靴のサイズ、足のサイズと捨て寸問題③ボールジョイントと3つのアーチ (靴のフィッティングについて)
前回までの話で
靴の『サイズと捨て寸』について調べてみると、いろんな考え方があり過ぎて
「捨て寸(つま先のゆとり)っていったいなんなの?結局、どのくらい必要なの?」
とますますわからなくなり、実はどうやら
「捨て寸より大事なポイント」があって、それが
「かかととボールジョイントの距離(位置)」です、
というところまでいきました。
ちょっと難しい話になりかけてますが、しょうがないのでここまではいこうと思います。
[ボールジョイントとは]
・足の指の付け根関節のこと。親指付け根から小指付け根の足幅の一番広くなっている場所。足幅を測る位置。(ちなみに足囲はボールガース)
・靴のそれにあたる部分のことも言う(靴のボールジョイント部とか、、)
・歩行時の蹴り出しの起点で、足と靴の屈曲部分。(歩くときに足の曲がる場所で、靴の曲がる場所でもある)
・足の3つのアーチと呼ばれる重要箇所の一つでもある。
・足のボールジョイント部
・靴のボールジョイント部
ここが歩く時に蹴り出しの場所として屈曲するのは誰でも日々体感してるはずです。
・足の3つのアーチというのはこれです。
この「横アーチ」を担うのがボールジョイント部です。
(出典:下添付のサイト内よりおかりしてます)
・内側縦アーチ(土踏まず)
親指の付け根からかかとをつなぐアーチ。
・外側縦アーチ
小指の付け根からかかとをつなぐアーチ。
・横アーチ
親指の付け根から小指の付け根をつなぐアーチ。
3つのアーチの役割についてはこちら
この3つのアーチが連動して動くのですが、説明をすべてはしょってざっくりいうと
「人間が二足で立つこと、歩行すること、走行することを可能にしている大事な機能」
です。
アーチ連動について詳しく知りたい方はこちらどうぞ。
(いったん飛ばしてもOK)
靴も基本的にはこのアーチがちゃんと機能するように設計されてます。
なので単に「足のサイズを合わせる」ということだけでなく、足と靴をちゃんと
機能させるためには
「靴と足の“かかととボールジョイント“があってる」
ことが重要、ということです。で、「捨て寸」は
「その上でできる靴のゆとり」
です。
本当に必要な「捨て寸」は歩行時に
“踏み込みでアーチが潰れて足が広がる“
“靴のカカトに足が少し前へ押される“
ので、その際に必要な分のゆとりです。
となると、靴のサイズのジャストフィットとは、
「足のかかとから指の付け根関節(ボールジョイント)までの長さが靴とぴったりで、つま先は圧迫されない状態」
ということになります。
もちろんこれはいろんな靴で共通の話です。
こういう靴でも
ポインテッドトゥの左右対称みたいに見える靴でも
裏からソールを見れば左足ということも、ボールジョイントの場所(一番幅の広い場所)もちゃんとわかります。
試着時はかかとを合わせて
「この位置に足のボールジョイント部があってるのか」
確認してください。
そして、ゆとり(捨て寸)がどれくらいあるのか?
この靴はポインテッドトゥなので「捨て寸」はラウンドの靴に比べれば余計にできるはずです。
だんだん、フィッティングの話に踏み込みつつありますが、
ここでいったん「捨て寸」問題に決着をつけときます。
こちらはさすがに普段なじみがあまりない靴型屋さんのサイトです。
いろんなタイプの靴の靴型を販売されてます。
少し詳しくみていただければわかりますが、それぞれの靴型の参考サイズと足長を表記してくれてます。
こちらはサイトの中のあるモデルの靴型のサイズ例です。
足入れサイズ表記です。(実寸25cmの人用の靴の内寸が27.9cmある)
想定捨て寸がどのサイズも一律2.9cmほどあることになってます。
作成された実際の靴の事例と靴型です。
(出典:サイズ表も画像も上記サイト内より抜粋、お借りさせていただいてます)
メンズでは珍しいポインテッドトゥで捨て寸かなりある設定です。
このサイト内のいろんな靴型モデルの参考サイズと靴型足長を一部抜粋させていただきました。(Mは男子用、Wは女子用の靴型)
靴のモデルによって同じ25cmサイズでも実際の足長設定はバラバラです。(つまり捨て寸もバラバラ)
同じメーカーの既成の靴型であればボールジョイントの位置設定は大きくはブレません。
(一般的データとして、人のボールジョイントは足長に対してかかとから68%前後の位置になるらしいです。)
「捨て寸」はやはり靴のデザイン・形状、目的でかなり違うようです。
(キャップトゥ:スーツに合わせるドレスアップでシャープなデザイン)
こういうものなら、捨て寸も長くなるし、
(オープントゥサンダル:つま先が途中で切断されたかのようなスクエアなデザイン)
こういうデザインならもちろん捨て寸は短くなる。
こういうサンダルの場合、指先や爪があたる心配もないので捨て寸は0.5cmくらいでもOKらしいです。
《まとめ》
・人の足の歩行時の特性から基本どんな靴にも捨て寸は必要。
・足長フィッティングで重要なのは「捨て寸」(つまり足長)じゃなくて「かかととボールジョイント」の位置
・「捨て寸」は「かかととボールジョイント」の位置が靴に合っていた上でのつま先のゆとり
・「捨て寸」は靴のデザイン形状、足の形などによって1.0cm〜4.0cmくらいあってもOK。でも既成靴なら
成人男子 1.5〜3.0cm
成人女子 1.0〜2.5cm くらいが一般的
(オープントゥサンダルなら0.5cm〜から)