ジャニー喜多川の「ジャニー」が禁句になって発生したこと
【注意】
この記事では、生前にジャニー喜多川が行った性加害疑惑の真偽・是非について取り扱うものではない。それらの問題の追及・議論は現行タレントのファンではなくあくまでも補償側のSMILE-UP.社と補償される側の被害者団体によってなされるべきだと考えている。あくまでも、「ジャニー」という名前を今後一切使用しないと記者会見で東山社長が表明したことにより発生した「現象」についてのみを解説するため、ご了承いただきたい。
電子チケットアプリが封印された
実は、ジャニー喜多川の「ジャニー」が封印されてスタヲタ(ex.ジャニヲタの意。あまり使っている人はいないが、便宜上そう呼称する)が最も喜んでいるのはこの点だろう。
以前私のnoteでも少し書いたことがあるが、旧ジャニーズ事務所は2022年になぜか迷走し、「Johnny's Ticket」と「Johnny's Pocket」という全然別の2つのチケットアプリを同時期にリリースした。なんで?
オタクの間で悪名高かったのは主に前者で、Twitterで「クソアプリ」でパブサをすると前者に対する罵詈雑言を観測することができ、App Storeでは低評価をつけられまくる始末。
「Johnny's Ticket」は申込み段階から端末とFC情報を紐付けし、当選した場合は当日会場近くでチェックインして座席情報を端末に受信するという代物なのだが、電波状況などによるトラブルが多発してレビューに書き込まれている数々の罵倒のような炎上が発生。
そもそも旧ジャニーズ事務所は致命的に電子チケット関連の運用が下手くそで、現在主に利用されている「デジタルチケット」(ブラウザ上に表示されるQRコードを入口端末で読み取り、紙の座席レシートを発券する入場方式)導入の際にも大トラブルを起こし、なんと社内で自殺者まで出している。
比較的最近まで郵便局で振込用紙を手書きしてチケットを申し込ませていたような会社なので、デジタル運用がことごとく苦手なのはとっくにわかっていた話なのだが、冷静にこうして書き出してみるとけっこうひどい。
なぜ2022年のほぼ同時期に全く別の2種類の電子チケットアプリがリリースされていたのかは未だに謎なのだが、実は「Johnny's Pocket」のほうが比較的マシで、こちらはファン間での譲渡(端末間でのチケット移動)が自由にできるものの、チケットに付与されているブロックチェーン情報を追尾することができるというシステム。こっちの方が転売(=不審なチケット譲渡)を繰り返している可能性のあるアカウントをシステム側で追跡できるため、なんだかよさそうな気もする。「Pocket」は同じ端末になぜか6枚のチケットが付与されるバグなどは報告されていたものの、「Ticket」(通称クソアプリ)よりもトラブル報告は少なかった。
しかしその後、「Pocket」の方はなぜか殆ど存在を顧みられることがなく、「Ticket」の方がジュニア公演では多く使用され、オタクから大不評を買っていた。
その風向きが変わったのが昨年の東山社長の「ジャニーという名前を今後一切使用しない」会見。よくよく考えてみれば、「Ticket」にも「Pocket」にもそれなりにお金をかけているだろうし、ちょっと改修をしてアプリ内から「ジャニー」の文字を削除すればいい気がするのだが、なんと事務所は会見以降、双方のアプリを一切使用せずブラウザ上のQRコード表示方式しか使っていない。
担当者が面倒くさくなってしまったのだろうか? それとも事務所内のゴタゴタがすごくてチケットアプリどころではないのだろうか? 真相は不明だが、トラブルだらけの「クソアプリ」から解放されたことで確実にオタクは喜んでいる。風が吹けば桶屋が儲かる、ジャニーという単語が禁句になればクソアプリが封印される……。
一部のグループ名が変更された
ご存知、「関ジャニ∞」も「ジャニーズWEST」もそれぞれ改名。実は双方の改名はそれなりにオタクの間ではもう浸透しており(両グループともに「EIGHT」も「WEST」も残したため通称が変わらないのもあるが)それなりに違和感なく受け入れられているように感じる。
だが、結局「どこまでやるのか問題」みたいなところはあり、「ジャニー」という単語を消しただけでは実は「ジャニーの思い入れ度が深そうなグループ名」は変わらないという、スタヲタだけがわかる本末転倒感というのはあったりする。
たとえばジュニアグループの「HiHi Jets」はもともと「HiHi Jet」という名前だったのだが、明言されているかは不明なものの生前にジャニー喜多川の大好きだったウエスト・サイド・ストーリーの「ジェット団」からの引用である。ジャニー喜多川はかなりグループ名命名への思い入れにムラがあり、「7 MEN 侍」は黒澤明の「七人の侍」が元ネタになっていたりするのだが、七人の侍の劇中では七人中四人は死ぬので全然縁起でもなかったりする。
また、Hey! Say! JUMPは冒頭に盛大な「J! ジャニーズ!」という掛け声のあるデビュー曲「Ultra Music Power」の封印を公式に発表。本人たちがよく考えた末の封印宣言ということなので仕方ない感じもするが……。
NHKへの所属タレントの出演が事実上無くなった
テレビだけではなくラジオも同様で、「らじらー!」なども旧ジャニーズ出演枠は終了。
その是非を問いたいわけではなく、ちょっと面白かったこととして、「ザ少年倶楽部」というBSで放送されているジュニアをメインにした公開収録歌番組があるのだが、2024年1月から改編されて「ニュージェネ!」という番組に変更。既存のセットをそのまま使い、他の事務所の男性アイドルや、女性アイドル、果ては女性声優グループまでも出演させていたため、観覧がかなりカオスのごった煮の様相を呈しており、私が行った観覧では
・高嶺のなでしこ
・MyGo!!(バンドリの)
・GANG PARADE
・パンダドラゴン
・THE SUPER FRUITS(通称チグハグ)
・≠ME
・7 MEN 侍
・美 少年
これらが一日で出てくるという、もはやNHKホールを貸し切った対バン状態。いろんなジャンルに興味のある私のようなオタクとしては、「今野大輝と藤井直樹と青木陽菜と櫻井ももが次々に出てくる!!大変だ!!」と非常に面白く見られたのだが、スタヲタの間には「スタエン所属タレント以外ほんまに興味ないわ」という層も一定数存在しており、また既存のジュニア向け番組を改編させられたという恨みも相まってか、初回収録ではジュニアの出番が終わると退場する者が続出。私が申し込んだ際には、申込資格に「出演する全てのグループを、最後まで元気よく盛り上げていただける方」(原文ママ)の文字が躍っていた。
ちなみに、そんな珍番組「ニュージェネ!」も2024年3月に終了。珍番組の寿命、短きかな。