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重ね着とインナーダウンの役割〜ダウンウェア⑤〜

前回まででダウン自体の防寒能力について説明してきました。
(ほぼ物理現象なので洋服の説明とは思えない感じになってますが)

今回はダウンの能力を効果的に活かすための「重ね着」についてです。
(といいつつ、実はダウンウェアだけでなくどんな素材にも通用する防寒全般の基本的な考え方になるのでここで理屈を覚えてしまってください。)


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ダウンといえばだいたいの人がアウターという認識だと思います。間違いないです。が、一昔前に“インナーダウン“というのが流行り、その後定着しました。

現在も店頭に必ず少量ありますが、この“インナーダウン“という“重ね着を前提としたダウン“を世間一般に普及、定着させたのはご存知の通りおそらくユニクロです。

この“インナーダウン“ですがもともとは

・アウトドアブランド、スポーツブランドが衣類の重ね着を理論立てして冬山や極地でも対応できるようにつくったレイヤリングシステム

・それを参考にさらに進化させて80年代に確立した米軍のエクワックスシステム(寒冷地用の被服システム、詳しくは別記。・・・現在は普通に世界中の軍隊で同様のシステムを採用してるはず)

なんかの重ね着理論の中でインナー用ダウン(またその代替品)が開発されたようです。

各国の軍が採用することで世界中のアパレル産業にも「重ね着理論」が徐々に普及していき、ファッションアパレル、一般衣料にも応用されるようになり、同時にインナーダウン(インサレーションミドルレイヤー)も普及したと思われます。

そして、決定的に世間一般にまでインナー用ダウンを普及させたのが“ユニクロインナーダウン“という流れのようです。


インナーダウンというのはアウトドアウェアのレイヤードでは主に“セカンドレイヤー“とか“ミドルレイヤー“と呼ばれる位置付けになります。

モンベルさんのベーシックなレイヤリングシステムの説明です。

見ていただければ理屈はとてもわかりやすく、実例もたくさん上がってるので理解するのは大丈夫だと思います。(前回までの内容とも被ってますし)

レイヤリングで最もシンプルな「3段階の重ね着」の説明です。
それぞれアウトドア的に解説してありますがこれを日常の洋服に当てはめると

○ベースレイヤー(ファーストレイヤー)
下着、アンダーウェア、シャツ、ブラウスなど

○ミドルレイヤー(セカンドレイヤー)
シャツ(厚め)、スウェット、ニット、フリース、インナーダウン(中綿)、ジャケット、ボアなどのライナーなど

○アウターレイヤー(サードレイヤー)
ジャケット、ブルゾン、コート、などなど(アウターは実は種類多いです) 

こんな感じです。

“レイヤリング“とか“エクワックス“とか言ってますが要は防寒用の『重ね着の仕方』です。

経験的な事象や物理現象をもとに理論立てて効果的な重ね着の仕方を考案し、それ専用の素材・アイテムをつくったものです。(寒冷地で運動、行動、滞在するという前提ですが)

・ベースのアンダーウェアで最低限の防寒と人体の蒸気発汗を吸湿(吸水)発散し(汗吸って逃す)、快適な環境を確保

・ミドルレイヤーが人体からの熱と空気を保持し(断熱材の役割)

・アウターが外部環境(雨、風、雪含め)を遮断する(壁の役割、だけどできれば湿気は逃がせるとベスト)

これが最もシンプルで効果の上がる「重ね着」方法です。

“ダウンウェア“は防寒アウターで間違いないです。
が、“インナーダウン“はダウン自体の特性をいかし、主にミドルレイヤーとして使う目的で企画されているアイテムです。

“いろんなアウターの中に「優秀な断熱材」として便利に使いまわせばいいじゃない“という考え方です。


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モンベルさんのサイトを見ていただいた通り、アウトドアの『重ね着システム』にはいろんな素材のいろんなアイテムが提案されてます。

“ダウン“という素材・アイテムはその選択肢の中の一つでしかありません。

にもかかわらず、
今回、「ダウンウェアの商品知識」として取り上げているのは「“重ね着“が衣類による防寒の最も基本的な方法」で、ダウンウェアを理解する上でも結局知ってなきゃいけない理屈だと思うからです。

“裸でいるよりteeシャツ着たほうがあったかい、その上にニット着た方がもっとあったかい、さらに薄でのコート着てるだけでもっとあったかい“

みたいな、一見、当たり前のことを物理現象の根拠と共に「理論立てしマニュアル化」したのが「重ね着システム」です。

が、経験的に当たり前に思えることも「理論立てしてマニュアル化」することで、曖昧だったことがはっきりわかるし、応用が効くようになります。

日々の自分の服装にもガンガンこの理屈が使えるようになります。(気温によって防寒度合いをコントロールしたりできる)

なのでもちろんお客様へのアドバイスにも使えます。(どちらかといえばダウン意外のアウターの応対時に)

“インナーダウン“(インサレーションミッドレイヤー)はアウトドアや軍の「重ね着システム」の考え方をタウンユースに持ち込んだ象徴的なアイテムかなと思います。

続きは次回に。

<まとめ>

●防寒するには『重ね着システム』の理屈を利用すると効果的

●『重ね着システム』の最もシンプルな考え方は『3段階重ね着』
・ベースレイヤーのアンダーウェアで吸湿発散して快適さを確保
・ミドルレイヤー(断熱材)で熱を保持し外気温も伝えない
・アウターレイヤー(壁)でそれを守って、外部環境を遮断する(湿気はだしたい)

●『3段階重ね着』は衣類による防寒の基本なので日常的にもガンガン使える

●「インナーダウン」はダウンをミドルレイヤーとして色々便利に使ってしまおうというアイテム

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