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重ね着と一体型アウター〜ダウンウェア⑦〜


「レイヤリングシステムといっても要は"重ね着"なので身近なアイテムもシステムにあてはめてうまく重ねれば効率的な防寒性が得られる」

という説明を前回、具体例をあげてやりました。

例えばこんな感じです。

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アンルートのペラペラフードナイロンシャツアウターです。
風はそこそこ防いでくれますが、完全な一枚ものなので決して暖かくはありません。

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(モンベルのEXダウンベスト)

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(リラクスのライナー型ボアベスト)

この辺と重ね着すればアウター(壁)✖️ミドルレイヤー(断熱材)でかなりの防寒効果が期待できます。そこそこのアウターレベルの防寒性は十分でます。
(ナイロン一枚ものは透湿性に欠けそうなので暑くなると蒸れるかもしれませんが)

では、こういうのはどうでしょうか?

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リバー素材にニットの重ね着です。

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合わせとしてはカワイイです。が、防寒としてはどうか?

リバー素材はアウターに使われているケースが多いです。が、リバーという素材の特性上、密封性の高い仕様にしづらいですし、むいてないです。

首元、袖口、スソと緩めでスカスカあいてるデザインが多いです。

それこそ「軽くて柔らかな縮絨ウール生地を縫合わせた、両面表地のリバー素材」の特性を活かしたデザインなのでしょうがないです。

そうなるとリバーはアウター(壁)というよりミドルレイヤー(断熱材)と考える方があってる気がします。

画像の合わせはニット(断熱材)✖️リバー(断熱材)ということになりそうです。この組合せ、単純にあったかいのはあったかいですが防寒としてはあんまり効率的ではありません。それと悪天候には弱いです。
(雨風防がず、空気をためる層が分厚くなってる)

もう一枚、薄くていいのでアウター(壁)をさらに羽織ればメチャメチャ防寒できそうす。
が、なんかかさばってしまいますし、せっかくのリバーの表情が見えなくなります。あまり現実的な重ね着ではなさそうです。

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(ノーカラーリバーコート、表裏配色)
実際はこうしてタートルで首元カバーしたり、細かな防寒アイテムでカバーすることになります。(マフラー、ストール、グローブ、ニットキャップなど)


改めてこういう事例を考えると、“ダウンウェア“がいかに単体だけで強力な防寒アウターかを実感します。

ダウンという素材(綿毛)自体はミドルレイヤー(断熱材)むきですが、アウターとしてのダウンウェアはミドルレイヤーとアウターが一体化したようなモノと考えられます。

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外側はポリエステルによるギャバジンのような高密度で強度がありそうなツイル生地です。内側は薄い平織りポリのキルティングステッチでダウンをパッキングしてます。

アウトドアもの、軍ものの極寒冷地対応のアウターも一体型(断熱材✖️壁)仕様になってます。
めちゃくちゃ寒い場合、さらに中に防寒モノ(ミドルレイヤー)を重ねたりすることが想定されてるらしいです。


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メルトンとかフランネルとかの厚めの縮絨ウールも素材としては断熱材の要素が強いです。

縮絨ウールはウールのフェルト化現象を利用し(繊維を絡ませて、密度を詰めて、厚みをだして)防寒性と防風性を増し秋冬服地用だったり、防寒コート用の生地にしたものです。

メルトン、フランネル、サキソニーなどが代表的な生地です。(もちろんリバーも)Pコート、ビーバーチェスター、ダッフルコートなどなど、縮絨ウールの生地を使ったアウターは昔からたくさんあります。

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(パイルカット調のダッフルコート)
トラディショナルなアイテムですが、あえて重ね着システム的にいえばこういったモノもミドル(断熱)✖️アウター(壁)の一体型のアウターです。

地厚の縮絨ウールに壁と断熱の両方の役割をさせていることになります。

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(4Bダブルメルトンチェスターコート)

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(メルトンスタンドカラーコート)

もちろん暖かいアウターなのですが、重ね着システムで考えると、もしかしたら防寒効率がさほどよくないのでは?と思ってしまいます。

もう一枚薄くていいので壁があった方が防寒度が上がるのでは?
(縮絨ウールを何かで包んでしまう方がより効率のいい防寒が可能なのでは、、?)

でも実際そんなモノはありません。

ちなみに発想として近いものに中綿アウターがあります。
例えばキルティングジャケットです。

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(ラベンハムの大定番 デンハム)
ポリエステルの中綿シートをナイロンに挟み込んでキルティングステッチをかけた生地を使ったアウターです。

もともと乗馬用に開発されたジャケットなので、軽くてシワや汚れもあまり気にならず、多少雑に扱っても問題ない、とっても便利な防寒アウターです。

こちらのサイト見ていただければわかりますが、このポリ防寒中綿シートのかわりに縮絨ウールをナイロンやポリ生地で挟み込んでキルティングステッチかけたりしてもほぼメリットありません。

なぜなら、例えばメルトンやフラノを中綿扱いしても
・重い
・縮絨ウールの表面の仕上げ(縮絨、ブラッシング、カットなどによる毛足や光沢)が隠れて素材感の良さ(発色、柄だし含め)が全く見えなくなる。
だけです。

ウールコートは防寒アウターですがコート用縮絨ウール独特の温かみがあって大人っぽい雰囲気や美しい素材感なんかを楽しむためのアイテムだからです。
(防寒効率より優先させるべきことがある)


<まとめ>

・アウター(壁)✖️ミドルレイヤー(断熱)の重ね着が最小限のアイテムで防寒するには効果的。

・身近にあるアウターは(壁✖️断熱)が一体型になってるものがたくさんある。
ダウンウェア、ウールコート、中綿アウターなどタウンユースのアウターはほぼそう。

・縮絨ウール系のアウターはウールの素材感・カット、ブラッシングによる毛足の美しさやタッチの気持ちよさ、発色や柄だし、トラディショナルなデザインなどを楽しむためのアイテム。(でも、基本十分暖かいです)

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