GP2023-1st前のオリジナル環境について
まえがき
GPも直前ということで、今回は新殿堂後のオリジナル環境の各デッキについて考察していく。
まずは例によってCSでの入賞数。
ここに記載されたデッキを、実際に入賞していたリストなどをサンプルにして紹介する。
デッキ紹介
1.青黒サガ
殿堂で【イワシン】が1枚制限になったが、ほぼリペアに成功した”青黒サガ”。ご存じの通り、【絶望神サガ】が2枚揃って墓地が肥えているとそのままループして勝利できるデッキである。
4月に入って使用が増えているのは【コダマダンス・チャージャー】と【絶望と反魂と滅殺の決断】が投入された型。手札の枚数が減らないチャージャーと汎用性の高い除去兼蘇生札であるダークネスによってより長いゲームに適した構築になっている。
3コストチャージャー+イザナギのパッケージがフィニッシュで使われるのは言うまでもないが、単純に3tでの手打ちでマナを伸ばすことによって【敬虔なる警官】でメタを退かしつつサガでループ始動、といった動きも見据えられるため、シンプルに汎用性が高い。
無論、チャージャー+イザナギテラスの構築そのものは殿堂前から多かったのだが、どちらかといえば主流は【ボーンおどり・チャージャー】だった。
それがコダマダンスになったのは、サガ対策の無いデッキ=早期決着を狙うデッキが殆ど淘汰されてメタクリーチャーやハンデス対策をより強く意識する必要が出てきたからだと考えられる。
マナを伸ばした後でゲームのテンポを握るカードとしては【龍頭星雲人】やサガからもアクセスできる【ヴェール・バビロニア】も挙げられる。前者は【DGパルテノン】などを貼られてループに入れない時などにも強く、後者は疑似ハンデスによるテンポアドバンテージと、手札交換の補助によってよりループに入りやすくなる利点がある。
ダークネスの利点はといえば、身も蓋も無い話をすると選択肢の多さが最も強力である。除去、ハンデスは勿論、サガの蘇生もできる。アドバンテージを奪いつつサガループに移行する、という目的に沿ったカードと言えるだろう。
フィニッシュパーツとしては、【オーパーツ】を1枚採用した型も見られる。
【DOOM・ドラゲリオン】で【シャコガイル】を蘇生しつつこいつにチェンジする事で、山札を引き切って勝利することができる。殿堂入りカードであるイワシンや【キューブリック】の三枚目以降として希に採用されるカードだが、ミラーの【ザ・クロック】を警戒する場合、【Vol-Val8】を採用しない型なら一考の余地がある。
また、今までのサガループとは別の構築として、ハンデス型のサガも登場している。
【ウォズレックの審問】や【ゴースト・タッチ】などを積み、後攻からの勝ち筋を求める構築となっている。
フィニッシュがDOOM+シャコではなく【サイクルペディア】などを経由しつつの無限【ラッキーナンバー】となっていることで、サガループそのものを封じない【キャディ・ビートル】や【ダイヤモン星】などを貫通して勝つことが出来るのも利点。
従来型よりも後攻で戦いやすいが、多色が増えているためプレイ難度は上がった印象を受ける。「どちらが強い」と個人的には結論を付けることができないが、今後はどちらも目にする機会は多いだろう。
2.アナジウォッチ
現環境でのアナカラー系統のデッキの勝ち頭。【とこしえの超人】+【お清めシャラップ】で”サガループ”対策をし、【ASMラジオ】や【有象夢造】による踏み倒しを行う他のアナカラーのデッキには【ガイアッシュ】+【ジ・ウォッチ】で蓋をするという構成である。
元々は【CRYMAX ジャオウガ】とジ・ウォッチが両方入った型が多かったが、最近は【龍頭星雲人】入りが多い。
ジ・ウォッチがある時点でフィニッシャーは十分という判断と、下面の【零誕祭】での除去も評価しての採用と思われるが、確かにジャオウガよりも取り回しが良く、以前よりもデッキの柔軟性が上がっているように思う。
ミラーマッチでガイアッシュが立っている時のジャオウガの弱さもあり、龍頭星雲人型が今後もスタンダードになるかと思われる。
3.アナハンデス
元々”アナジャオウガ”と呼ばれていたデッキタイプ。【有象夢造】や【ASMラジオ】でメタクリーチャーを大量展開し、最後に【CRYMAX ジャオウガ】で詰める構築である。
弱いデッキではないのだが、”アナジウォッチ”にメタが刺さらない上に【ガイアッシュ・カイザー】で逆にリソースを稼がれ、”赤単我我我”にも結構厳しく、取れる対面である”4C邪王門”も”アナジウォッチ”でも勝てる……と割と逆風気味。
殿堂直後に比べてかなり入賞ペースは落ち気味で、今は雌伏の時期といったところだろうか。とはいえ、打点をばらまいて速攻で【CRYMAX ジャオウガ】に繋ぐプランは強力だし、”曲通風”の通りが良いデッキも一定数残っているので、この辺りを主張点としてまだまだ残りそうである。
4.赤単我我我
最強位決定戦で活躍した【コッコ・武・ルピア】入りの”赤単我我我”だが、殿堂以降もそれなりの活躍を見せている。
3キルを出来る山が赤単以外では少ないときこそ出番、というわけで3キルプランを構えつつ武ルピアで遅延できることを主張点にしている。
3キルを目指すデッキとしては”赤緑アポロヌス”もそれなりに入賞を見かけるが、【敬虔なる警官】や【ダイヤモン星】が怖くない代わりに”ザ・クロック”などのトリガーで止まった時にメタを搭載していないため負けやすい。
武ルピアなどのメタカードを積みつつ殴れる赤単はこの点で勝っているといえるだろう。
とはいえ完全にカモにできる対面はあまり多くなく、”青魔導具”にも【ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ】が入っていたりもして環境全体がそれなりのトリガーを積んで対策をしている結果が伸びきらない入賞数に表れているとも言えるだろう。
なお、最近は【ボルシャック・フォース・ドラゴン】入りが増加傾向にある。
除去しつつ打点を溜めて殴るという意味で速度は3.5キルといったところ。溜めた時に【九番目の旧王】を踏むと盤面が飛ぶが、逆に言えばそれ以外の除去はそれほど怖くないのが利点。
似たような系統だと【烈火大聖 ソンクン】などでビートジョッキー軸に寄せたタイプも入賞が見受けられた。どのタイプも一長一短だが、この環境ではほぼ唯一早期に殴る山として一定の地位を築いていると言えるだろう。
5.4C邪王門
現環境では「サガ以外の山には大体勝てる」という点がストロングポイント。【カツキング】で盤面を取りつつ暴れてもよし、【鬼ヶ大王 ジャオウガ】で一気に殴りに行ってもよし、【百鬼の邪王門】で受けも盤石と隙の無い構築になっている。
不利対面の”青黒サガ”にも【とこしえの超人】と【お清めシャラップ】で一応対抗できるようにした構築が現在のスタンダードか。人によって【ドンドン吸い込むナウ】が採用されたり、【超英雄タイム】が2枚取られたりと枚数配分はまちまち。
多色枚数、山札把握、墓地の管理とかなり作業量の多いデッキだが、ループ以外のデッキにはそうそう遅れを取らない対応力が一番の強みと言えるだろう。
一度攻め手に回れば【サイクルペディア】と【お清めシャラップ】、【カツキング】でのアタキャンを使って目的の盤面を作るまで延々デッキを回転させることもできる。回した分だけ山札管理が上手になれるので、デュエマが上手くなりたいなら個人的にお勧めできるデッキである。
6.青魔導具
【ガル・ラガンザーク】の殿堂でかなり苦しいかと思われたが、【DGパルテノン】の搭載で見事リペアに成功。環境に食らい付き続けている。
以前のようにガルラガンを複数体並べることはできなくなったが、”青黒サガ”対面にもパルテノンと【堕呪 ブラッドゥ】による墓地リセットで十分戦うことができ、2ターン【卍新世壊卍】という上振れを抱えつつ【$スザーク】による長期戦プランも取れる、という強みも維持できている。
そのため、元々強く出ることが出来た”アナジウォッチ”や”アナオービー”などのアナカラー系統のデッキへの強さはそのまま、パルテノンの搭載でループ系にも十分戦っていけるため、若干の弱体化はしたものの健在といった評価になるだろう。
”赤単我我我”の項でも軽く触れたが、【ゴゴゴ・Cho絶・ラッシュ】搭載型もよく見かける。
”赤単我我我”だけでなく、”アナオービー”や”アナジウォッチ”にも強く出ることができ、アグロ対面を重視する場合はこのタイプを選ぶことになるだろう。
ただし、枠としてはパルテノンと競合は避けられず、必然”青黒サガ”に不利が付いてしまうことには十分留意する必要がある。
7.ラッカ鬼羅.Star
メタクリーチャーをばら撒きつつ過剰打点を揃えて殴る、という従来の鬼羅Starと変わる所は特に無いが、現環境は【奇天烈 シャッフ】がかなり有効である。
”アナジウォッチ”や”4C邪王門”を始め、現環境の大体の受けは呪文依存になりがちなため、【奇天烈 シャッフ】に繋ぐ事ができればかなり勝ちが近づく。
【ミクセル】、【ダイヤモン星】、【可憐につき】、【武ルピア】と大量のメタカードを積んでいるためどの対面にも何かしらは刺さる。上記のリストは【イザナギテラス】が入っていないが、これも大体のリストには入っている。
最近開発部デッキで主要なカードが大体再録され、ある程度の使いやすさもあいまって初心者にもとっつきやすく、GPでもそれなりの数の使用がありそうではある。環境への通りも今は比較的悪くない状況と言えるだろう。
あとがき
今回はGP前のオリジナル環境をまとめる、ということで入賞上位の7つのデッキに絞って紹介をした。
仕方が無いことではあるが、GP前なので入賞リストの非公開が多く、とにかく良いサンプルリストが少ないことに悩まされた。個人的な縛りとして公開リストのみを使用していることがこんなところで裏目に出るとは……
また、しばらく記事を書いていなかったので各所に不手際が出ていると思うが、今後も不定期更新の中で少しずつ出来を良くしていければと思っている。
次は(多分)5月の入賞考察になるかと。ではでは!