「足の実寸」と「靴のサイズ」はなぜずれるのか? 欧米の表記は『靴型サイズ』 靴のサイズ表記がなんだかわからないのはなぜか⑥
これまで①〜⑤で「靴のサイズ表記」がなんだかわからないのは主に2つくらい原因があるという解説をしてきました。
例えば、
こういう表記をスニーカーではよく見かけます。
が、実はもともと
ので、こういう表記も単位を合わせれば微妙に数値がズレている。知らなければサイズ表記がなんだかわからなくなって当然、という説明をしてきました。
すごく割り切って簡単に言うと
でした。
そのせいでよく見かける“サイズ対応表“の整合性は実はとれてないというのが実情です。
そして
もう一つ致命的にサイズ表記を混乱させていることが
3、シューズのサイズ表記には『靴型サイズ』と『足入れサイズ』がある
です。
まず、ざっくりいうと
◉欧米のサイズ表記は基本、靴型(木型)のサイズ
◉日本のサイズ表記は基本、履く人の足のサイズ
ということになっていて、もともと表記してる内容自体が違います。
◉欧米のサイズ表記は基本、靴型(木型)のサイズ
「木型(靴型)」ちょこちょこ聞く単語だと思います。
メンズドレスだと「ラスト」と言ってたりもします。
「木型」というとこういうイメージ。
まさに木型という感んじ。ですが、
既成履の靴型は実際はプラスティック樹脂が主流です。
靴はこの靴型にアッパーとソールをくっつけて成形してつくります。
簡単にどういうことか下画像で確認してください。
中底は一時的に固定されてます。
アッパー部分は別で裁断、縫製してここで、ソールとまとめられます。
アッパー・中底・アウトソールが全てくっついたら、最後、木型を抜きます。
というように既製靴も一足、一足、靴型がないとつくれません。
スニーカーはもちろんサンダル等もほとんど靴型が必要です。
(ビーサンはさすがに靴型使わないらしいです)
しかもこの靴型はサイズごとに必要なので
靴工場は多かれ少なかれこんなことになってます。
簡単に靴型の形状と役割がわかったところで本題に戻ります。
欧米のサイズ表記は要はこの『靴型自体の大きさを表記してる』ということです。
この表記をNBも普通に採用してるとしたら、
このスニーカーのサイズ表記は
「US 8 1/2(幅D)サイズに相当する靴型」で成形したNB990 という意味です。
ということは、
『このNB990は靴型の長さ・足幅が“US81/2“ “足幅D“ だからこの靴に自分の足が合うかどうかは試着するなりして自分でしっかり確認しなさい』
というのが欧米式の『靴型サイズ表記』です。
ここでもう一度このNB990の表記と各実寸を確認します。
これを履いている私の足の実寸は25.5cmです。(おそらくジャストサイズ)
『足の実寸』と『表記やインソール実寸・内寸』に1〜2cmの差があるのは
サイズ表記が『靴型サイズ表記』だからです。
25.5cmの足で内寸(靴型サイズ)25.5cmの靴はぴったりすぎて履けません。
1〜2cmの差は必要な捨て寸ということです。
また、長くなりそうなので続きは次回にします。