二代目社長が会社を潰す理由
先代が優秀過ぎる会社は、何故か2代目になると経営不振や潰れる事が多いです。
私は、2代目になり潰れた家族経営の会社に複数社勤めた事がある負の経験から
後継者が育たず潰れる明確な理由をまとめてみました。
まずこの問題には大きく分けて
【先代の問題】と【後継者の問題】があります。
■先代の問題
●先代の優秀さが『人柄』を起因としている
2代目になったら潰れてしまう企業の先代は
社員から「この人の為に頑張りたい」「辞めたらこの人が悲しむから頑張ろう」と思われていた人が多いです
物凄く雑な言い方をすれば「良い人」なのです。
善良であるから、他者から信頼され、愛される
当たり前といえば当たり前で
「それって凄いのか?」と思われてしまいそうですが
会社が大きくなってもその性格を保ち続けるのは意外と難しいです。
そして「これをすれば良い人」という明確な基準が存在しないので
教え伝える事が出来ません。
なので先代の優秀さの1番重要な要素なのに
『人柄』を継承するのは不可能なのです。
●先代の優れた能力が目に見えない部分である
優秀な経営者というのは絶対に人より優れた能力を持っているはずですが、それは目に見えない事が多いです。
例えばアイドル事務所の経営に例えると
仮に先代の能力が【ダンスを教えるのが上手い】だとすると
勿論メリットですが、その能力は有限です。
会社の社長が経営もしながら、高いダンスのスキルを維持し続けるのは難しいです。
いずれ現状維持からの加齢による緩やかな衰退の末路しかありません。
それならば、若くて最新のダンスが踊れる人を外注し続けた方が、アイドル達のダンススキルの高さ
外注出来る部分が秀でていても、何の意味もないのです。
○
それならば経営者の優秀さは目に見えなかったり、形に残らない部分が優れて居た方が得です。
では、経営者の能力が【外注のダンスの先生を話術で盛り上げ、所属アイドルにその人が持ってる技術の全てを教えて貰うようにする事】ならどうでしょう?
それは経営者本人がダンスが上手いよりももっと重要で、無限の効力があります。
優秀な人の優秀さは形がなく、目に見えず、継承しずらい
むしろそうでなければ、真に優秀ではないという事です。
●良い経営者は育成が下手な場合が多い
前記したものを全て兼ね備えている理想の経営者像は
・お人好し
・愛想がいい
・おだて上手
になる訳ですが。一般的にこの要素を持つ人間は
「舐められやすい」です。
勿論、相手が優秀な経営者と同レベルで優秀な人であれば、舐められる事はありませんが
後継者が親族だったり、経営の成功事例のない人物の場合
先代の優秀さに気付く事が出来ていないのです。
凄さが伝わらず、舐められた結果
後継者が育たないのです。
■後継者の問題
●後継者の誤認
これもアイドル事務所の経営に例えると
売れない、デビューもしない人材に
ご飯奢ってあげたりするのは無駄金です。
でも、100人に奢った中から1人でも売れる人が出れば儲けに転じますが
後継者など外から見ている人はその「無駄」の部分を排除するのが賢いと考えてしまいがちです。
何故なら、根本的に人は皆「他人が気付かない事に気付きたい」という願望があります。
そこで、優秀な先代が無駄と気付かなかった(正確には無駄と思っていなかった)部分に気付ける自分は物凄く優秀だ!となり
【自分は先代より優秀だ!】という思い込みに繋がるのです。
●後継者の承認欲求が満たされなくなる
自分を優秀だと思い込んだケチな経営者が辿る道は、どの職業もほぼ同じです。
愛されない→褒められない→褒めて欲しくて権力誇示をする様になる→益々愛されない
この負のスパイラルに陥ります。
経営が悪化したり、社員が辞めたりが続くと
当然後継者は自信を失い始めます。
●後継者の承認欲求の満たし方
自信を失い、経営が上手くいかない経営者の8割は、事業を拡大します。
矛盾した行動と思えますが
実は承認欲求を満たすには理にかなっていて
新しい店舗を出店すると、そこの地域の人や工事関係者など外注する企業の人からは丁重に扱って貰えるのです。
要は承認欲求を満たすための超高額なキャバクラです。
そうなると売り上げなど関係なく、誰かから経営に文句を言われ、自尊心を傷付けられる度に新店舗を出すモンスターが誕生するのです。
●シンプルな経営不振
【承認欲求満たし事業拡大モンスター】が爆誕すると、もう崩壊までのカウントダウンです。
・売り上げがないのに事業拡大する
・人手が必要なので忙しくなる
・でも金はないので従業員はサービス残業
・給料未払いなどが発生し始める
・従業員の気力の低下
・売り上げも下がる
・優秀な人が辞める
・経営者株主などから怒られる
・そのストレス発散にまた事業拡大
このループが始まります。
そうなると頭が良く、意欲があり、能力が高い人はさっさと辞めます。
残るのは「会社潰れたら暫く失業手当でニートして過ごそっかな」と考えて居るやる気の無い人だけになります。
この段階に入ると本格的に立て直しは不可能になります。
ここで倒産すればまだマシですが、最悪の場合借金をするようになったり
承認欲求が満たされないストレスの発散をマルチ商法団体や宗教などに向け始めます。
ここまで来ると、会社としては機能しなくなり
下手をすると犯罪に関わったりするので
最悪の形で会社は終わります。
■まとめ
先代の優秀さを正しく理解している人物を後継者にする事が何より大切です。
個人的な意見だと、血縁者の凄さというのは特に気付き難いので
大抵の血縁者の2代目社長は会社を衰退させるのだと思って居ます。
「先代の何がどう優秀なのか」のレポート提出出来るくらい理解していないと後継する事は不可能です。
この noteを読んでくれてる人の中に次期社長を選別する立場の人はそんなに居ないと思いますが
「何故」後継者は大抵駄目なのかを理解する事で
ブラック企業を選んでしまったり、ヤバさに気付くのが遅れて離職のタイミングを逃したりしないよう
お役に立てば幸いです。