ARM Macの噂を答え合わせ
新型MacBook Proが急に発表されたので、「Apple Watchの打倒のしかた」シリーズをお休みして、WWDC18以前に出ていた「ARM Mac」の噂を答え合わせ(総括)しておくことにします。
ARM Macの噂が出回った当時、仲間といろいろ真剣に検討しました。ただ、MacのCPUがIntelからARMに移行することについては、メリットが感じられませんでした。パワーダウン、Windowsエミュレーション速度の低下、Windowsブート機能の喪失など、デメリットばかり。
では、ARM Macの噂はウソだったのでしょうか?
総合的に判断すると、ある意味では本当だったといえますし、ある意味ではウソだったといえます。以下でわかりやすく説明してみましょう。
たしかにARM系チップは搭載されたけど
新型MacBook Proには、メインのIntel CPUのほかに「セキュリティチップ」としてApple T2チップが搭載されました。
このT2チップはIntel CPUの負荷軽減を行うべく、「オーディオシステムやディスクドライブから、トーンマッピングやFaceTimeの顔検出、セキュアブートとストレージのオンザフライ暗号化への対応、Hey Siriへの対応」などを受け持つ、ARM系プロセッサです。すでに、iMac Proに搭載実績があります。
つまり、コ・プロセッサ(副プロセッサ)としてARM系のチップ(T2)を搭載したという話であって、メインCPUにIntelのかわりにARM系のチップを搭載したという話ではありませんでした。さらにいえば、2016年モデルのMacBook Pro(Touch Bar搭載モデル)からすでにコ・プロセッサとしてARM系のT1チップ(指紋センサー処理、Touch Bar処理用)が搭載されていたので、今回T2を搭載したからといってARM Macだと騒ぐのはおかしな話です。
MacにARM系のチップは搭載したけれども、それはメインCPUとしてではなかったし前例もあったよ、というのが今回の「ARM Mac」の噂の真相であると考えます。
このARM Macの噂で得をしたのは誰でしょうか?
(1)たいして宣伝費もかけずにMacへの注目を集めたApple
(2)根も葉もない噂を掲載してはアクセス数を稼いだオンライン・メディア
およそこの2つが得をしたものと考えられます。
根拠はありませんが、(1)から(2)に情報がリークされたと見るのが妥当なところでしょう。
不思議なAppleのGPU選定
今回の新MacBook Proを見て思うことは、「ついにメモリーの最大容量が32GBになったか」ということと、Apple製品のGPUがAMD製品のままだということです。nVidiaのGPUを搭載したほうがうれしい人は多いと思うのですが、それはeGPU(外部PCIボックスによる外部GPU増設)で、ということなのでしょうか。
コストパフォーマンスにより選択されているのか、それとも2012年ごろにnVidiaがモバイル系GPUで起こした製品のミスが響いているのか、理由についてはわかりません。nVidiaとAMDで定期的に切り替えてきた過去を振り返ってもこの「AMDオンリー」な状況は不思議です。
コストパフォーマンスがよいとか、AMD製品の方が発熱量が少ないとか、ビデオ処理ではAMDに分がある、といった話もあるため、小さな筐体が多く、Final Cut Proなどビデオ処理を重視しているMacではAMD製品を採用した方がメリットが大きいということなのかもしれません。
ただ、実際にeGPU製品を持っていないので、あくまで憶測です。根拠は何もありません。
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