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日本らしさってなんだろう

会社で製品の品質に関する問題が発生し、今日は地方のホテルに宿泊している。大きな会社というものは普段は節制するよう言われているが、緊急時には金に物を言わせて、急に大盤振る舞いになったりするものだ。

ぼくは自由を愛するビジネスマンなので、誰の目も届かないという意味でも、日常と違う風景に触れることができるという意味でも「出張」という行為は好きだ。

ホテルはビジネスホテルだけど、大浴場があるところを選んだ。金額的にはそれほど差は無いが、「非日常的」というだけでなんだか少し贅沢な気がするのはぼくだけではないだろう。

大浴場には部屋のタオルやら備品を持っていくようにフロントのお兄さんが言っていたので、バスルームからタオルとひげ剃りを持っていこうとしたところ、目に入ったのがこのカードだ。

エコ。確かに環境保護はグローバルな正義である。でも海外のホテルに泊まってこの手のカードを目にしたかと問われれば、見た記憶はない。

日本らしさとか、國體(国体)というものは結局のところ、海外と比較してみないと解らない話だ。改めてこのエコガーデンカードについて考えてみると、「エコロジー」であることの他に「もったいない」という隠れた正義があるのではないだろうか。

「もったいない」と「贅沢は敵」、似て非なる言葉だ。「もったいない」は誰にでも意味が同じように通じるが、「贅沢は敵」という言葉は富裕層には耳が痛く、貧困層には正義として映る。国民総中間層と言われた時代は既に少し昔の話で、今は富裕層と貧困層の格差がぐっと開きつつある時代である。それはまるでアメリカのブラック・オア・ホワイトのような、民主党と共和党のような、白黒はっきりさせるデジタルな時代であるようにも感じられる。

日本文化の良さは、「もったいない」とか「柔よく剛を制す」とか「負けるが勝つ」とか「武士は喰わねど高楊枝」とか、二律背反する概念を俯瞰的視野から眺めるような、もっと高尚な概念を基盤としたものだったのではないだろうか。

どうでもいいことだけど、ひとっ風呂浴びた後、マッサージチェアに癒やされながらこんなことを考えていたのだった。


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鰯 十三
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