自分用の自作アイデアプロセッサ
アイデア・プロセッサのアプリは、いろいろ使って試してきました。大昔のActa、Inspirationからはじまって、アウトライン・プロセッサとか、マインド・マップとか、だいたい試してきました。でも、どれもこれも合わなかったんですね。
アウトライン・プロセッサが合わない
アウトライン・プロセッサは、アイデアを箇条書きにしてまとめるものです。階層構造をとることができ、論文や雑誌原稿など章構成がある長めの文章の概要を書き出して検討するような使い方をするものです。ToDoリストの用途にも使っており、仕事上やる必要のある項目のリストアップも行なっていました。
Acta、Omni Outlinerなど、Mac上のアプリをかなり昔から使ってきたのですが、使い込めば使い込むほどに、その弱点を意識させられました。
アウトライン・プロセッサの弱点というのは、あとから思いついた重要な項目が、画面の下の方といいますか、注目度が低いところに存在してしまうことだと思っています。最初から重要なアイデアを思いつくことはないはずなので、いろいろ検討した末に、知恵をしぼって最後の最後に「これだ!」という内容が出てくるはずです(たぶん)。
それなのに、一番目につかないところとか、奥の方に存在してしまっている。
もちろん、項目の入れ替えを行なって重要なものは冒頭に持ってくることはできるのですが、それだと階層を作って表現している「論理構造」を無視したものになってしまい、それはそれで不都合があります。
あとは、重要なことがキーワード検索しないと表に出てこなかったり、見落としてしまったりして、「折りたたんでしまっておくとダメなのでは?」と感じるようになりました。年寄りがExcelの表でないと分からない、と文句を言うので結局「表」で提出させられたりして。
マインド・マップが合わない
マインド・マップと言われるアプリ、冒頭に出てきたInspirationとかMindjet MindManagerとか、いろいろさわってきましたが、アイデアを書き溜めると膨大に書き込んでしまって、後から見る気が起こらないという事態が発生しました。
頭の中の内容を書類上にぶちまけるのはいいのですが、他人にそのまま見せても理解してもらえません。結局、「表にしろ」だとか「文章で説明しろ」とか、「プレゼン資料にまとめろ」と言われる始末。
マインド・マップが合わないというよりも、相性がよすぎて他人への説明に苦労するといったほうがよいのでしょうか。
なんにせよ、アイデアを練る・まとめる段階で、ある程度他人への説明を意識したまとめ方をする必要性を感じていました。階層を掘ってデータが「見えなくなる」と、脳みそに負荷がかからなくてよいのですが、掘り返すのにストレスを感じてしまいました。
自分で作るしかない?
そんなこんなで、世の中のアイデア・プロセッサ系のアプリが「合わない」と感じていたので、もう自分で作ってしまいました。
6角形のカラフルな付箋をはりつけて、色を指定して短いテキストを書き込み、階層構造のないフィールド上でならべて関係性を表現するアイデアプロセッサ「Kamenoko」です。
開発前にiPadとMacで完成イメージの画像を実際に表示させてみて、使い勝手を調べてみたのですが、iPadだと画面が狭すぎて使い物になりませんでした。24インチ以上のモニタをつなげて使うのに適しているようです(MacBookでもいいんですが)。
だいたい50分ぐらいの打ち合わせで作り込む程度の内容をターゲットにして、アイデアをまとめたり、議論をまとめたりすることを目的としています。
階層構造を「入れ子構造」ではなく色のグラデーションで表現し、長文を書き込めないことで読みやすくなる……のではないか、と考えて作ってみたものです。
マインドマップ系の線でつないだノード間の関連性は、あれはあれでいいのですが、階層でつながった関係性を表現できつつも、もっと無造作にゆるくつながった関係性(未整理状態のもの)を表現することはできません。このあたりに、ブレーンストーミングで使うときの「不自由さ」も感じていました。
これは、すごいものができた! と思ったものの、なかなか自分以外で活用してアイデアをまとめています、という例を見かけないので「自分専用」なのかと感じています。
とりあえず、「あのコン」のまとめを番組の内容を聞きながらその場でまとめてX(Twitter)のタイムラインに投稿してみたりして、実戦で使えることを示しつつ他の人たちがどのように感じるかを調査しています。
ちなみにこのKamenoko、ほぼ100%をAppleScriptで記述してあります。PNG画像に書類データをデジタル透かしで埋め込む処理のみObjective-Cで書かれたものを流用しているだけです。