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ダウンの代替品の防寒中綿素材とリサイクルダウン (ダウンウェア周辺の話❷)


ダウンが水鳥(ガチョウやダック)の胸の羽毛で主に“食肉用に屠殺されたものの副産物だ“という話を以前説明しました。

“あくまで食肉用の家畜の副産物である“というのはレザー(牛皮や豚皮)と同様で、抱えてる問題・事情も似てくるという説明もしました。

素材としてのダウンを採取するためだけにガチョウを繁殖しているケースはほとんどないので、原材料である羽毛の供給量も、食肉の需要次第ということになります。品質の良いものは価格も高額になりがちです。

となると、安定供給、安定価格、動物愛護、サスティナブル等、様々な理由から、当然、ダウンの代替品が開発されることになります。
(その辺もフェイクレザーがどんどん開発されてる事情と同様)

特にアウトドアウェアや各国の軍のミリタリーウェアに関してはダウンに代わる素材を見つけることは切実な問題です。

安定供給で低コストの素材がいいに決まってます。ので、研究開発もされてきました。すでにアパレル、ファッション衣料にもたくさん使われてます。

ということでダウンの代替品で、身近にあった目につくモノをあげておきます。

代替素材に求められる機能性はほぼ二つ。
もちろんダウンウェアにおけるダウンの役割と同じです。

・断熱材
・保温、発熱材           です。


◉プリマロフト(米軍でガッチリ採用されてるやつです)

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もともと米軍の依頼でダウンを研究し、目指して開発された素材です。

高い防寒性とダウンの欠点、“水に濡れるとダメになる“を克服した素材。

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(ノースフェイス パープルレーベル 65/35 インサレーションジャケット)

ノースフェイス定番のウィンドジャマーというモデルをベースにアレンジしたジャケット。もともとプルオーバーのアノラックモデルなのを前あきの中綿入りジャケットにしたようです。中綿にプリマロフトを採用してます。

このアウターの解説がでてきたのでのせときます。


◉シンサレート

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こちらは以前にサイトも紹介してるので割愛します。
かなり広く一般に浸透している超メジャーな防寒中綿素材です。

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例えばこのステンカラーコートでは、付属ライナーのキルティングベストの中綿にシンサレートが使われてたりします。

◉オクタ

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帝人が開発した素材です。

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(スノーピーク 2WAY  プルオーバー

軽量、断熱、吸汗速乾素材です。
プリマロフトやシンサレートでイメージする中綿シートと違い、裏地兼断熱材ということらしいです。
生地自体をオクタという繊維であるいは他の素材とミックスしてつくってしまうようなイメージです。
(こういうタイプも多いです)

https://www2.teijin-frontier.com/sozai/specifics/octa.html


◉光電子(セラミックの粒子を練り込んだ繊維?)

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ゴールドウィンのインナーダウンの代替品にあたるインナー中綿(インサレーションウェア)

もう説明読んでもそんなにわからないレベルになってきました。

セラミックスを練り込んだ繊維によって、体温を吸収・輻射して体に返してくれるということだそうです。
吸着熱とは原理が違いますがどちらにしろ難しいです。

◉シンダウン

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これはかなり特殊で画期的です。
イタリアNIP社が開発したホントのダウンとポリエステル混紡の世界初のシート状ダウンです。

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(イエティ ロングダウンコート)

シート状なのでダウンの小部屋をつくるためのキルティングステッチの必要がありません。こういう通常コートスタイルのデザインが可能になってます。

ダウンや他の断熱素材と比較して機能性はどうなのか?
まだ評価はわかりませんが、ダウンを綿毛状でない状態で使用する素材がとうとうでてきたということでは画期的です。

(以降、ダウンを何かに混ぜてるような新しい素材提案を少しずつ見かけるようになりましたが、アパレル衣料として製品化されてるのは、まだあまり見ないです)

というように、いろんな素材のいろんな手段のダウンの代替品が開発されてます。
ポリエステル繊維の加工によるものが多いようですが、技術も進んで、「防寒中綿」といっても必ずしもワタのシート状に仕上げる必要もなくなってます。
別の素材と混ぜて裏地と一体化してたりと、応用も色々きくみたいです。

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ダウンが抱えてる問題、“安定供給、安定価格、動物愛護、サスティナブル等“への対応として「代替素材の開発」とは別の、もう一つの大きな流れがあります。ダウン製品の羽毛を再利用する『リサイクルダウン』です。

ダウンという素材が
“羽毛をキレイに洗浄して、綿毛状のまま加工などほぼなく使われている“
ことを考えると、着なくなったダウンウェアや使わなくなった布団ごと中身の羽毛も一緒に廃棄、焼却されるのは確かに勿体無いです。
代替素材同様、こちらもすでに実用化されてるケースがすでにいくつもあります。

◉グリーンダウン プロジェクト 


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UA社も参加してるプロジェクトです。

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ADS(アドバンスド ダウン システム)オンワードさん開発のダウンウェアの縫製技術を使ったコート。
(Zテープという横方向のキルトステッチを不要にした技術らしいのですが詳しくはわからないです。)

このダウンウェアにリサイクルダウンが使用されてます。

このプロジェクトは老舗の羽毛メーカー河田フェザーさんの施設・技術を軸に実現したようです。

さらに詳しく知りたい方はこちら


ゴールドウィンさんも早くからプロジェクトに参加されていて、ノースフェイスの製品で使用されているリサイクルダウンも「グリーンダウン」のもののようです。


◉   アライド社(米国) RENU CIRCLE

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うちのレポートがやはり一番詳しいかったのでこちらどうぞ


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(アライド社のリサイクルダウンのフィルパワー表記)


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(QRコードはトレーサビリティ対応です。)



ちなみにアライド社も河田フェザーももともと通常のハイクオリティダウンを扱うダウンメーカーです。

回収した中古ダウンウェアや羽毛布団からダウンを取り出し、しっかり仕分けることができれば、通常のダウン(ヴァージンダウン)を洗浄・仕分けする設備をリサイクルダウン生産にも転用できるようです。

なのでダウンを綺麗に取り出すために手間をかけたり、分別する機械に設備投資することでリサイクルが実現しているということのようです。

(サイトの紹介ばかりでまとめサイトみたいになりましたが、時間ある時にみてください。)

<まとめ>

・ダウンはレザー同様、食肉用の家畜の副産物

・安定供給、安定価格、動物愛護、サスティナブルなどが強く求められるようになっている

・ダウンに代わる代替繊維(中綿)が色々開発されている。

・目的、機能はダウン同様、断熱・発熱・保温

・リサイクルダウンの流れもできつつある

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