かんさい熱視線「男社会を考える」
斉藤章佳
「女性をモノ化して男同士で共有することで男たちの絆を深めるみたいな、こういうサイクルっていろんなところで起きている」
● 今、社会は少しずつ変わり始めています
2020年3月 フラワーデモ 性被害の当事者団体Spring 山本潤さん。
「性暴力が無罪になる、こんな社会はもう嫌だと、この状況を変えたいと心から思っています」
去年7月施行された改正刑法 不同意性交罪。被害に遭った人たちの声によって、同意のない性行為が犯罪になりえることが明確になりました。
法律改正の議論の場に参加した、齋藤梓さん(上智大学准教授)です。法律は変わったものの、相手との関係性の中に潜む構造に目を向けていくことが必要だと言います。
「加害者たちっていうのは、もともとの権力勾配を利用したりとか、あるいは日常的な会話の中で上下関係をつくりあげて、相手の抵抗が難しい状態にしていくことが性暴力ではよく見られる。
難しいのは、パワーって、持てば持つほど自分が持っていることに無自覚になって、知らないうちに相手に対して、相手をあまり尊重しない関わりをしてしまうことが、やっぱりあるなと」
● 無自覚な上下関係とはどんなものなのか?
10代学生・高齢男性が女性にきつくあたる
「カフェでバイトしてるんで、常連で来るおじいさんが、男の人だったら全然高圧的じゃないんですけど、私に向かってめちゃくちゃきつく言われたりとかよくあります」
30代美容師:男性が働き、女性は家にいてほしい」
「恋人と一緒に住んでる時に、僕の考え方が古いからなのか、できたら働いてほしくない。家にいてほしいというのを伝えたところ、『時代に遅れてる』とすごい言われて」
20代会社員:職場で男性が上に立つ
「準備とかこっちでやっていても、最終で相手方にプレゼン出す時は男の方が行く。最終的には男の人が上に立ってるって感じ」
● 無意識のうちに女性の上に立とうとする男性のふるまい。
(沖縄)あることをきっかけに、自分に女性を蔑視する感情に気づいた方がいます。
榎森耕助さん、時事問題を沖縄の海で叫ぶ「せやろがいおじさん」として活動するお笑い芸人です。6年前、榎森さんはある動画を投稿しました
<ワラしがみ/お笑いにしがみつきたい沖縄芸人の番組>
「女性の画像加工のこれまでの歴史!そして女性たちの自分を可愛く見せる戦術について、こちらを見て頂きたいと思います」
「この娘みてどう思いますか?めっちゃ可愛いやん!ほんでお前らみたいなもんは、会いたいなぁと思うやろがい!いいね!とかコメントとかして、距離を近づけて、実際に会うことに成功しました!そして!」
「はじめまして~(画像とは別人のような女性)」
「こっち来たらどうする? いつも女性のみなさん、楽しませてもらってありがトゥ★」
女性が画像を加工して投稿していることを伝えた動画。 投稿からしばらくすると「女性蔑視だ」と批判が殺到しました。当初、何を言われてるのかわからなかったといいます。
お笑い芸人 榎森耕助さん
「正直、女性蔑視って言われても、ミソジニー(女性嫌悪)とか言われても、『いや俺そんなつもり全然ないから』みたいな。『そもそも俺ミソジニーって言葉すら知らんし』みたにな感じだったんで、何が問題なん?くらいの気持ちでいましたね。
なんで『女はこうやんな』って角度で動画作ったんか?と思ったら、やっぱり女性をそういうふうに揶揄したり茶化したりしたら面白いという感覚が自分の中にあったな、と。それが女性蔑視って言われたら、そうやなって思ったんですよ」
これをきっかけに榎森さんは、性被害に遭った女性に会ったり、イベントで女性と議論したりしました。
「自分がその世の中にあるおかしな社会構造に加担してる側やったんやなって気づくタイミングが結構あったんですよね。やっぱり声上げた人に耳を傾けて味方して、声を大きくする人が絶対必要だと思うので、それはマジョリティ側(多数派)がやらなきゃいけないことだと思いますよね」
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