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コットンと「超長綿」について 〜「超長綿」について、なにかと少しだけ理解を進めてみましょう❶〜
アパレルの仕事に携わると「超長綿」という言葉は日常的に結構な頻度ででてきます。
コットンの洋服とかタオルなんかの素材として「希少でありがたいもの」として扱われていて、綿の種類の何かいいやつという印象です。
では「具体的になにがいいの(優位性は何か)?」と言われるとあんまりよくはわかってないかなというのが実情だと思います。
なにがどのくらい希少でありがたいんでしょう。
普段扱っているteeシャツ、シャツ、ニットの商品名に「〜コットン」
と書いてるケースがあります。
ガスコットン
ギザコットン
ドライコットン
スヴィンコットン
アメリカンシーアイランドコットン(asic)
とか、、、
だいたい、〜は「種類、産地、商標(ブランド)、加工」名です。
だいたい、そこに付加価値的意味があるから商品名に入れてあります。
上記のうちの「ギザ」、「スヴィン」、「アメリカンシーアイランド」というのは綿の種類ですが、ブランド名でもあります。
いずれも「超長綿」として有名なコットンです。
ちなみに
※ガスコットンは毛足をよく焼いた糸(光沢感が増してつるっとしたタッチに。シルケット方向にしたい時にはよくやる加工。燃やした分,糸が痩せるのが欠点)のこと。
※ドライコットンは加工の仕方が分かりませんが、ポリエステルを混ぜないでドライタッチと速乾性を実現してるコットンを指してることが多いです。
まずは、
◉コットンという素材の中での「超長綿」の位置付け
コットンは私たちアパレル産業に携わる人間が最もお世話になっている素材です。世界の繊維生産量全体ではポリエステルが圧倒的ですが、天然繊維に限ればコットンがダントツです。
非常に使い勝手の良い素材です。
原料はワタの木にできる綿花(コットンボール)で、原産地は世界中の熱帯・亜熱帯地域です。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64651381/picture_pc_a300105d2dd841d4531ea498269daf58.jpeg?width=1200)
(コットンボール 白綿と茶綿:花が咲く→実ができる→実のまわりに繊維細胞が育つ→殻が弾ける→コットンボール)
下の表は世界の主な綿花生産国と生産量です。
![画像2](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/64236963/picture_pc_8ede33fcbd252cab4d1c16acf73ce6bf.jpeg?width=1200)
(出典) USDA「World Markets and Trade」
2021年の綿花生産量ベスト3は:①インド ②中国 ③米国 のようです。
全生産量の6割を3カ国でつくってます。
ちなみに最大輸出国はアメリカ。中国、インドは国内需要が高く、アメリカより輸出してないそうです。
(中国に関しては原綿は国がいったん全て買い取るため輸出はゼロです。ちなみに日本の輸入先は①アメリカ、②③④ブラジル、インド、オーストラリアあたりになります。)
全世界での年間綿花生産量は約2600万トンですが、そのうち「超長綿」の年間生産量は約39万トンくらいらしいです。1.5%ほどしかありません。
「ギザ」はエジプト、「スヴィン」はインド、「アメリカンシーアイランド」はアメリカ産のそれぞれ「超長綿」ですが、インドとアメリカに関しては「超長綿」じゃないコットンを大量に生産してるということです。
では、世界中で生産される大量のコットンと希少な「超長綿」との違いはなんでしょう?
◉綿の種類と超長綿の品種
綿花は植物学上は、あおい科Genus Gossypium(ゴシピウム属)に属し、世界の綿花は、だいたい次の4つの品種に分類されてます。
① G.arboreum(アルボレウム) 短繊維綿
② G.herbaceum(ヘルバケウム) 短繊維綿
③ G.hirsutum (ヒルスツム) 中〜長繊維綿
④ G.barbadense(バルバデンセ) 長〜超長繊維綿
①〜④の品種の原料としての違いの一つが「繊維長の長い短い」です。
①、②は短繊維種。
インド発祥でアジア中心に世界各地へ伝わったといわれてます。現状商業ベースで栽培されてるのはごく一部。衣料品にはむいてません。(ワタの形状で寝具、詰め物や衛生綿に使われたりします。)
③のヒルスツムは中〜長繊維種。
メキシコ南部、中央アメリカ発祥。アメリカで品種改良が進んだものがアップランド綿。19世紀に世界中に伝わり、現在では世界の綿花生産の90%がアップランド綿といわれてます。これが一番身の回りにあるコットンと思っていいようです。
④のバルバデンセは長繊維種。
世界中の「超長綿」がほぼこの品種です。(そもそも品種が違うようです。)
南米発祥のバルバデンセ種が中米〜カリブ経由でアメリカに渡り、そこから世界の各産地に伝わったと言われてます。
アメリカで「シーアイランド綿」という名前がついて改良、栽培され、19〜20世紀にかけて世界各地に伝わりさらに品種改良されていったということのようです。
なので世界中の「超長綿」はルーツを辿ると全てシーアイランドコットンだそうです。(超長綿は高級な衣料品・寝具・タオルなどになります。)
その辺詳しくこちらで解説されてます。
(かなり詳しく解説してるサイトなので興味ある方は全部読んでみてください。)
◉繊維長5段階と超長綿の基準
繊維長の基準は5段階あります。
*短繊維綿(20.6mm以下) 布団の中綿、脱脂綿
*中繊維綿(20.6mm〜25.4mm) 極太番手
*中長繊維綿(26.2mm〜27.8mm) 太番手〜中番手
*長繊維綿(28.6〜33.3mm以上) 中番手〜細番手
*超長繊維綿(34.9mm以上) 細番手〜極細番手
(ICAC[International Cotton Advisory Committee;国際綿花諮問委員会]基準)
「超長綿」というのは「繊維長がすごく長い」コットンのことです。
繊維長とはこれです。
![画像3](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65225998/picture_pc_64e01e6e7d23ec48c3ec66cc90b70fa0.jpeg?width=1200)
(出典;上記seaislandculbサイトより )
こういう画像、見たことあると思います。綿花の繊維をほぐして長さ順に並べた画像です。(こちらはシーアイランドコットンのものだそうです)
この長さが34.9mm以上あるものが超長綿です。
(ICAC[International Cotton Advisory Committee;国際綿花諮問委員会]という組織が設けた基準です。根拠は知りません。)
裏を返せばバルバデンセ種でも繊維長が34.9mmないものは「超長綿」ではないということですが、40mmを超えるようなものも全然あります。
上画像は比較対象がないのでわかり辛いですが、長い部分はまぁー長いですし、全体的に繊維にボリューム感もあります。
(超高級綿といわれる所以です。でも画像から綿繊維には短い部分も必ずあるってこともわかります)
![画像4](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/65838779/picture_pc_4df37298df9637316b2635cb863a987d.jpeg?width=1200)
(出典;上記seaislandculbサイトより )
こちらの画像、スケールが実はインチ表記らしく、繊維長8cm以上あることになってます!が,これはシーアイランド綿の特別なものだと思われます。
<まとめ>
・天然繊維ではコットンの生産量が世界中でダントツに多い
・綿の品種はだいたい4種類
・世界のコットンの90%はアップランド綿(ヒルスツム種:中〜長繊維種)という品種
・全世界の綿花生産量のうち「超長綿」の生産量は約1.5%
・「超長綿」というのは繊維長が34.9mmを超えてるもので、ほぼバルバデンセ種のコットン