってる」に至っては、
「流行ってる?」
 と聞き返したくなるほどだ。

 これだけプロ野球関連の言葉が優遇されるのには、やはり理由があるのだろう。審査員の中にプロ野球を題材にした漫画で有名なY氏がいることも、その一因なのかもしれない。


 かつての流行語は、そのほとんどがテレビから生まれた。しかし、日本人の生活様式の変化やパソコン・スマホの普及などに伴い、発信源や情報源としてのテレビの地位は下落し続けている。

 そもそも、これだけ価値観が多様化している時代に、国民共通の「流行語大賞」を決めようとすること自体に無理があるように思われる。

 まあ、どうしてもやりたいのであれば、審査員のY氏が大好きなプロ野球の沢村賞に倣って、「該当者(語)なし」という年があってもいいのではないだろうか。

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